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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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文化系とは?!(前編)

「明日部活に来るメンバーは、ジャージの用意をして集合」


「⋯⋯何だこれ?」


 3年の松井先輩からのグループチャットに僕は首をかしげていた。


 天文部って文化系なのに、なんでジャージが必要?

大掃除の時期でも無いはずなのに。


 (ちょうど明日体育もあるし、手間が省けるか)


 その時の僕はまだ何も知らなかったのだ、文化系でも時として、体力勝負の伝統がある事を。




 翌日、昼休みに隣のクラスの天文部員、大山君と情報交換してみた。


「大山君。今日の部活で何をするのか、佐藤先輩から聞いていないの?」


「いや、別に。ただ今日は情報処理部の活動があるからパスとだけ。」


「そうなんだ。別に全員参加の行事でも無さそうだし、そんなに重要でも無いのかな」


「それより他の新入部員の事知ってる?」


 そう、この間の部員紹介の時に居なかった3人目の同級生。

 

チャット欄には矢口という名前だけが追加されていたが、僕達は実際にはまだ会っていなかったのだ。


「それも行けばわかるか」


 そんな感じで、昼休みを過ごしたのだった。




 放課後、大山君と一緒に部室に入った僕達を出迎えてくれたのは、松井先輩と妙に気合いの入った様子の遠山先輩だった。


「おう、来たか!!」


(相変わらず体育会系のノリなんだけど⋯⋯)


 そんな事を考えていると、もう1人部室に入って来た。


「すいません。あの、遅くなりました」


 振り向くと、どこかオドオドして、猫っぽい雰囲気の少し色の薄いクセ毛の少年が立っていた。


「あの、新入生の矢口 (まさる)です。よろしくお願いします」


「フフフ、こんな逸材が」


 ⋯⋯都築先輩も居たのか、そして何か言うたびに、謎の悪寒がするのは何故だ、そして逸材とは⋯⋯




「それではあらためて!!」


 遠山先輩のデカい声が、響き渡る。


「本日は新年度第1回!! 天文部員体力作りデーを開催する!!」


「「「何ですか、それは」」」


 僕達1年生の声が、綺麗にハモる。


 冷静に説明してくれたのは松井先輩だった。


「いきなりで驚いたかもしれないね。天文と筋トレ、一見関係無いように思うだろう。しかし、星を観測する為には時として、観測機材を運んで、空気の澄んだ場所まで移動する必要があったりで、意外に体力も必要なのだよ」


「そう、筋肉は裏切らない!!」


「君たちには最低限の体力をつけて貰おうと思う。今日はその入門編と言ったところだな。」


「パワーこそ正義!!」


 クールな松井先輩と熱血の遠山先輩、交互に体力の必要性を教えてくれるけど、どう考えても体育会系のノリのような。


「フフフ、飛び散る汗。紅潮する火照った身体。苦しそうな息遣い⋯⋯」


 ⋯⋯不穏だ。


「勝志さん、だからパスしたのか」


 隣では大山君が何かを悟ったような顔つきだった。




 あらためて着替えを済ませ、集合したのは松井先輩、遠山先輩、始まる前からすでに死にそうな顔の幸田先輩、何故か張り切った顔の倉野先輩と横で、のんびりとした顔の宮前先輩。そして僕達3人の1年生だった。


「あれっ、さっきまで都築先輩もいたような」


「部長と副部長は生徒会のミーティングだって〜」


 相変わらずふわふわとした雰囲気の宮前先輩だけれど、運動は得意なのかな?


「まずはストレッチ!! 何事も準備をおこたるな!! 」


 言っている事はわかるけど、本格的すぎないか?


 もしかして遠山先輩は入る部活を間違えているのでは⋯⋯。


 そんな考えを読んだかのようにペアを組んでいた幸田先輩が説明してくれた。


「彼は身体を動かせる場所にならどこにでも現れる⋯⋯。天文部にいるのは、合宿で山にも行けるのと、普段の活動が自由で動きやすいから⋯⋯」


 幸田先輩、ストレッチをしただけで、倒れそうなんですけれど⋯⋯。


 そして遠山先輩はどうやら目的と手段を取り違えて、見失うタイプの人だという事も知ったのだった。

 

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