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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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夏合宿初日(到着編)

「着いたぞー!!」


「あれっ」 


 幸田部長の様子に危険を感じて1人用の席に避難していた僕は、いつの間にか早くもステラと打ち解けている女性陣のおしゃべりをBGMにしながら寝てしまっていた様だ。


 目をこすりながらバスを降りた先には、遠くに連なる山々と、広い前庭のある木造の建物があった。


「これって学校?」


「昔の小学校を宿泊出来るようにしたのよ」


 聞けば、使われなくなった校舎を改築して、研修用や僕達みたいな天体観測の宿舎として利用されているのだとか。


「なんだか懐かしい感じがしますね」


 木造の建物なんて住んだ事は無いけれど、不思議と親しみを感じる。


「荷物を置いたら、あちらに集合するように」


 高木先生の指さす方向には、竹を組み合わせた滑り台みたいな物が見えた。


 とりあえず部屋に案内された後、言われた場所に向かう。


「これって流しそうめんだっ」


 高塚さんの言う通り、そこに用意されていたのは半切りの竹筒が組まれた装置と薬味の入った小鉢や麺つゆ。


 後は水を流せば、そうめんが流せる様になっている


「What's ナガシ・ソーミン?」


 結星先輩と一緒に来たステラが不思議そうな顔をしている。


「えーと、It's a traditional Japanese summer dish (日本の伝統的な夏の食べ物よ)」


「O.K.」


 甲斐甲斐しくステラの世話をしている結星先輩を見ながら僕はある違和感に気が付いた。


「あれっ。他の先輩方はどうしたんですか?」


 大山君に、矢口君と高塚さん、1年生組は揃っているのに、経験者組の2年生は結星先輩とゲストのステラだけ。


「準備中だからちょっと待っててね」


 一体何の準備を?


「大山君、佐藤先輩から何か聞いてる?」


「別に何も言って無かったけれど⋯⋯」


 その時、僕の脳内に今までの経験から、嫌な予感がよぎった。


「お待たせ〜。それじゃ天文部名物、ドキドキ流しそうめん始めるよ〜」


 ふと上流の方を見ると宮前先輩の楽しそうな声が降ってきた。


「「「「ドキドキ?!」」」」


 1年生組の声が綺麗にハモる。


「それじゃあ第1弾!! 行くぞー!!」


 それ以上は考える間も無く、遠山先輩の掛け声と共に、幾つかの固まりが流れて来る。


 反射的に、流れてきた物をとってしまったのだけれど、この少し太めで半透明なのは、糸コンニャク?!


「ちゃんと茹でてあるから大丈夫だよ〜」


 宮前先輩、それはフォローになってませんけど。


 周りを見ると普通の麺もあるみたいだけれど、軽くパニック状態になっている。


「何これっ。ニュルニュルしてるっ」


「愛純、それって、ところてんじゃない?」


 矢口君と高塚さんも戸惑っている様だ。


「野菜も食べるんだぞ」


 変わって、いつもより活き活きとしている様に見える佐藤先輩がコロコロと丸い物を流し始めた。


「勝志さん、だから教えてくれなかったのか」


 そう言いながら流れてきたミニトマトやヤングコーンをつまんでいた大山君が、いきなりむせた。


「えっ、これ何?何これ?」


 一体何が流れてきたんだ?


「大当たりだな、それは本わさびだ」


 そんな危険物どうやって?!


「遠山と2人で採ってきた天然物だ。良く味わうんだぞ」


 あの大きな荷物の中にはそんな物まで準備されていたのか。


 出発前に高木先生が節度を守ってと言っていませんでしたっけ。


 その後はマシュマロやサクランボといったスイーツ類も流れ始め、僕達も順番に流し役を変わりながら和気あいあいと楽しんだのだった。


「ナガシソーミン 楽しいかったデス」


「来年も、ちゃんとこの伝統を引き継いでいくようにな!!」


 遠山先輩、僕達1年生組はともかく、ステラには、間違った日本の伝統を教えてしまったのではないのでしょうか。


 そう思いながらも、来年は何を流そうかと、少しだけ考えてしまっていた僕だった。

 



今週は3連休という事で明日もあります

『午後の探索編』21時頃更新予定です

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