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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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夏合宿最終日ー帰るまでが合宿ですー

「おーい」


「まだ寝てる?」


 ⋯⋯誰か来たのかな。折角の夏休みなんだから、ゆっくり寝かせてくれたって⋯⋯


 〜♫


 ⋯⋯今度は着信か⋯⋯


「早く来ないと無くなるぞ!!」


 ⋯⋯先輩、取っておいて下さいよ⋯⋯先輩?! 


 そうだ、天文部の合宿に来ていたんだっけ。 


 最終日は、午後までゆっくり出来るから。


 そう言われて遅くまで流星群を観測した後、片付けを終えてもう1度汗を流していた頃には、少し空が明るくなりかけていた気がする。





「おはようございます」


「遅いぞ!!」


 眠気覚ましに顔を洗って食堂に向かうと、今日も大量の皿を抱えた遠山先輩や、まだ寝ぼけているのかテーブルをフォークでつついている幸田部長の姿が見えた。


 今日はさすがにみんな寝不足かな、そう思いながらビュッフェコーナーへ向かうと、おかわり途中の大山君がいた。


「もうくじ引き参加した?」


 まだ何かイベントが残っていたかな。


「乗馬体験のやつだよ」


 そういえば、スイカ割りの時にそんな事を言っていたな。


「大山君はどうするの?」 


「面白そうだけど、2度寝したいかも」


 確か初日の夜も佐藤先輩に付き合わされて、夜更かししていたんだっけ。


「あっちでやってるよ」


 そう言われて指さす方を見ると、テーブルの上に小さな投票箱みたいな物が置かれている。


「カズキー come here」


 あっステラが呼んでいる。


「チョット ウェイトー」


 まだ寝ぼけていたのか、返事が変な国の人になってしまった。


 とりあえずテーブルに食事を置いてから、みんなが集まっている方に向かうと、ステラの他には結星先輩と宮前先輩、後は辞退した大山君以外の僕達1年生組3人だ。 


「あれっ、結構参加者少ないですね」


 優勝したステラは決定。遠山先輩と佐藤先輩は去年乗っているからパス、幸田部長も嫌な予感がするので辞退らしい。


 うん、幸田部長が乗ったら、また何か起きそうな予感がするから正解なのかも。


「それじゃあ、紙に自分の名前を書いてこの中に入れてね」


 言われるがままに名前を書いた紙を箱に入れて、結果を見守る。


「ナニガデルカナ〜」


 どこかで聞いた事ある様なメロディーだけれど、ステラに教えたの一体誰?!


「フフフフン フン フフフフン♪」


 あっ宮前先輩だ。


「イキマスヨー」


 勢いよく箱に手を入れたステラが紙を取り出す。


「えっ、僕!?」


 結果、選ばれたのは矢口君。乗馬体験にあまり興味は無かったらしいのだけれど、高塚さんに付きあった結果、見事大当たり。


 これって運が良いのか悪いのかどちらなんだろう。


「乗っている所、ちゃんと撮ってあげるからねっ」


「うん、そうだね⋯⋯」


 高塚さんにそう言われて、若干顔がひきつっているけれど、大丈夫かな。


「それじゃあ、牧場行く人はまた後でね」


 そう言われてその場は解散になったけれど、牧場は昨日も行ったから今日は少しゆっくりしようかな。


 たった2泊3日だったけれども、良い(?)思い出が沢山出来たし、星空にもまた少し詳しくなれた気がする。


 ぼんやりと考えながら遅めの朝食を終えた僕は、少しだけ宿舎の周りを散策してみる事にした。


 日差しは街中とあまり変わらないけれど、高度が高いおかげなのか、自然が豊かな影響なのか、時折吹き抜ける風が心地良い。


「また来たいな⋯⋯」


 来年も合宿はあるのだろうけれど、何故かそんな言葉が口をついて出た。


 なんとなく、ポケットから出した手を見ると、指先には昨日巻かれた絆創膏が見えた。


「お礼⋯⋯しなくちゃな⋯⋯」


 来年の今頃には、結星先輩達は居ない。


 少し感傷的な気持ちになりながら、僕は宿舎へと戻ったのだった。





「いいかみんな!! 帰るまでが合宿だぞ!! 最後まで気を抜かず、全力で楽しもう!!」 


 遠山先輩、少し違うのでは?


 そう思いながら帰宅準備をして集合場所に向かうと矢口君と高塚さんの姿が無い。


「何かあったのですか?」


「それがね⋯⋯」


 何でも、矢口君の乗馬姿を撮ろうとした高塚さんが間違ってフラッシュを使ってしまい、驚いた馬から振り落とされて怪我をしてしまったとか。


「そんな事が⋯⋯」


 あらためて、帰宅するまで気を抜かないでおこうと思った僕だった。


 



ひとまず夏合宿は終わりですが何やら事件の気配が⋯⋯

次回『高塚さんは相談したい』は3月6日(金)21時頃更新予定です

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