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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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15/20

迷子の迷子の⋯⋯

 GWの観測会後は中間テストが控えている事もあり、部活は一旦小休止状態になっていた。


 僕も一応顔を出したりはしていたけれど、少し雑談をしては早めに解散するような感じだった。


「早くテスト終わって欲しいねっ」


 今日は、矢口君と高塚さんに会って、そのまま帰る流れになったけれど、みんなテストの事で頭いっぱいなのかな。


「終わったら1年生で集まって、何処か行ってみない?勉強ばかりじゃ嫌になっちゃうよっ」


「そういえば、僕達で集まってというのは無かったね」


 元気いっぱいの高塚さんと、控え目な矢口君。なんだか役割りが反対のような気もするけれど、従兄妹同士ならではの息の合い方だな。


「どこか行きたい所とかあるの?」


「牧田君はパワースポットとか興味ある?」


 そう言えば高塚さんはそういうのも興味あったよな。


「あまりわからないけれど。癒やしとかパワーをもらえる場所みたいな?」


「そんな感じであってるよっ」


「愛純の趣味もいいけどさ、折角の天文部だから、星に関係ありそうな所とかは?」


「とりあえず大山君の都合も聞いてみようよ」


 そんな感じでその日は別れたのだった。




 後日、選択科目で一緒になった大山君にも予定を聞いてみた。


「そんな訳で、テスト終わった後どうかな?」


「うーん。勝志さんがみんなでやりたい事があるらしいけど、大丈夫だと思う」


「佐藤先輩が?珍しいね」


 佐藤先輩は、情報処理部の活動がメインかと思っていたけれど、どうやらそれも天体やロケットの軌道計算の為にプログラミングを始めたらハマっていったらしい。


 幸田部長や大山君と3人で専門的な話で盛り上がったりしている時は話しかけづらい雰囲気だったりするけれど、3年生が抜けて少し変わったのかな。


「どうするかまだは教えてもらってないけどね」


「何をするにもまずは中間テストか」


「うげー」


「仕方ないから頑張ろう。テストが終わるまでに考えておいてよ」


 そう言って、しばらくは勉強に専念しようと思っていたのだが⋯⋯




「きゅーん」


「仔犬?!」


「どうしよう⋯」


 週末前に部室に顔を出したら、困り顔の倉野先輩と宮前先輩。そして、のんきに小皿でミルクをなめている仔犬。


「どうしたんですか、この仔?」


「遠山君がロードワーク中に見つけてきたのだけど⋯⋯」


 遠山先輩、テストは大丈夫なのだろうか?


「牧田君、誰か里親になってくれそうな人知ってる?」


「うーん。ちょっと心当たりが」


「私の家はオリーちゃんが居るし」


「あたしの所もね〜」


 そういえば、前に仲良く散歩させていたな。


「ですよね。それで、見つけてきた遠山先輩は?」


「遠山君なら生物部に聞いて見るって言って出て行ったよ〜」


 とりあえず、そのまま帰るのも気が引けて、あらためて仔犬を眺めてみる。


 まだ小さくて、品種もよくわからないけれど、黒っぽい毛をしていて、時々クンクンと鼻を鳴らしている。


「こんな小さい子が、どうして1匹で居たんでしょうね」


「詳しい事は遠山君から聞いて無いからわからないのよ」


「待たせたな!!」


 ちょうどその時、遠山先輩が誰かを連れて戻ってきたようだ。


「どうも、生物部の東です。迷子の仔犬を保護したとか」


 そう言いかけて、東さんの顔が固まる。


「どうしました?」


「この仔は⋯⋯」


「「「この仔は?」」」


「タヌキの仔です」


「「「「タヌキー?!」」」」


「すぐに元の場所に帰してきてあげて下さい。人のニオイが付くと、野生に戻れないかもしれない」


 そう言われた遠山先輩は慌てて、仔ダヌキを連れて出て行った。なんでも自然公園を走っている途中でヨチヨチと歩いているのを見て連れてきてしまったそうだ。


「ごめんなさいね。変な事に付き合わせちゃって」


 申し訳なさそうな倉野先輩と宮前先輩。


「いえいえ、それよりタヌキって結構近くに居たりするんですね」


「ホントにね〜」



 その後、遠山先輩がロードワークをしていると、タヌキが出てきて、一緒に走り回っているとか、いないとかいう噂を聞いたけれど、僕達は何も知らないふりをするのだった。


実際にこういった出来事はあるそうなので、見慣れない動物を見つけた時はご注意を


次回『活動再開』は10月24日(金)21時頃です


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