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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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宮前先輩の試食会

「こんにちはっ」


「お邪魔しまーす」


「は~い。今日はみんなよろしくね~」


 僕達は宮前先輩の実家、宮前ベーカリーに集合していた。


 今日集まったメンバーは、結星先輩、僕、矢口君と高塚さん。


 お店の方からはパンの焼けた香ばしい香りや甘い匂いもしてきて食欲をそそるけれど、僕はこの間幸田先輩から(ささや)かれた胃薬という言葉が気になっていた。


「紗英先輩っ。今日は夏向けの自信作って言ってたけど、どんな感じなんですかっ」


「夏バテで食欲無くなったりするから元気の出る味付けとか、食べやすそうなの考えてみたんだけどね〜」


 高塚さんと宮前先輩の話を聞いていると、特に怪しぃ感じはしないけれど。


「まずはこれ〜。ペペロンチーノパニーニとサラダチキンパニーニ」


 運ばれてきたのは、少し薄めに作られた細長いパンに具材を挟み込んだホットサンドみたいな感じの物だった。


 ペペロンチーノパニーニはニンニクの香りが香ばしいパスタとシャキシャキのレタスが挟まれていて、確かに食欲が湧きそう。


 サラダチキンパニーニはレモンとバジルの風味が爽やかでこちらもいい感じ。


「普通に商品化出来そうですね」


「あたし買いますっ」


「ありがとうね〜。次のを持って来るから、ちょっと待ってて〜」


 そう言って宮前先輩は厨房の方へ向かっていった。


「よかった。後は悪い癖が出なければいいけれど。」


 気になる結星先輩のひとこと。


「倉野先輩、悪い癖って?」


「うん。悪気は無いけれど、時々頑張りすぎちゃう事があって⋯⋯」


 気のせいか、少し引きつった様な微笑みを浮かべる結星先輩の姿を見て、思わず矢口君と顔を見合わせる。


「この前のスペアリブも美味しかったし、紗英先輩って凄いねっ」


 どうやら高塚さんは気にしていない様子だけれど、僕の頭の中には再び胃薬という言葉が浮かんで来ていた。


「お待たせ〜。今度はちょっと刺激的よ〜」


 運ばれてきたのはこんがりとキツネ色をした小型の丸い揚げパンの様な物


「カレーパンですか?」


「マーラーパンよ〜」


「マーラーパンって甘い蒸しパンですよね」


 結星先輩の言葉で警戒心が出てきたのか、矢口君が不安気に聞いてみる。


「それは、マーラーカオよ〜。いいから食べて見て〜」


 少しいたずらっぽく笑う宮前先輩。


 なんだか嫌な予感が更に強くなったけれど、焼きたての熱いパンを思いきって手にとって齧りつく。


「?!」


「えっ!?」


「痛ッ!!」


「紗英、何が入ってるのこれっ」


 みんなの顔が赤くなったり、涙目になっている、僕もあまりにも予想外の刺激に理解が追い付かない。


 手に持ったパンの中には、ひき肉と野菜っぽい物が入っているのだけれど、妙に赤っぽい色をしていて、ヒリヒリと辛い。


「ちょっと辛すぎたかな〜」


 辛いというよりは舌が痛いんですけど。

 

「宮前先輩、この赤いソースって」


麻辣醤(マーラージャン)よ〜」


「それって中国の辛いやつ」


 どうやら四川料理などで使われるスパイシーな調味料が原因だったらしい。


「ほら、夏って辛い物食べて元気出したりするから〜」


 確かに間違っては無さそうだけれど。


「中国でも麻辣湯(マーラータン)っていうスープに揚げパンを浸して食べたりするから一石二鳥ってわけ〜」


「紗英、それとこれとは別でしょ」


 さすがは結星先輩、というかこの場には他に突っ込みを入れられる人がいない。


「ごめんね〜。口直しの甘いの持ってくるから〜」


 再び姿を消した宮前先輩の居ない間に結星先輩に聞いてみる。


「さっき言っていた悪い癖って⋯⋯」


「研究熱心なのはいいけれど、こうして時々脱線しちゃうのよ」


 本人よりも申し訳なさそうな結星先輩の顔を見るとそれ以上は何も言えない僕だった。


「おまたせ〜。スイーツパンも色々作ったから感想よろしくね〜」 


 そう言って戻ってきた宮前先輩は何度も往復するのが大変だったのか、商品を運ぶ時に使う大きめのケースをかかえてやって来た。


「先輩、もしかしてこれ、全部試作品ですか?」


「そうだよ〜。まずは口直しのアンズジャムデニッシュでしょ、次にこれがね〜」

 

 1つ、1つ説明してくれる宮前先輩を前に、胃薬が必要と言っていた幸田先輩の言葉の意味がやっとわかった様な気がした僕だった。


何事もほどほどが1番という事で

次回『初めてのモデルロケット作り(前編)』は11月28日(金)21時頃更新予定です




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