合宿二日目ースイカ割り決着編ー
「Next time ワタシデース」
楽しそうに叫んだステラが目隠しをされて、スタートラインにつく。
昼間に話していた感じでは、地元では結構アクティブな体験もしていて運動神経も良いらしい。
距離は5メートルで回数は6回、これは結構チャンスなのでは?
少しふらつきながらもスイカの方に向かうステラ。
「もう少し」
「後、3歩」
「いい感じ」
みんな普通に日本語で指示しているけれど、大丈夫かな。
「リピート 真剣白刃取りっ」
高塚さん、それ逆。
「シラハドリー」
そう言いながら棒を振り下ろしたステラ。
通じるんだ。
そう思いながら、結果を見つめる。
「Hit!?」
勢いよく振り下ろされた棒はしっかりとスイカをとらえた様に見えた。
次の瞬間、跳ね返った棒が、ステラの手を離れて宙を舞う。
「えっ」
そのままみんなの様子を撮影していた幸田部長の方へ。
「危ないっ」
誰かが叫んだけれど、もちろん間に合うはずが無い。
コツンと乾いた音をたててカメラを守ってうずくまった部長の額にぶつかった棒は、地面に転がる。
「幸田君!?」
「部長!」
みんなが心配して駆け寄ろうとする中、目隠しをとったステラが、事態に気付いてあわてて駆けつけようとしたその時。
「No〜」
あっ、スイカにつまづいた。
「あーっ」
頭をさすりながら立ち上がろうとしていた幸田部長は、勢い余ってダイブしてきたステラに押し倒されて、再び地面に転がる事となってしまったのだった。
「「「頂きまーす」」」
結局、さっきの騒動で割れかけていたスイカは、そのまま切り分けられて、スイカ割り大会はお開きとなり、夕食の時間になったのだけれど⋯⋯。
「ブチョー、ゴメンナサイ」
僕の目の前には頭にぐるぐると包帯を巻き付けられた幸田部長と、隣に寄り添うステラ。
あの後、医務室で看てもらった結果は軽い打ち身で、湿布をされただけだった。
その様子を聞いた遠山先輩が「こんな事もあろうかと」と言って例のリュックから、応急手当セットを取り出す。
「マカセテクダサーイ」
そう言って受け取ったステラは、部長をミイラ男スタイルにしてしまったのだった。
「ステラさん、大丈夫だから」
そう言って、遠慮しようとする部長の前には、漫画でしか見たことの無い、大盛りにされたゴハンやおかず。
「タクサン タベテ ハヤク ナオス デス」
「そうだぞ!! 男は黙って、パワーだ!!」
そう言いながら、同じ位に盛られたご飯茶碗を持つ遠山先輩。
「ね〜。式はどっちの国で挙げるの〜」
逃げ腰な部長に、いたずらっぽく笑いながら声をかけている宮前先輩。
2人とも悪ノリし過ぎでは!?
「そう言えば、この賞品はどうしようかしら」
結局、遠山先輩の釣ってきた魚はみんなで分けながら食べたのだけれど、他にも賞品があるみたいな事を言っていたな。
「結星先輩っ。賞品ってなんですかっ?」
「愛純ちゃん、これなんだけどね」
結星先輩と高塚さんの声のする方を見ると、何かの券を机において話し込む姿が目に入った。
「えーっ。ここって馬にも乗れるんですかっ」
そういえば、高塚さんは休んでいて知らなかったんだ。
「毎年、こちらのご厚意で招待券を用意していただいているのよ」
例年は、夕食後にゲーム大会をして決めていたらしいけれども、さっきのスイカ割り大会のアクシデントで、時間がおしてしまったらしい。
「あー、あれかー」
佐藤先輩がその様子を見て渋い顔をしている。
そういえば、去年は遠山先輩と佐藤先輩が乗ったって言ってたな。
「牧田、興味あるのか?」
「えっ、いや、何か大変だったらしいですね」
「あれは乗ってみないとわからないさ」
いつも、わざと何をするのかを隠しておいて面白がっている佐藤先輩だけれど、この時ばかりは、去年の暴走エピソードをグチグチと詳しく聞かされる羽目になった僕だった。
今週は3連休という事で明日21時頃も更新します




