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1・画面に現れたオッサン

「裕也、起きろ!」


 そんな声と共に布団をはねのけられた。


 今日は休みだというのに何を考えているんだ。


 いや、それ以前に、誰だ?


 俺は上半身を起こして布団をはぎ取った人物に顔を向ける。


 ???


 見たことがない。


 全く記憶にない人物がそこにいた。


「おはよう、裕也。さっさと起きて、さっさと朝食食べて」


 それだけ言うと部屋から出て行った。


 誰?



 そう言えば昨日は何をしていたっけ。


 そうそう、いつものようにゲームをしていた。


 戦車だとか飛行機だとかに飽きて、戦略シミュレーションなるモノに手を出したんだ。


 これがまた凄くていろんな国をプレイ可能だった。


 主要国は一通りプレイしてみたんだが、やはり、日本をどうにかしたいと思った。


 こうしたゲームを始める以前、戦前の日本は凄かった云々という話をネットで見たり、本を読んだりした。


 それを信じていたんだろう。


 しかし、ゲームで触れる戦車や戦闘機は何処か今一歩、欧米に劣っていた。


 なぜ、そんな素晴らしい国が欧米に劣っていたのか?


 戦車や戦闘機に関する書籍、或いは戦前に関する書籍に触れてみると、アレは何だったのかという話がワンさとあふれ出てきた。


 政治なんか戦前も今どきのワイドショー政治と変わり映えしないし、精強な皇軍とやらは苛めや派閥争いで足を引っ張り合ったり命令不徹底だったり、何から何までとんでもなかった。


 調べれば調べるほど、「今と変わりない」部分がどんどん出てくる。


 昔は愛国心に溢れていた?


 その割にはインテリ層は戦争になんか行こうとせずにキャンパスに閉じこもった。結果が学徒出陣。嘘かホントか知らないが、米国はリメンバー・パールハーバーの掛け声でキャンパスから人が消えたとか書いてるのもあったな。

 英国の場合、徴兵されたわけでもないのに貴族は自らの責務として戦地に赴いたという。日本の貴族や華族って・・・


 戦後狂ったという以前のネット情報やソレ系雑誌とはことごとく違う話が出てきた。


 今の日本も昔から地続きなんだと、どこか納得するような話だった。


 だからだろう。


 こんな歴史を根本から変えてみたらどうなるんだろうか?そんな疑問が俺の中に沸いていた。


 そう、それで、昨日は改めて日本を選択してプレイを始めようとしてたんだ。


 そしたら、なぜかブラックアウトしておっさんが画面に現れた。


「ニッポンを洗濯致し候ということかな?」


 何言ってんだ?このキャラクター


「キャラクターではない。神だ」


 ああ、神設定ね。で、神さま何の用?


「理解が速くて助かる」


 まるで何言ってんのか分らん。


「そうかそうか、で、いつからやり直してみたい?」


 会話のキャッチボールが出来てねーよ、これ。その割に、会話になってるのが怖いんだが。


「会話なら成立しているぞ?色々つけてやろう、何だったか、トゥルーだったか?それを」


 それこそ何言ってるのか分らん。それを言うならチートじゃね?


「そう、それだ。過去の日本で俺チートをやるんだ」


 そこはトゥルーだと思うがな。


「まあ、どっちでも良い。何処から始める?」


 そう言っておっさんは説明しだした。だいたい50年ぐらいを弄れるらしいから、維新からだと第一次大戦まで、日清戦争頃なら第二次大戦まで可能だそうだ。

 じゃあ、日露戦争後が良いな。日清日露はあれ以上どうしようもない。如何にかした方が困る気がするんだよな。


「意外な注文だな。まあ、良いか。ただ、少し弄った後に行ってもらおうか」


 ちょっと待て。行くって、どういう事?ゲームじゃないの?


「まあ、ゲームだな。ビジュアルゲームだ」


 何じゃそれ


「流行のアレだ。立体映像とかそう言うヤツだ」


 VRな。


「それだな。ぶいぁーるだ。それで日露戦争直後に行ってもらおう」


 会話できる時点でおかしい事に気が付くべきだった。しかし、なぜかこの時それを疑問に思わなかった。そうさせられていたのかもしれない。


 

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