オレオレ詐欺師の末路
「オレオレ、息子だよ」
「はぁ?今の時代オレオレなんて古いんだよ」
ガチャン…プープー…
「オレオレ」
ガチャン…プープー…
「オレオレ、お金落としちゃって」
「あっ、そうなの、バーカ」
ガチャン…プープー…
何だよ何だよ、何で誰も引っ掛からないんだよ。
俺は怒りに任せてスマホを投げた。
「兄貴、もうオレオレ詐欺は古いんすよ」
子分の勘治に言われて俺は溜め息を吐いた。
真面目に働いても税金で持って行かれて、
生活はカスカス。
楽して稼ごうにもオレオレ詐欺しか思い付かず。
もう、男は人生が嫌になって来ていたのだ。
そして男はふと思い付いたのだ。
そうか、楽して暮らせる場所が有るじゃないかと。
そして男は隣にいる子分の勘治の首に腕を伸ばした。
「勘治、俺の為に死んでくれ」
「えっ?兄貴…苦し……」
「ハハハハハ、これで俺は塀の中で三食食べれて楽して暮らせる」
勘治は苦悶の表情で息絶えていた。
男は勘治を殺して刑務所で楽して暮らす事を考えたのだ。
しかし、男の思うようにはならなかった。
自首した男は留置場で夜を明かしたが、
その日の夜男は夢を見たのだ。
「兄貴…苦しい…苦しい…」
男は汗だくで朝目が覚めた。
夢か…と口に出したつもりが、
「オレオレ、オレオレ」と、
口から出る言葉はオレオレだったのだ。
警察官が事情聴取を取ろうとしても、
男はオレオレとしか言わないのだ。
怒った警察官が「舐めてんのか?」と言っても、男はオレオレとしか言わないのだ。
勘治の呪いなのか、男はオレオレとしか喋れなくなったのだ。
そして、男は願い通り刑務所に入れられると思っていたが…。
「ママー、ゴリラがいる、大きいね」
「本当ね、次は何が居るかな?」
「ママー、何これ?人間みたいだけど、
新種のオレオレーだって」
「まぁ、話し掛けてもオレオレしか言わないって書いて有るのね」
そして、親子は興味を無くし直ぐに次の動物を見に行った。
そう、オレオレ詐欺師の男は刑務所ではなく、
動物園で新種オレオレーとして飼育されてたのだ。
「オレオレ、オレオレ」




