リンの居場所
ー数日後ー
アイザは常にルイの家にいるようにするからというので、今日もまた抜け出して行ってみることにした。ここ2日3日は忙しくてどうにも抜け出す暇がなかったのだ。
「外に出す気がないのならば、こんなにお稽古をさせなくてもいいでしょうに…。本当に、困りますわ。」
窓からよっこらせと降りる。リイナールの部屋は都合のいいことに一階だったので、簡単に抜け出すことができる。
「早く、少しでもリンの情報が手に入ればいいのですが…。」
思わずため息が出る。
「ご機嫌よう、ルイ。」
店の前で掃除をしていたルイに声をかける。
「…はよ。」
元気がなさそうだ。
「何かありましたの?」
「…アイザに聞け。中にいる。」
何かよくない情報でも手に入ったのだろうか。店を通り過ぎルイの部屋に行くと、厳しそうな顔をしたアイザとヒカリがいた。
「な、何かありましたの?」
同じ言葉で問いかける。しばらくの間返事はなかった。
「…リン殿の居場所がわかりましたよ、お嬢様。」
そう言われても、素直に喜べない。顔を見れば、何か問題があったのは確かだ。
「…リン殿は、お嬢様の父上のもとに。」
ショックではあったが、別に驚きはしなかった。父は私を疎んでいる。それはどうしようもない事実だったからだ。
リンが邪魔だったのだろう。それはそうだ。大嫌いな娘が外と通じる手段を持ったのだ。隠してしまいたくもなるだろう。
「いくら私のお父様と言っても、誘拐は許されません。潰して下さいまし。」
私だって、お父様のことなんて大嫌いですわ。潰し返してみせますとも。
「お嬢様とリン殿に自由を捧げたく思います。必ずやお嬢様の父君から解放してみせましょう!」