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if白雪姫・白雪の逃避行  作者: 秋和翔
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赤ずきん1

 2人が森のなかを歩いていると、花を摘んでいる赤いずきんを被った女の子がいました。その姿を見たとき、ハクアの頭であるお話が思い出されました。

 大丈夫。このお話はハッピーエンドだ。私たちが変に関わらないほうがきっといい。ハクアはそう思いました。

「白雪、あの女の子に話しかけてはダメよ。きっとあの子が不幸なことになってしまうわ。早くこの森を出て隣の国に行きましょう。隣の国なら、あの王妃も簡単には追ってはこれないわ」

 2人は話しかけることをせず、女の子の前を通り過ぎようとしました。

「こんにちは。こんな早い時間からどこに行くつもりなんですか」

 しかし、女の子のほうから2人に話しかけてきたのです。ハクアは道を変えるべきだったと後悔しました。

「隣の国までいくのよ」ハクアはそう答え、急いでいるからといって女の子と別れました。


「ハクア、どうしてさっきの女の子に話しかけたら、あの子が不幸になるなんて言ったの」白雪姫は聞きました。ハクアは前の世界の赤ずきんというお話を白雪姫に教えました。

「なるほど。だから話しかけちゃダメだったのね」白雪姫はハクアの話を全部聞いて答えました。

 そんな2人の前に1軒の家が目に入りました。森の奥に家があるなんて珍しいと思っていると、中から悲鳴が聞こえてきました。2人は急いで家の窓から様子を窺いました。

家の中では狼にお婆さんがまる飲みにされようとしています。白雪姫は助けようと思いましたが、先ほどハクアから聞いた話を思い出しました。

 ここまではちゃんとお話どおりじゃない。また私のせいでバッドエンドになってしまうのなんて耐えられない。だから白雪姫は窓から離れ、出発しようとしました。

「ハクア、急ぎましょう。赤ずきんのお話どおりなら私たちは必要ないはずだわ」

「うん。でもなんか嫌な予感がするんだ。白雪姫もマッチ売りの少女も私が知っているお話じゃなかった。だから赤ずきんだって・・・」

 白雪姫とハクアはしばらく目を合わせました。

「赤ずきんのお話の結末までどこかで隠れて様子をみましょう。それでお話どおりなら、早く出発してしまいましょう」

 白雪姫のその言葉にハクアはうなずきました。

 

2人が木の陰に隠れていると、赤ずきんがやってきて家の中に入っていきました。ほどなくして家の中から女の子の金切り声が聞こえました。2人は今すぐに飛び出し助けにいきたい衝動を抑え、様子を窺いました。すると家から大きないびき声聞こえてきました。少しすると狩人がやって来て家の中に入っていきました。2人は顔を合わせました。大丈夫。あの子はお話どおりにハッピーエンドだわと2人が安心したその時でした。中から悲鳴が聞こえてきました。

 ギィィ――と嫌な音を立て扉が開くと、狼が狩人の足を引っ張って出てきました。狩人は首から大量の血を流し、遠くからでももう手遅れだろうと分かるくらいズタボロにされていました。

「ハクア。貴女から聞いた話とは違うわよ。異変に気付いた狩人さんは赤ずきんとおばあさんをおおかみのお腹から助け出すんじゃないの?」

「やっぱりこの世界では、私の知ってるお話どおりにならないんだわ。結局人生なんて物語通りになんて進まないのよ・・・・。どうしよう、白雪。私たちで2人を助けないと」

「でもどうやって。私たちにはあのオオカミを懲らしめる物は何もないのよ。逆に返り討ちにあってしまうわ。助けを呼びましょう」

「白雪。自分の立場を分かっているの。私たちは国から追われているんだよ。人に助けなんて求めたら、その人に捕まってしまうかもしれないのよ」

 2人は互いに押し黙ってしまいました。狼は狩人をそのまま家の前に放ったまま、森の奥へと歩き出しました。このままでは2人を助ける機会を失ってしまう。でも自分たちには助け出す力はない。2人がその2つの鎖に縛られ、身動きをとれずにただ離れていく狼の姿を見ていた時でした。ハクアが狩人の肩から下げられているものに気が付きました。

「白雪、鉄砲の撃ち方って知ってる?」

「うん。まだお城にいるときに何回か撃ったことがあるわ」

「よかった。白雪、狩人が肩から下げている鉄砲は見える?」

「うん、見えるわ。ハクア、もしかして・・・」

「私がオオカミを引き付けるから、その間に白雪はあの鉄砲を取ってオオカミを撃つの」

「ダメ。そんなの危険すぎる。私、撃ったって言ったけど昔の話しだし、それに動かないもので練習した程度よ。それに本当は当てられたことだってないの。ハクアが命を懸けてまであの2人を助けなくちゃならないの」

「・・・・。私たちはあの2人がオオカミに食べられるの見過ごした。最初会ったとき、私があの女の子にしっかりと話していれば2人は、少なくともあの子は食べられなかったし、狩人も死ななかったかもしれない。それに前の世界で私は助けてほしいとき誰にも助けてもらえなかった。だからこそ私は助けなくちゃいけないと思うの、あの2人を。私はどうせ1回死んでいるし、白雪と会わなかったら昨日あのまま死んでいたかもしれない。それに今このまま見過ごすなんて、私が殺したも同然だわ。お願い、白雪。力を貸して」

 白雪姫は黙ってうなずきました。誰かを殺してしまった罪悪感の重さと苦痛を白雪姫は嫌というほどに分かっていたから。そしてまた自分も2度とあんなことを繰り返したくはないと思ったから。

 2人は少し作戦を練りました。そしてハクアが木の陰から飛び出すと言いました。

「待ちなさい、そこのオオカミ。私が貴女のお腹にいる2人を助け出すんだから」

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