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科学なファンタジアン〜転生者が財政チートする話〜

作者: Wanna.Gonna.

記念すべき処女走行ですので運賃はタダです


快速か鈍行かは選べないので悪しからず


間も無く出発いたします


乗り遅れのないご注意ください


そんな感じの見切り発車で美術館前を焼き払おう


 魔力駆動機関を搭載した魔導機関列車。一車両3600万カシワ也。客車を含めた15両編成なら5000万カシワにもなる。リーズナブルだろ?だが運用する為にはレールの敷かれた土地の利用料と特別に精製された魔力油の購入費を払う必要もある。更に整備技師や運転技術を持つ車掌を雇う為のツテが必要でもある。はっきり言って自分だけの列車を持つなどただの金持ちでは出来ない。高貴なお方でもなければ自分専用を手に入れることなど不可能だろう。


 なんでそんなに業界に詳しいかって?


 発明者兼鉄道会社の経営者だからだよ!(迫真)





 この世に生を受けて僅か5秒、記憶が復活した。それからと言うもの全部を世話してもらう生活に嫌気と快楽(語弊)を覚えてしまった。つまり体の成長に思考を余り割かず、この世界を知ることに専念していたわけだ。昼飯なんか買いに行かなくとも用意してもらえる、欲しい本があれば働くことなく用意してもらえる、取り敢えず欲しいものは金を工面することなくなんでも用意してもらえた。物理的に不可能なものを除いて……。


 そんな訳で欲しくても手に入らない現代的な生活が欲しかったので取り敢えずファンタジー溢れるこの世界に産業革命を起こしてやった。


 取り敢えず貴族の生まれでよかった。無駄に金のある一家であり、存在すらしないまともな金融機関に金を借りる必要もなくいろいろ用意できた。蒸気機関で作ろうかとも思ったが、正直世界観に合わないのでこの世界に存在する魔力とやらに頼ることとした。つまり研究者たちのオンパレードである。造作の深い魔法の教育者なども呼び、万全の態勢で魔導機関の開発に取り組んだ。もっとも蒸気機関について知っていた自分が一番貢献したのではないかと自負しているがな!一応言っておくと発明者は自分を含め連名だ。彼らの力がなくともいずれは独学で生み出せただろうが、時間の短縮につながったのは確かだし、魔法の知識を教わるだけでなく開発を大いに手伝ってくれたのは事実だ。構想を練ったものだけが発明の名誉を得られるのは地球でも100年以上前のことではなかろうか。ノーベル賞などは個人である為例外とも呼べるだろうが、基本的に企業研究を大人数で成功させたならその分名誉を分散させて然るべきであろう。


 閑話休題。

 取り敢えず魔導機関は完成した。次は車体である。これについても魔導機関開発の傍らで手慰みに設計していた。余り機械工学的な機構を持った構造物はこの世界では広まっていない。もちろんないわけではないので建築家だとか馬車作成を生業としている者を招待したりと色々やった。建築家はどちらかと言うと建物のデザインに関するものではなくて建築用の機材を頼りにしてある。これらの作成や設計も建築家の仕事だ。つまりてこの原理を利用したような石材用クレーンを使っているのは彼らだ。彼らは基本的に貴族の屋敷などの建築を手がけることが多いが、それはつまり仕事が少ないということ。絶対数が少なくとも呼べば結構集まった。後は酔狂なことに独学で機械と呼べそうなものを作ろうとしていた人間などもいる。この魔法時代に結構なことだ。少なくとも彼らの働きが報われるのは魔力と機構を繋ぐこの研究成果をお披露目したときだ。


 そんな訳で莫大な人件費、開発費、駅や線路などの工事費など、一つの領地を一年分は維持できそうなレベルの金を動かして遂に完成した。これが普通の研究者なら魔導機関の研究を完成させた時点で売りに行かなければ次に繋げられなかっただろう。だが家のおかげでビジネスチャンスを売り払うことなくここまで漕ぎ着けることができた。少なくとも爵位のある家がやることだ。王族ならともかく一端の貴族の介入など簡単に跳ね退けられる。突貫工事であったこともあり、かなり迅速に革新的輸送路を完成させることができた。少なくともここの領地はでかい。領都だってそこらの都よりも大きい。つまり、この領都内を縦横する魔導列車がついに始動するのだ。領外へはまだまだこれからだし、外の領主と険悪な関係になると攻め込まれかねない為に慎重な行動を余儀なくされているのだ。遅くなることは仕方ない。あと領内の街と街を結ぶ経路は余り多くない。と言うのも実はこの一大プロジェクト、スラムを徹底的に無くすことも目的であるのだ。つまりプロジェクトで低賃金ながら働ける人間としてホームレスたちを雇い、同時に衣食住の提供を行うのだが、これらは普通に暮らしている住人たち向けではないため人手が足りなくなるのだ。もちろん全員が全員スラムの人間という訳ではない。線路などは鉄鋼を加工する技術が無ければ作れない。たまに経営難から無職となってしまった人間が食い扶持を求めて門を叩く事があるくらいだ。


