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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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1年生の外出(中編)

「フフフ、ここが宙柱(そらばしら)様のお社(おやしろ)


 僕達1年生は都築先輩の案内で宙柱神社の境内を歩いていた。


 普段は喋る事全てが不穏に聞こえる都築先輩の言葉だけれど、神聖な場所の為か、おごそかに聞こえるのは気のせいかな。


「先輩、宙柱様はやっぱり隕石だったのですか?」


「フフフ、神様はありとあらゆる所におわすもの」


「山のマイナスイオンと宙柱様パワーでリフレッシュ出来たかもっ」


「フフフ、信じる心が大切なのよ」


 ⋯⋯やっぱりちょっとうさんくさいかも。


 そんな感じで参拝を終えた僕達は、都築先輩に別れを告げて、次の目的地へ向かう事にした。


「ところで愛純、なんでわざわざ遠回りしたのさ」


「自然いっぱいで癒やされたでしょっ」


 うんざり顔の矢口君と無邪気な高塚さんのやり取りを聞いていると、慣れない山歩きや長い石段登りで疲れたとは言えない僕だった。




「大山君、科学館の場所は山の中じゃないよね」


「いや、さすがに普通の街なかだよ」


 苦笑しながら答えてくれる大山君。


 とりあえずお昼を食べた僕達は、午前中の思いがけない運動と満腹感で少しうとうとしながら電車に揺られ次の目的地に向かっていた。


「そういえばこの間の佐藤先輩の話だけど」


「モデルロケット作りの事?」


「意外と簡単だっていってたねっ」


「でも予算とか色々あるだろうね」


 予想外の話だったけれどやっぱり矢口君と高塚さんも気になっていたらしい。


「うん、その事もあって科学館に行こうと思ったんだ」


 大山君も色々とこれからの事を考えてくれていたんだな。


 


 やがて僕達は科学館に着いた。


 子供の頃、色々と不思議な体験も出来る実験装置や、展示物に夢中になった事もあるけれど、こうして目的を持って訪れるのはなんだか新鮮かもしれない。


「ちょっと待ってて」

 

 そう言って大山君は案内所で何かの確認をしているようだ。


「見てー、ここにもプラネタリウムあるよっ」


 施設図の案内を見ていた高塚さんが嬉しそうだ。


 そういえば矢口君と高塚さんが星に興味を持ったきっかけはプラネタリウムだったっけ。


「お待たせ。僕について来て」


 そう言って大山君は何故か外に向かって歩き出した。


 もしかしてさっきの話の流れでロケットが関係しているのかな。


 そんな事を思いながらついていくと、どうやら隣接している広場で何かイベントがあるみたいだ。


「ねえ、太陽の観測会だってっ」


「愛純、歩きスマホは危ないって」


 どうやら高塚さんはスマホでイベント情報をチェックしていたみたいだ。


 太陽って何年か前に話題になって、専用のグラスとかあった気がするけれどあれは日食だったかな。


「大山君、太陽って普通に見られるの?」


「少し観測の方法が違うけど、ちゃんと見られるよ」


 少し違うってなんだろう、そう思いながら広場に着くと、何台かの望遠鏡と参加者らしい人の列が見えてきた。


「あれっ。望遠鏡の下に何か付いてるっ」


 高塚さんの声で望遠鏡を見ると、普段星をみる時に覗く接眼レンズの下に、黒い円盤と更に下に2本の支柱で支えられた白い円盤が取り付けられている。


「あれは太陽投影板だよ」


 大山君の説明によると、太陽は直接観測出来ない為に接眼レンズに映される像を下の白い円盤に映し出してくれる装置だとか。


 やがて順番が回ってきた僕達も投映板を覗き込んでいく。


「黒点までハッキリ見えるんだねっ」


 高塚さんの言う通り、投映板には白く輝く丸い太陽の姿と、その中にある黒い点が映し出されていた。


 1番身近で普段はあまり意識しないけれど、こうして見ると太陽もまた、1つの星なんだなというのが実感出来る。


 そんな事を考えている間に、太陽の姿はあっという間に投映板から消えていった。


「こうして見ると、自転の速さも実感出来るね」


 矢口君の言葉通り、僕達のいる地球も回り続けている1つの星なんだ。


 星の世界の魅力をまた1つ知った様な気がした僕だった。

もうちょっとだけ続くんじゃという事で次回『1年生の外出(後編)』は明日21時頃投稿予定です


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