潜入③
「ヤミ。」
リイナールがヤミに声をかけた。ヤミはお嬢様の怒りの迫力に声が出ず、なんとか頷くのみだった。
「その男を拘束なさい。」
ヤミは黙って警備員の方をグイッと引いた。そして、警備員の腰に巻いてあった縄を外し、その縄を使って拘束した。
「父はあなた方が呼んだ警備隊によって取り押さえられました。安心なさい。」
ヒカリの方を向いてリイナールはいった。
今夜、リイナールの父はパーティに出かけていたのだ。だから、リンを助け出すチャンスとなった。リンの救出を警備隊に任せなかったのは、この国の警備隊には乱暴な人が多いと噂になっていたからだ。
「その男を警備兵にでも差し出しておくのね。あなたたちは、私の許可のもとこの館に入った客人なのだから。」
この国では、当主、当主でないに関係せず内部の物が呼んだものなら客人として歓迎しなければならないという法律があるのだ。リイナールはアイザたちが作戦会議をしている間、外にこっそり出て必死に勉強していたのだ。
リイナールは持ってきた鍵でリンを牢屋から出した。かちゃりという音とともに牢屋の鍵が開く。
「お嬢様!ルイは大丈夫なんですか!?」
そればかりは分からない。が、今はリンの手当てが先だ。相当乱暴に扱われたようで、リンには殴られた後がいくつもあった。
「ヒカリ。リンを任せるわ。」
茫然とする4人を残し、リイナールは地下室をさった。