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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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初めてのモデルロケット作り(後編)

 午後からはいよいよロケット本体の組み立て、最初に佐藤先輩から作業手順の説明があり、その後3班に分かれて、1台ずつ組み立てる事になった。


 組分けは、経験者の佐藤先輩と矢口君、高塚さん。


 佐藤先輩と一緒にライセンスも取っている大山君と遠山先輩に宮前先輩。


 そして、経験は無いけれど、勉強してきたという幸田部長に結星先輩と僕の組み合わせ。


「牧田君よろしくね」


「こちらこそお願いします」


「それじゃあ始めよう、まずは一応説明書なんだけど⋯⋯」


 幸田部長が取り出した説明書にはプラモデルを組み立てる時の様なイラストと説明が書いてあったのだけれど。


「英語なんですね」


「なんとなくは、わかるけれど、専門用語は難しいわね」


 困惑気味の僕と結星先輩だったけれど、幸田部長はあまり気にしていない様だ。


「動画とかで確認はしたから大丈夫」


 いつも不憫な幸田部長が頼もしい、元々観測機材にも詳しいし、やる時はやる人だったんだ。


「それじゃあ最初は下のエンジンを入れる部分から」


 その後も幸田部長の案内で組み立てていくと、翼を持った胴体部分が完成した。


「これだけでも雰囲気ありますね」


「そうだね。接着面が固まるまで、ひと休みしようか」


 時計を見るとまだ15分ほどしかたっていないけれどなんだかひと仕事終わった様な気がする。


「先輩っ。これって好きにやっていいんですかっ」


「?」


 思わず佐藤先輩の班を見ると、高塚さんがロケットの胴体部分を持って、何かをしている様子だ。


 佐藤先輩と矢口君はなんだか居心地悪そうだけど一体何を?


「よしっ!!これで飛ばせるのか?」

 

「待って下さい先輩。まだ固まっていないし、もう少し作業が」


 先走りしそうな遠山先輩となだめる大山君の班も大変そうだ。


「さあ、残りの部分も仕上げていこう」


 他の班も気になるけれど、今は自分達の作業に集中しよう。


「これ難しいですね」


「私に任せて」


 先端部分の下に取り付けるパラシュートの紐に苦戦していると、結星先輩が器用に結んでくれる。


「後はこのコードを通して固定」


 パラシュートを折りたたんで先端部分にセットした後、最後の組み立てが終わると、高さ30センチほどのロケットが姿を現した。


「結構立派なんですね」


「うん、小さくてもちゃんとロケットだ」


「私達のも見てっ、可愛いでしょっ」


 高塚さんの声に振り返ると、そこにはカラフルに彩られたロケットが。


「「「えっ!?」」」


 他の班のみんなが呆然としている中、高塚さんは1人満足気だ。


「いや、確かに胴体部分は好きにしていいとは言ったけれど⋯⋯」


 佐藤先輩が言うには、元々胴体部分に貼るシールがあるのだけれど、好みで色を塗ったりしてもいいらしい。


「愛純ちゃん、センスあるね〜」


 あっ、宮前先輩も自分達のロケットに何かしようとしている。


 その後、もう少しパーツが固まるまでという事で、高塚さんの差し入れしてくれたお菓子で休憩になったのだけれど、その間に僕達の班のロケットまで可愛く彩られる事になったのだった。




「面白い事をやっているみたいだね」


 打ち上げ場所に向かうと顧問の高木先生と松井先輩が話し込んでいた。


「お久しぶりです」


「先輩、見に来てくれたんですか?」


「ちょうど課外授業が終わったから見学させてもらいにきたよ」


 松井先輩の登場に少し緊張しながらもロケットを発射台にセットする。


「準備OK、安全確認よし」


「みんな離れて」


 発射スイッチを持った班の代表者と一緒にカウントダウンが始まる。


「「「10、9、8⋯⋯」」」


 もう少しで自分達で作ったロケットが飛ぶ。


「「「3、2、1⋯⋯」」」


 観測会の時とはまた違う充足感。


「「「ゼロッ!!」」」


 カウントダウンの後、一瞬の間をおいてロケットはシュッという音をたてて白い煙と共に空へと飛び立った。


「わあっ」


 やがてパラシュートが開き、ゆっくりと地上に戻ってくるロケット。


「今年の天文部楽しみだね、これからも頑張って」


「はい、今度は自分達のロケット作りに挑戦したいです」


「その前に期末もあるから忘れない様に」


 そう釘をさす高木先生も楽しそうな顔をしていたのだった。

 

ようやくモデルロケット作り編完結という事で、次回からは夏に向けての物語が始まりそうです

次回『夏が来る』12月19日(金)21時頃更新予定です

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