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潜入②
「お、お嬢様!?」
警備兵が驚いたように叫ぶ。そこに現れたのは、リイナールだった。
コツコツと靴の音を鳴らしながら階段をゆっくりと降りてくる。そして、警備兵の前に立ち静かに話しかけた。
「おやめなさい、と、言いましたが?」
物凄い迫力だった。味方であるものたちも恐れおののいたほどだ。
「お、ぉじょうさまあ…。」
アイザの情けない声が響く。リイナールと同じく子供であるアイザには、もう限界だったようだ。ルイは歯を食いしばり痛みに耐えていた。
「向こうでルイの手当てをしていなさい。」
リイナールはアイザにそう命令し、残りのものには残るよう命令した。その命令に従わないものは、1人としていなかった。