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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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1年生の外出(後編)

「そろそろ中へ戻ろうか」


 その後も大山君の案内で僕達は次々と展示物を見て回っていった。


「あっ宙柱さまっ」

 

 高塚さんが見つけたのは特別展示中の隕石コーナー。


「意外に少ないんだね」


 説明を読んでいくと有史以来の国内の隕石の数は50数個しか無いらしい。


「流れ星って結構見る気がするのにねっ」


「こちらに触れる隕石もあるよ」


 初めて見る隕石は、黒っぽいけれど、金属みたいな光沢があったり、普通の石に見えるけれど、鉄と石が混じり合っていたり、その起源を知ると確かに地球の石とは違う神秘性を感じるような気がした。


「大山君これって」


 矢口君が指した場所には、電子顕微鏡と画像を映し出しているモニターがあった。


「うん、地球に持ち帰られた小惑星のかけらだね」


 僕達が小学生位の頃に話題になっていたのを聞いた事はあったけれど、その実物が

見れるなんて。


 遥かな宇宙を旅して試料を持ち帰り、今でも別の旅を続ける探査機。


 その道のりを辿るコーナーもあり、初代は僕達がちょうど生まれた頃に、もっと困難な旅をやり遂げたらしい。


「本当にあった事なんだね」


 SFの世界みたいだけれど、こうして実在を確認出来るのはなんだか信じられない気もする。


「大山君と佐藤先輩が言っていたロケット作りって⋯⋯」


「うん、そっち方面に進むのは大変だけれど、僕達でも出来る事があるんだって知って、みんなと共有出来たらと思ってさ」


 少し照れくさそうにしながらも語ってくれた大山君。


「いいじゃん、協力するよっ」


「先生の許可出るといいね」


「夏休みの自由研究って事にすればいいんじゃないかな」


「みんなありがとう」


 テスト終わりのちょっとした息抜きのつもりだったけれど、僕達1年生の結束がより一層強まった1日になった気がする。


 その後も展示物を見て回った僕達は、夕方近くまで楽しみながらいつもの街まで戻ってきた。




「ねえ見てっ。駅前マルシェだってっ」


「こんなイベントやっていたんだね」


 時間は夕方になっていて、終わりかけの様子だったけれど、どうやら地元のいろんな店が出店したイベントを開催していたらしい。


「せっかくだから見て行こうよっ」


 高塚さんの言葉で思いがけない縁日気分で僕達も辺りを見て回る事にしてみた。


「お〜い」


「この声って?」


「1年生そろって何処か行ってたの〜?」


「「「「宮前先輩!」」」」


 ブースの中から声をかけてきたのは宮前先輩、あわてて看板を見てみるとそこには『宮前ベーカリー』と書かれていた。


「先輩の家ってパン屋さんだったのですか」


「そうだよ~」


 確かに料理部も掛け持ちしているし、観測会の時も手の込んだスペアリブを結星先輩と仕込んで持って来てくれていたけれど、実家が飲食系と知ってなんだか納得。


「あら、お友達?」


「部活の後輩だよ〜」


 どうやらお母さんと店番していたのかな。


「あらそうなの、紗英がお世話になってます」


「違うよ〜。お世話してる方だ⋯⋯よね?」


 もしかして、宮前先輩のお母さんも天然系なのかな。


「紗英先輩は優しい人ですよっ」


 高塚さんのフォローに僕達も思わずうなずいて場を取り持つ。


「折角だから、これ持っていきなさい。紗英の事よろしくね」


 そう言ってお母さんが僕達にパンを手渡してくれる。


「えっ、いいんですか」


「そろそろ店じまいしようとしていた所だからいいのよ」


「これって宮前先輩も手伝っているんですか?」


「あたしは試食係よ〜」


「この子も色々アイデアは出してくれるのだけどね」


 話を聞くと、今日はイベントの手伝いに来ただけで、パン作りはまだまだ趣味の範囲らしい。


「あたしだって色々考えてるし〜。そうだ、よかったら今度試食しに来る〜?」


「機会があればよろしくお願いします」


「任せて〜」


「楽しみですっ」


 こうして、朝から色々あった1年生だけの集まりは終わりを告げたのだった。

珍しく1年生にスポットを当てた回でしたが、は再び愉快なセンパイの話です

次の犠牲者?は誰だろう

次回『メンテナンスをしよう』は11月7日(金)21時頃更新予定です


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