密談とルイ
「まあ、そんなこと…まさか、リイナール様が転生者だなんて…。」
やはり信じることができないようで、リンは私の方をじっと見つめるばかりだった。
「あの、とりあえず場所を移しましょう?どこかいいところはないかしら?」
「あっ、はい。友達の家が経営している喫茶店がすぐそこなんです。よろしければ、そちらに。」
コツコツ、とヒールの音を響かせながら、ゆっくりと進んでいく。
「ルイー?邪魔するねー。」
ルイ?男の子かしら…。
「いいぜ…って、誰だよそいつ?」
「ちょっと、不敬よ!」
「構わないませんよ。ルイ?さんは私の従者ではありませんから。」
そう答えると、ルイは驚いたような顔をして。
「そいつ、お前がいつも言ってるリイナールか?嘘だと思ってた…。」
「だーかーら!私のお嬢様に失礼なこと言わないでよ!」
リンにお嬢様と呼ばれるのは、いつぶりのことかしら…?ちょっと恥ずかしいわね。
「声を抑えなさい、リン。私のことがバレてしまうでしょう?」
「申し訳ありません、お嬢様。」
リンは申し訳なさそうに謝る。もしかしたら、私のことがバレないようにわざとお嬢様と呼んでくれているのかしら?
そんなことを考えながら、ルイにそっと耳打ちしようと顔を近づけた。
「おい!近えよ!」
ルイは顔を真っ赤にして叫んだ。
「ご、ごめんなさいね。」
「うるさい、ルイ。お客さんに迷惑。」
「お前らの存在自体が迷惑だ!」
なんて酷い言葉を吐く男の子なのかしら?まあ、照れ隠しなのでしょうね。
そう思うと、可愛らしく見えますね。
「ルイ、密談できる部屋を貸していただけますか?」
そう尋ねると、ルイは少し真剣な顔をして
「ああ。いいぜ。」
と答えた。




