リン!
「さて、ルイのところに行くとしましょうか。…リン?いないの?」
あたりを探しても、リンは見つからなかった。嫌な予感がする。
「そこのメイドさん、ちょっといいかしら?」
「はい。お嬢様。」
「リンはどこ?」
「はあ、私どもも探しているのですが、朝から見つからないのです…。」
朝から。そういえば、昨日の夜扱いに出かけて、それから見ていない?…。ということは、
「いえ、昨日の夜からいないのだわ。…メイドさん、お父様にお会いしたいのですが、案内してくださる?」
「はい、お嬢様。」
「リンがいない?…そうか。」
「そうか、ではありませんわ、お父様。誘拐されたのかもしれないのですわよ?探してくださいまし。」
「しかし、私も忙しい身だ。メイドを使って探しなさい。」
「…かしこまりましたわ、お父様。」
お父様には頼っていられない。自分でなんとかしないといけないようですわ。
とりあえず、ルイにあって相談してみましょう。
「ルイ。」
「おお、きたか。待ってろ、今呼んでくる。」
「…。」
「おい?どうした?」
私はその場にへたり込んだ。ぽろぽろと、涙が出てくる。
「おいおい、どうしたんだよ!」
急なことだった。朝起きたら、リンがいないことに気づいて、思い当たるところを探してもいなかった。リンのうちにも行ってみたけど、いなかった。ここにもいないなら、もしかしたら…。
「リンが、リンがいないのぉ。…ひっく。もしかしたら、ひっく。誘拐されちゃったのかもぉ。」
子供みたいに泣いた。ルイがオロオロとしているのを横目で見ながら、私の意識は白い光の中に飲まれていった。




