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考えるな、感じろ。

作者: マーク
掲載日:2026/01/31

自分より馬鹿なやつだけ見ていたい。


上を見ると、到底手の届かなそうな人がたくさんいる。


下を見ると、いつか自分がこうなるんじゃないかと怯えてしまう。


だから、ちょうどいい馬鹿だけを見ていたいと、そう思うようになった。


それからだ。

僕が僕じゃなくなったのは。


外を見すぎた。

いつからか、自分を見ることを忘れていた。


鏡を見ることが嫌になった。


理由なく笑えなくなった。


人と比べるもんじゃない。

そんなことは分かってる。

自分だけの幸せを見つけるべきだって言うのも、よく分かってる。


でも、自分の幸せを得る方法なんて、習っていない。

教えられてもいない。それでいいとも、一度も言われたことはない。


だから。


なんとなく。


ただ、なんとなく。


消えたいなぁ。なんて思っている。


そんなこんなで自習の時間が終わり、学校が終わる。


部活なんてやってないし、一緒に帰る友達なんてものもいないから、さっさと階段を降りる。


靴箱を開ける。


なにかが落ちた。


それを拾い上げる。


…手紙?


思考が回る。


どうしてここに手紙がある?


存在感がまったくなければ、誰にも触れられることもないのに。

なんて、なんども考えたことを、学ばず繰り返し考える。


…現実逃避はやめにして、手紙をきちんと見る。


見ずに捨ててしまいたかったけど、やめた。

どうせ大した内容でもない。



放課後、教室に残って下さい。



そう書いてあった。

名前は書いてない。



……………?



理由が全く分からない。

僕を呼ぶ必要がない。


え。めちゃくちゃ帰りたい。

なんだこれ、怖。

怒られるようなことしたかな。


あ、そうか。

行かないといけないんだ。これ。


後から、あれなんだったんだろうって、そう思うことになるし、特に作ってない人間関係がマイナスになる可能性がある。


『…はぁ』


ぼちぼち人が来ていたので、手紙を隠す。


階段を上がる。


放課後の校舎。

僕の知らない景色。


それだけだけど。


気合いを入れるとかもなく、教室にさっと入る。


静かだ。


誰もいない。


あー、なるほど。

からかわれたのか。


僕を狙う理由が分からないけど。

そんなものなんだろう、きっと。


窓空いてるからそれだけ閉めて、さっさと帰ろう。


そうしようとしたとき。

扉が開いた。


『ごめん!遅れた!』


そういいながら、男子が入ってきた。

息が切れている。急いできてくれたんだろう。


…誰かは分からない。

いや、誰でも分からない。


『先生に呼ばれて。申し訳ない!』


勢いよく手を合わせて、そう言った。


『大丈夫。それで、どうして僕を』


『そう!あぁ、あと、変な呼び出ししてごめん!なんか、話しかけるタイミングなくて…』


『わかったから、なんで呼んだの』


『その……友達になってくれないか』


『…なんで?』


???


『…友達になるために理由を説明するなんて、初めての経験だぜ…』


『はぁ』


後先考えず行動が出来る人間なんだな。この人は。

僕より上の人間だ。


『…その、いつも、周りを見てくれてるだろ?ゴミ拾ってくれたり、休んでるやつの分の紙を机の中にいれてくれたり、黒板消してくれたり』


『はぁ』


『どんなやつなのか気になったんだ。いいやつなのは間違いないけどさ』


そんな程度で、人がいいやつかどうかなんで分からないだろ。

…僕は、僕が下にならないために、そうしてるだけだ。


『やった方がいいことは絶対にそうなんだけど、別にやらなくても誰も困らない。そういうことができる人と、友達になりたい。それだけだ』


そうだ。そういえば、友達っていうのは、理由がなくてもなっていいものなんだっけか。


『じゃあ、友達になろう』


『お!俺、佐久間』


『僕は湊』


『これからよろしく!』


『…友達ってなにをするものなのかな』


『俺は、友達と外に遊びに行ったり、体育の授業でペア組んだりしてるけど、人それぞれだと思う』


『はぁ』


『とりあえずさ。今日一緒に帰ろうぜ!』


『家の方向が一緒かどうか分からないけど』


『確かに。まぁ、とりあえず行こう!』


手を取られて、歩いていく。




いつもぐるぐる回ってる思考が、そのときだけ止まっていた気がする。






考えてばっかりはよくないぞ!

たまには現実に帰っておいで。

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