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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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天文部員集合

 先日成り行きで、何となく天文部に入部してしまってから数日。


 とりあえずは新入部員の募集期間だからと活動も無く、僕は普通の学校生活を送っていた。


「金曜の放課後、ミーティングを行うので集合」 


 グループチャットで送られてきた短いメッセージは、竹内部長からだ。


 こうして見ると簡潔に用件を伝えられる、デキる人に思えるが、その実態は⋯⋯。


 幾つかの返信は見たけれど、掛け持ちの人も居るとかで、実際には何人ほど所属しているのかをまだよくわかっていないけれど、竹内部長のような個性的な人が、そんなに何人もは、いないだろう。


⋯⋯いないよね。


 金曜日、少し祈りにも似た気持ちで僕は別棟へと向かうのだった。




「あれっ」


 部室の扉を開けると最近よく見かける顔があった。


 隣のクラスの大山君だったかな。


「君も宇宙に興味が?」


 そう言われて少し安堵する。


(良かった。普通そうな同級生もいる)


「ちょっとした縁があって入部する事にしたんだ。大山君は元々天文が好きなの?」


「宇宙はロマンかな」


「おっ。信満(のぶみつ)、知り合いか?」


 向こう側から知らない声が、聞こえた。どうやら他にも人がいたようだ。少し大人っぽいけど先輩かな。


「クラスは違うけど同級生だよ」


「なるほど、俺は佐藤 勝志(かつし)。2年生だ」


「幼馴染で兄さんみたいなものだよ。宇宙についての師匠でもあるかな」


 そう紹介されて僕も挨拶を交わした。


「フフフ。男3人、部室の中、何も起きないはずがなく⋯⋯。」


 なんだ、このどこかで聞いた事の有るような、悪寒のする言葉。


 そう思って振り返ると、そこにはやや小柄で、ショートカットの女性が、扉の隙間からこちらをうかがっていた。


「誰ですか。あなたは」


 女性は気付かれたと思っていなかったのか、一瞬驚いたように身をすくめたが、何事も無かったかのように部屋の中に入り、名乗ってくれた。


「フフフ、私は3年生の都築(つづき) 佳苗(かなえ)。副部長よ」


 そう言って別の席に腰掛ける。


「⋯⋯大体揃っているようね」


 少し遅れて竹内部長ともう1人男性が入ってきた。


「今年はまだ2人だけかい?」


 結構頼りがいがありそうな感じだけど、なんでこの人が部長じゃ無いんだろう。


「⋯⋯後2人いるけど、1人は入院、もう1人はどうしても断れない用事があったらしい」


「前途多難だな。まぁ俺も写真部との兼部だから強い事は言えないが」


 なるほど、そういう理由か。


 その時、倉野先輩が顧問の先生らしい人を連れて入ってきた。


「天文部へようこそ。地学を担当している高木です。文系だとなかなか馴染みの無い教科ではあるが、一つよろしく」


「僕は3年の松井 (のぞむ)。さっきも言ったとおり、写真部と兼部だから普段はあまり居ないが」


「まだ来ていないのは⋯⋯」


「先生、紗英(さえ)は家庭部の方で⋯⋯」


 倉野先輩がそう言いかけた時、扉が大きく開けられ、大柄な人影が現れた


「スマン、遅れた!!」


 身体も大きいし、声も大きい。


「俺は2年の遠山 (わたる)だ。趣味はアウトドア全般だ。よろしくな!!」


(この先輩、入る部活間違えていないかな)


 見た目も喋り方も体育会系で、そんな考えが頭をよぎったが、あまり深く考えないようにしよう。


「後は催し物の時だけ参加したり、手伝ってくれたりする、いわば準部員みたいな人もいるけれど、基本的には今ここにいる面々で今年度の活動をスタートしていきます」


「あの⋯⋯」


 なんだろう。機材の置いてある方から声がしたような。


 先生と先輩方がハッとした後、気まずそうな空気が流れた。


 「気にしないで⋯⋯。慣れてるから⋯⋯、僕は幸田(こうだ) 良明(よしあき)。2年生さ⋯⋯」


 そう言って機材の影から姿を現した人がいた。


 (運が良さそうな名前なのに、なんだか影が薄そう)


 不謹慎にもそんな事を思いながら、先輩達の紹介を受けて、あらためて天文部に入部した実感が湧いた僕だった。

色々初登場のキャラが出てきましたが、しばらくはゆっくりと日常のエピソードを進めていきたいと思います。

次回の投稿は9月5日(金)の21時頃『文化系とは?!』の予定です

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