作戦会議②
誰が何をするのかがわからなければ不安だろうからと、アイザは自分の身分と部下について話すと言った。その目には、決意が表れていた。
よっぽど大変な身分なのかしら…?
リイナールも覚悟を決めなければ、としっかりうなずいた。
「私は、隣国ルエナール国の第二王子です。」
その驚きの身分に開いた口を、リイナールは慌てて手で隠した。誘拐事件を解決するというのだから、ある程度の身分はあるのだろうと思っていたのだが、まさかこれほどまでとは。ルイは知っていたようで、何も言わなかった。嘘でしょ、と言いたくなるのを抑えて、リイナールは冷静に
「そう。」
と答えた。今度はアイザが驚く番だった。身分を明かしても、慌てふためかなかったものはリイナールが初めてだったのだろう。
まあ、アイザが動かなくなってしまったわ…。
驚きで動かなくなると同時に、アイザの中には嬉しいと飛び上がりたい気持ちもあった。この人なら、身分ではなく自分を見てくれるかもしれないという、淡い期待を抱いたからだ。
「それより、あなたの配下について話してくれるのでしょう?」
「ああ、そうでしたね。」
アイザは咳払いをしながら話し始めた。
「私の直属の部下は、計二人。文官ヒカリと、武官ヤミです。」
役職だけじゃなく、名前まで正反対なのね…。
「そこから、それぞれ百人ずつ部下が付いています。その百人も優秀ですが、上に立つ二人はもっと優秀です!」
アイザは誇らしげに語った。
「後ほどその二人を呼び寄せますので、その後作戦会議に移りましょう。お嬢様は、どうか本日はご自宅でゆっくりお休みになってください。」
王子なんて身分を持つ人に、お嬢様なんて呼ばせてもいいのかしらと疑問に思いながら
「ええ。」
と頷き、その日は帰路についた。