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生きる意味

作者: u1604

 僕たち人間は呼吸をし、食べ、眠りながら生きている。

 また、笑い、泣き、怒り、嫉妬をしながら生きている。

 目で見て、声を聞いて、好きなものを見つけ、ときには嫌いなものを見つける…きっとそれが生きる意味。


    

     だが、僕には生きる意味がわからない…

 

キーンコーンカーンコーン

 僕は東京に住む高校三年生。杉野陽斗。僕には友達もいなければ、親友なんてもってのほか。何もないことが取り柄。

「ただいま」

僕は誰もいない家に帰って来た。両親は共働きだ。だから両親とは顔を会わせることはほとんどない。

(今日こそは)

そんなことを思いながらロープを握りしめ、リビングにやって来た。僕はロープを天井の柱にきつく結び始めた。

「陽斗ー、入るよー、いないのー?」

(ああ、まただ。また彼女が来た。)

「あ、いた。ちょっとー、いるなら返事ぐらいしてよー」

僕はそんなことを言われても気にしない。

「よし。」

僕はロープを結び終わり、小さく呟いた。そして、首を通そうとした瞬間…

「こら!何がよしよ!」

そう言われて、頭を叩かれた。

(ああ、やっぱりだ。またのがした…)

「また自殺しようとしてたのね」

「うん」

彼女は香川あかり。隣の家の幼なじみ。彼女はいつも僕の邪魔をする。


 3年前から僕はあることを疑問に思っていた。僕には生きる意味がわからない。だから僕は『自殺』をしている。いや、でも彼女がいつも止める。


僕が屋上から飛び降りようとしていると、いつの間にか後ろにいて、僕をひっぱる。また、僕がナイフで首を切ろうとしていると、彼女がいつの間にか僕の手からナイフを取りあげている。そんなこんなでもう99回目。また僕は失敗した。正直とても邪魔だ。そんなことを思いながら僕はしぶしぶロープを片付けた。


あれから一週間がたった。僕は風邪をひいたと言って学校を休んだ。100回目。やっと成功する。もう、誰にも邪魔させない。僕は手を止め、耳をすます。誰も来ない…

そこで僕の記憶は途切れた。


僕が目を覚ますと、病院のベッドにいた。

(ああ、また、また失敗したのか。どうして僕は死ねないんだ。)

僕の隣には泣きそうな、怒っているような顔をした彼女がいた。

「何してんの?風邪って言うから信じてたのに。今度は薬の大量摂取?ふざけないでよ!」

「ごめん。」

「ごめんじゃないわよ!あんたが…陽斗が死にたいなら死ねばいい!もう止めない。でも、そしたら私も絶対死ぬから!」

彼女はそう言って泣き出した。僕はとってもびっくりした。だけど、彼女の言葉はとても深く、強く僕の胸に突き刺さった。彼女はバカだ。こんな何もない僕を心配するなんて…だけど、僕は1つ生きる意味を見つけた。

「ありがとう。あかり。」

彼女はとても驚いた顔をしていた。きっとお礼を言われるとは思っていなかったのだろう。だか、僕は言葉を続けた。

「あかりのおかげで、僕の生きる意味1つみつかったよ。」

そう言って僕は彼女にキスをした。

「えっ…じゃ、じゃあもう自殺しない?」

「うん。しないよ。あかりと一緒にいれるなら。」

「じゃあ、私がずーっと一緒にいて、陽斗の生きる意味たくさんみつけてあげるよ!」

「うん。」



 5年後、僕はあかりと生涯の愛を誓った。僕の世界を変えてくれたのはあかりだ。あれから僕は1つでも多く、生きる意味を見つけていこうと決めた。もしまた生きる意味がわからなかなっても、きっと誰がそばにいて助けてくれる。きっと誰かが自分を必要としていると信じて。それに僕も僕を変えてくれた彼女のように、誰かの助けになりたい。

生きる意味を見つけるために…

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