ヒカリ①
目が覚める。もう朝なのか、外は明るくなっていた。
昨日の夜は、寝ようとしても落ち着かず、9時にベットに潜ったのに、眠りにつけたのは12時ごろだっただろうか。そのくらい、リンのことが心配だった。
こんこんこんこん。四回のノックが聞こえてきた。
「どうぞお入りください。」
そう答えると、一人のメイドが入ってきて「ヒカリ様という方がお越しですが…?」
と不思議そうに言った。
はあとため息をつく。何故来てしまったのか。これでは何かを企んでいることがバレバレだ。
「追い返してください。」
私はそういうと、着替えを始めた。いつもはリンが手伝ってくれていたが、今日はメイドが手伝ってくれている。
「ありがとう。でも、一人で大丈夫ですわ。」
にっこりと笑うと、メイドは申し訳ありません!と叫んで部屋を後にした。着替えをしているのだから、扉くらい閉めて欲しいものだが。
質素なドレスを選び、窓から今日も脱出を図った。
なんとかして、ヒカリさんに会いたいわね。これからのこともお聞きしたいし…。
内心迷惑なことをしてくれたと思いつつ、リンを救ってくれる人には興味があったのであってみたいという気持ちはあった。
正門から少し離れた所で待ち伏せていると。
「お嬢様。はじめまして。ヒカリと申します。」
と、金色の髪をした少年が声をかけてきた。
私と同じくらいの歳でしょうか?
「はじめまして。アイザはいないのかしら?」
「ルイ様のお部屋でお待ちです。どうぞこちらに。」
そこには大きな馬車が用意されていて、近いルイの家まで行くには大袈裟すぎるものだった。
ヒカリに何故家に来てしまったのかと文句を言うと、
「申し訳ありません。詳しいお話をお伺いしていなかったもので…。」
と俯きながら話してくれた。それは、アイザがわるいと判断したリイナールは、ルイの部屋につくなりアイザを叱りつけた。ただ、そのお叱りは淡々としていて、実に恐ろしいものだった。
「申し訳ありません!お嬢様。」
そうアイザが言ったとき、ヒカリの眉がぴくりと動いた気がした。仕方がない。自分の主人が、身分も明かさない奴に頭を下げているのだから。
「それに、私の家までよく調べましたね…。嫌いになりますよ?」
「嫌いにならないでください!ほんっとうにお願いです!」
そんな会話は、しばらくの間続いた。