文字習得!
「リン!」
「ただいま参りました、リイナール様!」
あの後、リンは無事館に入ることが許可され、私はこっそり字を習うことができるようになったのでした。
「皆さん、下がってください。」
部屋にいるメイドを追い出したら、授業が始まります!
「この発音の字はこう書きましてね?」
リンの教え方は工夫されていてすぐに覚えることができました。
「では、試験として本を読んでみましょうか?」
「ええ。」
私が字を読めることはリン以外誰にも知られていないので、リンがこっそり持ってきてくれた本をゆっくりと読み始めました。
「むかーしむかーし、あるところに…。」
短い絵本でしたが、主人公がちょっとかわいそうでしたわ…。
「はい、リイナール様!これで字は習得されましたわね!さて、今後はどうなさいますか?」
授業五回目にして習得ですか…。嬉しい響きですわ。なぜだか飛び上がりたい気分です。それで、これからですか…。
「本を読んだ知識を蓄えます。実践方法や場所については、後ほど考えましょうか。」
「それがよろしいかと。」
さて、リンにも何か報酬を与えないといけないのですが…私にできることなどあるでしょうか?不安に思いながらたずねると…。
「では、私、リイナール様に仕えたいです!」
元気のいい返事が返ってきました。そのくらいなら、お父様に相談すればなんとかなるかも。
とにかく、今日はゆっくり休みましょう。まだまだ先は長いのですから。