 まあ、低賃金とはいえブラックな職場に比べたら遥かに気前が良い。年間予算を超える金を放出していることもあり、領外を含めて景気は良くなっている。人材を奪っているなどと文句は言われないだろう。領内を訪れる人間の数は本格的にプロジェクトを始動させてからずっと鰻登りだ。商売チャンスなど倍どころではないだろう。世界と場所と時代が合えばアメリカンドリームとでも呼ばれただろうな。さて、後は徐々に黒字に持っていけるように運営をするだけだ。領都内に走らせた数本の線路を中心にビジネスはより大きく発展していく事だろう。人がどんどん集まり、都内に住処を構える。そして職場への移動に列車を使う訳だ。馬車は都内の駅周辺で活動するようになり、遠距離移動の利用客は少ないだろうが列車がほとんどを担うだろう。行商人は貨物列車の利用権を多少金はかかってもより迅速な商品の移動のために買うことになる。領都へと赴くために中継地となる駅のある街もまた同様にして発展していくだろう。ゆくゆくは領内全域に交通網を張り巡らせたいところだ。





 時が経ち、列車の運行が始まる事数年。どこも彼処も人手不足。領には数多くの人間が訪れる。それは国内外問わずであり、人口の増大は過去数百年で一度もない類の規模だろう。少なくとも隠れて設定していたスラムの撲滅は完了した。どこの経営者も出来るだけ給料を高くして人手を確保したい状況だ。そしてここで最も重要とされているのが魔法と機械に纏わる技術を持った人間だ。魔導機関という世界に革命を起こす爆弾を投げたのだ。それを利用したい人間など五万どころではない。何かしらの装置を作ろうと四苦八苦していた酔狂な研究者もどきたちはこぞって金持ち商人に抱え込まれた。彼らよりかはまだ数の多い魔法使いたちは研究者ばかりではない。魔導師ならばまだ教師として手腕を奮ってきただけありいくらか魔導機関に関われそうな知識を持っているが、攻撃魔法を使えるだけの人間はそうではない。ここでも再びビジネスチャンスができた。公立の魔導工学専門学校を作ってやった。これは領都ではなく、鉄道網こそ繋がってはいるが小さな街の、その安い土地を買い取って学校を建てた。同時に研究所もここに移した。静かな土地柄ゆえ、研究するには持ってこいである。ついでに教育機関と連動させることで領主として抱え込める専門者を増やそうという試みもある。この専門学校を入学したいものは数多くいるし、研究者たちも将来有望な若人たちを助手に迎え入れる事ができる可能性がある。卒業後は魔導工学に纏わる企業に就職するか、俺の元で研究者となるか。ほとんど道は出来ている。


 そのうちに学園都市にでもなりそうな街ではあるが、少なくとも直ぐに建造物を乱立させるつもりはない。街の方針は残念ながら住民たちではなく領主もとい俺が握っている。どれだけ金を積まれようともここを騒がしい土地にされては困るのだ。


 あと面白いことと言えばあまりの金の動きに金の流通が間に合わなくなりそうなので貴族会議が行われた。王族主催の領地保有の貴族たちが集められる重要なものだ。領主たる父について行き、色々と話し合ってきた。少なくとも我らが領地は新進気鋭どころか初っ端から大きかったおかげで誰もが平伏す貴族と化していた。まあ王族こそが一番なこの国でデカイ顔をしようとしたら問題が起きかねない。少なくとも複数の領地から攻め込まれるだろう。だが既に根回しはしてあるのでそんなことにはならないはずだ。この貴族会議で話す内容はある程度前から決まっていたものも含まれる。例えば鉄道網の国内中への拡大。これは領都での鉄道の運行が始まった段階で提案していたことだ。まず首都と各領都を鉄道で結ぶ。その為の技術提供は行うので工事費等は任せる、といった内容のものだ。ほんの最初だけ美味い思いをするけど、それは発明者の権利として許してね、だから喧嘩はやめよう、って奴だ。これの有用性はこれからの我らの領を見ていれば分かる、と言って決断を催促することはしなかった。

 んで、本題。既に一つの領だけで経済効果は莫大なものになると早い段階で気付いた故の集まりだ。そこで俺が解決策を提示してやった。紙幣の発行だ。これまでの金とはつまり、貴金属を利用した硬貨である。これはつまり価値のあるものが無ければ意味のないものであった訳だ。そこで代わりとして提示するのが紙幣。国が正式に価値のあるもの、として認めることで迅速な金の入手が可能となるわけだ。ただし、ここで重要なのが発効しすぎないことである。普通にインフレする。これの理解は学のある貴族たちだけあって早かった。そのため、絶対的な基準のもとに金を作る必要が生まれた訳である。少なくとも金を欲しているものが発行する権利を持つべきではないことが挙げられる。そこで国が主体となって作ることとなったのが中央銀行である。国の中心で、しかし国政の関与しないことが決まっている中立者。紙幣の価値を一定に保つ機構を持ち、同時に国公認の金貸し事業を展開するものでもある。

 これが生まれたおかげでどこも彼処も経営者だらけになっているのかもしれないが、少なくとも人手不足というだけで人手のない企業ではない。給料が増えて、少なくとも生活できる程度の賃金が保障されている現状は好ましい。これ以上を払うと経営が立ち行かなくなるし、逆に普通に高給料がまかり通るようではインフレになりかねない。というかなる。景気が良く、インフレは起きない。まずまずといったところかな?産業革命万歳だ。

 さらに数年が経つと国際的な交流が本格化してくるだろう。未だ領地全域に交通網が張り巡らされている訳ではないが、更なる交通手段の開拓に乗り出すとするかな。

楽しかった?つまらなかった?感想はいらねえから似たようなの書けるなら書いてくれ。俺が読みたい。ファンタジーとSFを混ぜて煮込んだサイエンス・ファンタジーを待ってるぜ!




…………感想は欲しがってるやつに取っておけ。

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