1/38
プロローグ
夜の帳が下りた真冬の森の中。
そこには二人の男女がいた。
男は女を抱きしめるようにしてしゃがみ込んでいた。
抱きしめられている女性は少しも動くことは無かった。
男の躰は僅かに震えていた。
その理由が寒さによるものではない事は、男の頬を伝うものが示していた。
「……すまない……ありがとう」
男は呟くようにして声を絞り出すと、優しく、丁寧に女性を横に寝かせる。
そして、慈しむように一度頭を撫でると、男は暗い闇の中に消えていった。
読んでくださってありがとうございます。
良ければ続きも読んでいただけると嬉しいです。
(評価やブックマークなんかも頂けたら飛び跳ねて喜びます!)