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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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合宿二日目ー朝からサバイバル?!ー

「おふぁようございます」


「⋯⋯おはよう。よく起きれたね」


 翌日、眠い目をこすりながら、モーニングビュッフェに向かうと、そこには幸田部長の姿しか無かった。


「まだ皆さん寝ているのでしょうか」


「多分ね」


 そんな会話をしながら自然と欠伸が出てくる。


 どうしてこんな事になっているのか。


 それは、この合宿のもう1つテーマ、流星群のせいだった。


 この時期は、みずがめ座流星群がよく見えるという事で、けっこう遅い時間帯まで粘ってみたのだけれど、昨晩は空振り気味だったのだ。


「まだ明日もあるから無理しないように」


 そう言って江藤先輩達は帰っていったのだけれど、結局僕達が部屋に戻ったのは日付が変わる頃だった。


「佐藤君とタイムラプスで全天撮影もセットしておいたから後で確認してみよう」


 幸田部長とそんな会話をしていると、外から話し声が近づいてきた。


「なんだ!! 今頃起きてきたのか!!」


「遠山先輩」


 現れたその姿は、麦わら帽子にタンクトップ、手には捕虫網と虫かご。


 完全に夏休みの小学生スタイルだ。


「やっと着いた⋯⋯」


 その後から、妙にやつれた様子の佐藤先輩と大山君も顔を出した。


「どこに行っていたんですか?」


 睡眠不足なんて関係ないとばかりに山盛りの皿をかかえて戻ってきた遠山先輩に訊ねると、流星群は明け方の方がよく観察出来るという事で早起きしたのだとか。


 隣室で寝ていた佐藤先輩も巻き込まれ、更に大山君も道連れにされたとか。


 そのまま目が冴えて眠れずに、近くの雑木林までカブトムシやクワガタを狙いに行っていたそうだ。


「それで、その網と虫かごはどこから!?」


「こんな事もあろうかと用意していた!!」 


 あらためて、出発前に「備えあれば憂い無し」と言っていたのを思い出す。


「ごめん。もう限界」


 そう言って自室に戻っていく大山君と、佐藤先輩。


 そのなんだか煤けた様な背中を見送っていると、入れ替わりに、宮前先輩を先頭に女性組が姿を現した。


「遠山君。カブトムシ採ってきたんだって〜?」


「What's カブトムシ?」


 興味津々の宮前先輩とステラに対して、結星先輩と高塚さんは若干引き気味の様子。


「おうステラ!! ディス イズ ジャパニーズ カブトムシだ!!」


「Oh! Rhinoceros beetle (カブトムシだ)」


「そうだ!! ヒー イズ ベリー ストロング」


「Sure (なるほどね)」 


 凄い、完全に勢いとパワーだけで会話を成立させている。


「デモ スコシ チガウマス」


 あらためて翻訳アプリも使いながら説明してもらうと、オーストラリアのカブトムシはもう少し角が小さい種類がよく見られるのだとか。





「あれ、優はっ?」


 高塚さんに言われて気が付いたけれど、そういえば姿が見えないな。


 昨晩、観測室から下りてきて、別れた所までは覚えている。


「もしかして、まだ寝てる?」


「いつもはあたしより早く起きてるよっ」


 なんでも普段は、低血圧で起きられない高塚さんにモーニングコールをするのがルーティンなんだとか。


「ちょっと見てくるね」


 席を立って、彼の部屋のドアを叩いてみたのだけれど、応答がない。


「まったくっ。何やってるのよっ」


 一緒に来た高塚さんがふくれているけれど、普段は起こしてもらっているのでは?


「とりあえず電話してみようか」


 もちろんそんな事は本人に言えるはずも無く、スマホを取ってこようとした時に、下の方から「負けたっ!!」という声が聞こえて来た。


「あの声は遠山先輩!?」


「そうみたいだねっ」


 気になった僕達が再び食堂に向かうと、そこにはテーブルに置かれた大きなスイカと、土まみれになった矢口君の姿があった。


「矢口君、その姿は!?」


「うん、ちょっとね⋯⋯」


 なんでも、普段通りに起きて散策に出かけていたら、スイカ農家の人に出会い、収穫を手伝っていたとか。


「これ、おすそ分けだって⋯⋯」


 説明を終えた、矢口君もまた寝直す為に自室へと消えて行ったのだった。



 

騒がしい合宿はまだ続きます

次回『そうだ牧場行こう』は1月30日(金)21時頃更新予定です

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