犯人は
酷い目にあったのだとしても、それは彼女たちのせいではない。それが、ルイにもよくわかっているのだろう。
ルイは優しい心の持ち主ですのね。
類は私のでもなんでもないというのに、私はなんだか誇らしかった。
「申し訳ありませんが、私たちだけにしていただいてもかまいませんこと。今から大切なお話をするのです」
私がそういうと、メイドはぺこりと頭を下げて部屋を出ていった。
頭の中でぐるぐるとたくさんのことを考える。幼い私の頭は、ショート寸前だ。
誰がやったのかはわかっている。お父様、もしくはお父様の手のものだろう。けれど、どうしてルイにかけたのか。どうしてこんなに弱い魔法なのか。それがどうしてもわからないのだ。
「失礼ですが、お嬢様の父君が今回の件の犯人かと思うのですが……も、申し訳ありません」
アイザが申し訳なさそうな顔をしながら申し出た。
謝る必要なんてありませんわ。悪いのは全て、お父様ですもの。
そうは思うが、申し訳なく思う気持ちもわかる私は、ただ黙ってそこに立っていることしかできないのであった。
「何か証拠があればいいのですが」
リンはそう言って首を傾げたが、そんなものは思いつかない。それに、証拠を得たとして何になろう。どちらにせよ私のお父様はしばらくは檻のお世話になることになっている。罪状を増やせたとしても、一年も伸びないだろう。けれど、そうでもしないと気が済まない、というのはわかる気がする。けれど、どんな人であっても彼は私の父なのだ。私以外に、誰が父を庇うというのだろうか。
「……はあ。」
だめですわ、またおかしなことを考えてしまう。
お父様が私たちの敵なのは、わかり切ったことのに。
「お嬢様?」
リンとアイザが心配そうに私を覗き込むのを横目に、ルイは食事にがっついていた。




