潜入に向けて
アイザの声を合図に、その場にいた全員の心は固まった。部屋に入ってきたルイに、そっと耳打ちする。
「潰しますわよ。なんとしてでも、リンを助けるのです。」
また前のように赤面するかと思ったのだが、そんなことは一向になく、ルイは真剣な顔で頷いた。
「お前には悪いが、俺もリンをさらったやつを許せねえ。なんとしてでも成敗してやる!」
何時間も、話し合った。私は家の中でさえ自由を許されていないから、内部構造はよくわかっておらず、一から調査する必要があった。けれど、話し合っているうちに調査は完了し、あっという間に館の細部まで明らかにされてしまっていた。
驚きですわ…。さすがヒカリの部下ですわね。いえ、今は私の部下でもあるのでしょうが…。
話し合った結果、リイナールの住んでいる国の軍を動かすのは難しく、自分たちで潜入して助け出そうと言うことになった。
女の子一人のために軍は動かないでしょうし…潜入の時にお役には立てないでしょうけれど、なんとか私たちの力だけで助け出すしかありませんわ。
「アイザ。」
声をかけると、アイザがにっこりと微笑みながら振り返った。
「はい、お嬢様。」
私は一度しっかりと瞬きをし、アイザに命令を下した。
「主人として命令を下します。私の館に潜入し、リンを救出なさい!」
「御意!」
後悔は、しない。
次回、アイザ目線の予定!