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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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合宿二日目ー流星群を追いかけて(前編)ー

「カブトムシモ スイカ タベルデスカ?」


「オーストラリアでは食べないの?」


 今朝のカブトムシにおすそ分けのスイカをあげているのを見て、ステラが不思議そうな顔をしている。


 その理由を聞いてみると、スイカはオーストラリアでもよく食べられているけれど、昆虫を飼うという習慣があまり無いのだとか。


 こうして、この2日間でオーストラリアの生活を聞いていると、似ている所もあるけれど、ちょっとした違いや、全く知らない世界の話を聞けて、色々勉強になるな。


「皆さん、そろそろ観測の準備を」


 幸田部長に言われて時間を確認すると、結構いい時間になっている。


「よし!! 先に一風呂浴びてくるか!!」


「待って〜。 まだ髪洗ってないんだけど〜」


 遠山先輩と宮前先輩は慌てながら支度に向かっていった。


「今日はいっぱい見られるといいねっ」


「愛純、無理するとまた寝込むよ」


 昼間休んでいた高塚さんは復活したみたいだけれど、長い付き合いの矢口君はどうやら、今までの経験から不安視しているのかな。


「信満、ちょっとチェック手伝え」


「えっ、まだ何かありましたっけ」


 佐藤先輩は大山君を連れて先乗りするみたいだ、やる気満々だな。


「ステラ、準備OK?」


「I’m ready」


 さすが結星先輩、しっかりとステラをサポートしている。


 そういえば、ステラは流星群を見た事はあるのかな。


「オーストラリアの方が今日の流星群はよく見えるのよ」


「えっ」


 結星先輩が説明してくれた情報によると、今回僕達が観測テーマにしているみずがめ座δ(デルタ)流星群は、オーストラリアが世界でも有名な観測地なのだとか。


「全然知らなかったです」


「他にも天の川がとても綺麗だったりね」


 日本とは季節が逆になる関係で、この時期のオーストラリアの夜空は冬の澄んだ空気の中ではっきりと星が観測出来るそうだ。


「そうか、向こうでは冬の星座なんだ」


 同じ様な星空でも、見ている場所で全然違うイメージになると思うと、なんだか不思議な感じがする。


 また1つ、似ているけれど遠い世界の話を聞いている気がする。


「オーストラリアの事まで知っているだなんて、結星先輩って本当に星空の事に詳しいですね」


「うん、色々勉強しているからね」


 そう言って微笑む結星先輩と、話を聞きながら時折オーストラリアの解説をしてくれるステラを見ていると、外見は違ってもまるで本当の姉妹みたいだ。


「牧田君は準備の方は大丈夫なの?」


 そういえば、牧場から帰ってきてすぐ仮眠していたから、汗も流していなかった。


「すいません、僕もちょっと行ってきます」


 慌てて部屋に戻ろうとしていると、外から車が来る音が聞こえた気がした。


 気にはなったけれど、急ぎ足でシャワーを浴びて、支度を整える。


 夕方の仮眠と、さっぱりしたおかげで今日は遅くなっても頑張れそうな気がする。


 と同時に、今日の観測会が終われば、今回の合宿もほぼ終わりかと思うと、なんだか少し寂しい。


 今までの日常生活では考えられない体験を色々としてきたのに、2日しか経っていないのが信じられない気がする。


 そんな事を考えている間に集合時間が迫っている事に気付いた僕は、少し急ぎながら観測室へと向かった。


 上からは知らない声が聞こえてきた気がするけれど、やっぱり誰か来ているのかな。


 そう思いながら屋上に出ると、数人の人影が見えた。


 早めに来て、目を暗闇に慣らしているみたいだ。


「あれっ」


 よく見ると、頭の上に尖った耳の様な物が付き出ている人影がある。


 もしかして、さっき来たのは都築先輩だったのかも、またキツネのお面を被って驚かそうとしているのか。


 毎回驚かされているけれど今回は先手を打ってやろう。


「こんばんは、都築先輩来てくれたのですか」


「フフフ、よくわかったね」


 あれっ。声が違う方から聞こえてくる?!


 振り向いて声のする方を見ようとすると、こちらにもキツネのお面。


「えっ」


 もしかして昨日の宙柱神社で見かけた時から、ずっとキツネに憑かれていた!?


 どうやら合宿はまだまだ簡単には終わらない気がしてきた僕だった。


 

後編は明日21時頃更新予定です

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