19/38
十八、脱獄
「なんとかできるかと思ったが。これは、ちょっと不味いか?」
星影が現れてから一時間が経とうとしていた。
桜城内の牢屋に閉じ込められたままの逢調は、星影によって開けられた穴から外の様子を覗っていた。
星影が無数に降り注ぐ悪夢のような世界から壁一枚隔絶された場所で、壁にもたれかけながら月見里諦止との会話を思い出していた。
『……それはお前が野蛮だっていうだけの話だ。どれだけ憎い相手でも、すぐに殺すという方法を取らない人間もいるっていうだけの話だ。俺の復讐とお前の考える復讐の価値観は違う』
(復讐の価値観、ね)
足元で消えかけている星影の横を通って、崩壊した壁の穴から脱獄を果たす。
慌ただしく人が行き交う桜城の通路を何事も無かったかのような顔で歩きながら、落ちていた短刀で手錠の繋ぎ目を破壊する。
そして、逢調は小さく笑いながら周囲の混乱に溶け込み、その場から去っていった。




