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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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合宿二日目ー流星群を追いかけて(後編)ー

「えっ」


 僕の目の前には昨日の朝に宙柱神社で見たキツネのお面をつけた人影。


 その正体は都築先輩だったはずだけれど、何故か先輩の声は別の方向から聞こえて来た。


「「フフフ、どうしたのかな牧田君」」


 今度は正面と違う方向からダブって聞こえてくる?!


「すいません、ちょっと寝不足で疲れているのかも」


 適当に誤魔化して、この場を切り抜けないと。


「フフフ、それはいけないねぇ。合宿でハメを外しすぎたのかな」


 なんだか、羽目を外すの言い方が不穏だった気がするけれど、もちろん気付かないふりだ。


 そんなやり取りをしている間に暗闇に目が慣れてくると、目の前の人影が都築先輩よりひと回り小さい事にようやく気付いた。


「フフフ、そんなに見つめられると照れるじゃないか」


 うん、似ているけれど、微妙に声も違う。


「都築先輩⋯⋯どこですか」


「フフフ、後だよ」


「いつの間に?!」


 相変わらずの神出鬼没っぷりに振り回されながら振り返ると、そこには、今度こそ本物の都築先輩が立っていた。


「フフフ、キツネに化かされたような顔をしてどうしたのかな」


 ⋯⋯化かしたのは都築先輩ですけれど?


 そういえば、結局もう1人の都築先輩(?)の正体は一体?


「フフフ、妹の美鈴だよ」


「うふふ、来年入学する事になったらよろしくお願いします」


 あらためてキツネのお面を取って2人並んでいる姿を見ていると、確かに雰囲気の似ている都築姉妹だった。


 美鈴ちゃんは、僕達より1つ歳下で、来年度の入学目指して、受験勉強の真っ最中なんだとか。


 今日は息抜きも兼ねて、車の免許を取った都築先輩の練習に付き合いがてら、合宿の様子を見に来たらしい。


 キツネ憑きよりも都築先輩の運転の方が怖そうだとは、とても言えなかった僕だった。





 そんな1幕を繰り広げている間にどうやら他の人達も全員揃っていたみたいだ。


 時々撮影機材のチェックをする他は、ただじっと目をこらし、思い思いに夜空を見上げる。


「望遠鏡も双眼鏡も使わないのですか?」


 最初に流星群の観測方法を聞いた時は少し意外な気がした。


「一応、みずがめ座の方角が中心になるけれど、流星群は空全体に広がっているから、裸眼の方が観測しやすいんだよ」


 そう説明してくれた幸田部長の言葉を思いだしながら、みずがめ座の昇る、南の方の夜空をぼんやりと眺める。


「あっ」


 昨晩観測していた夏の大三角形からもう少し下、こちらも夏の代表的な星座、さそり座の形をぼんやりとなぞっていると、すっと1筋の光が横切った。


 流れている間に3回願い事を唱えられれば、望みがかなうなんて言うけれど、初めて見た流れ星は、微かな光があっという間に夜空の中に溶けて行く様な感じだった。


「えっ、流れていた?」


 大山君は佐藤先輩に付き合って他の撮影をしている間に見逃したらしい。


「本番はこれからだから」


 そう言いながら、こちらも別のカメラを覗き込んでいる幸田部長。


 流星群のピークタイムは深夜から明け方の遅い時間帯という事で、まだまだ余裕の表情だ。


「⋯⋯make a wish⋯⋯make a wish⋯⋯」


 なんだか小声で、呪文の様なものが聞こえて来ると思ったらステラだった。


 オーストラリアにも願い事を唱える風習はあるそうなんだけれど、流星群だからと言ってずっと唱えているのは有りなのだろうか。


 つい余計な事を考えてしまいそうになるけれど、今までの観測会では、1つの星や星座にテーマをしぼって見てきたから、こうして自由に星空を眺めているのは新鮮な気がする。


「もう少し東寄りだったかな⋯⋯」


 次に探してみたのは昨日も探した干潟星雲近くのいて座。


「南斗六星って呼ばれているのよ」


「東の方角なのに南斗なんですね」


「北斗七星に対しての呼び方だからね」


 ⋯⋯説明を受けた時には、よくわかっていなかったから変な質問をして結星先輩を困らせた事があったっけ。


 そんな事も思いだしながら見上げていると、再び光の筋が流れていった。


「今度は見えたっ」


「今度こそお願い聞いてよ〜」 


 口々に好きな事を言い合いながら、その日の夜は更けていったのだった。



 

長かった合宿編もそろそろ完結

次回『帰るまでが合宿です』(仮)は2月27日(金)21時頃更新予定です

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