表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
if白雪姫・白雪の逃避行  作者: 秋和翔
10/10

白雪姫の裁判

刑法の条文など出てきますが、判例をしっかり参照していないので、自分では適用されるかどうかは怪しいと思う部分の悩みながらのところもあるので、注意です。所詮フィクションですので、ここに出てくるものを知識として頭に入れてはいけません。

 王子は白雪姫の提案を受け入れました。そして王妃のもとに白雪姫と婚姻すること、そして裁判を行ってほしい旨の手紙を送りました。返答は思いがけず裁判を行うことを了承するというものでした。

 そして今日はその裁判の当日。今から白雪姫の裁判が始まります。


「それでは事実の確認を致します。白雪姫側の主張によりますと、白雪姫は魔女を装った王妃により毒入りリンゴを仕方なく受け取った。リンゴがこの世で一等嫌いだった白雪姫はそのリンゴを捨ててしまうのももったいないと思い、当時同居していた7人の小人たちあげることにした。そしてその毒入りリンゴを食べてしまった

小人たちは即死。自分が犯人だと疑われるのを恐れその場を逃げてしまった。ですが、白雪姫には小人たちに殺意などなく、リンゴに毒が入っていることも知らず、リンゴに毒が入っていることなどは通常予想されるものではないので、白雪姫には帰責性ないので、白雪姫は無罪である。今回の事件で真に罪に問われるべきは毒入りリンゴを白雪姫に与えた王妃のほうである」

「一方、王妃様の主張はこうです。白雪姫は殺す目的で7人の小人たちと同居を始めた。白雪姫は小人たちから信頼を充分に得たと考えたある日、自分で街まで出向きリンゴ買った。そしてそのリンゴに毒を混入し、小人たち食べさせた。もちろん小人たちは即死。目的を達した白雪姫はそのまま小人たちの家を後にした。白雪姫のこれらの行為は、計画性があり、殺意も充分に認められるのであり、これは刑法199条の殺人にあたるものである。また7人の殺害というのは、残虐極まりないものであり、白雪姫の処刑を要求する。また白雪姫の主張が認められるとしても死体を置き去りにしてその場を離れるというのは、人としてあるまじき行為である。それに白雪姫の小人たちをベッドに移した行為は、刑法190条にあたる死体遺棄である。白雪姫の立場上、彼女を厳しく罰する必要があるのであり、3年以下の懲役ではなく、白雪姫の処刑が妥当である」

 こうして互いの主張の事実確認が行われました。王妃はすでに勝ち誇った顔を浮かべています。

「ではここで王妃様の証人をお呼びしていますので、証言してもらいましょう」

 そうして1人が証言台に立ってしゃべり始めました。覚えた台詞をいうだけのように。

「僕は果物屋です。1人の少女が私の店に来ました。もちろん、白雪姫様です。私たちのようなものとは違う雰囲気だったのでよく覚えています。白雪姫様は、果物をなめるように見ていました。そして私におすすめの果物を聞かれました。私は蜜柑と林檎がおすすめですと答えました。白雪姫様は、ではリンゴを1つお願いするわと言ったので、私は真っ赤で1番美しい林檎を選んで売りました」

 白雪姫は王妃の虚偽に翻弄されました。白雪姫も弁論を繰り広げましたが、なにぶん時間と証拠が足りませんでした。毒入りリンゴも存在せず、魔女を装った王妃が訪ねてきたということの証拠も、王妃が白雪姫を殺そうとしていたことも証明することは出来ませんでした。


「最後の弁明の時間です。それでは白雪姫からお願いいたします」


「もしかしたらこの最後の弁明が私の最後の言葉になってしまうかもしれません。私はきっとこの裁判に勝てないでしょう。それは最初から覚悟していました。どんな手をうったところで王妃に有利なように進むことは明らかでした。それでも私が、私から裁判の提案したのは逃げたくなかったからです。国民の皆さんに本当のことを曲がりなりにも知ってほしかった。私の主張するところは事実ではないとされてしまうかもしれません。ですが真実であることは誰にも変えることは出来ません。王妃は何度も私を殺そうとしました。その方法の1つが毒入りリンゴです。私はそれで生命としては死ぬことはありませんでした。ですが人として殺されました。私は自分の死の恐怖から、小人たちを置き去りにしてしまうという人としてしてはいけないことしてしまいました。そこで人としての私は死にました。逃げているなかで、私は新たな友人を作りました。逃げずに留まる者がいること知りました。不思議な音色で逃げずに立ち向かう勇気を引き出してくれた人もいました。そして私が人として生きるための復活の場を作ってくれた愛する者と結ばれました。ここで新たなことを皆さんに知らせたいと思います。王妃は本当に残忍な人です。いや、人ではなく悪魔に憑かれたなにかです。王妃が今の地位にいるのは計画的なものであって、私の母の不幸な死によるものではないのです。私の母を人質に王妃になったのです。私はこの生命《いのち》を懸けて伝えたかったのです。この女を信用や信頼してはいけないのだと。この女こそ処刑されるべき罪深いものであると」


 白雪姫は最後の弁明を終えました。王妃は白雪姫の告発に驚きはしたものの動揺はしませんでした。王妃は最後まで白雪姫を悪として断罪すべきと主張しました。

 そして国民たちによる投票により、白雪姫は有罪と判断されました。


 有罪となった白雪姫は、国民の投票が終わり、結果が公表されたその日のうちに処刑されました。その後白雪姫はガラスの棺に入れられ、王子様に引き取られました。

 

 白雪姫は逃避行のなかで何かを見出し、何かを得て、何かを失い、何かを残していきました。

 最後に勝つものを英雄や勇者と呼ぶのでしょうか。最後に負けたものは敗者でしかないのでしょうか。それとも白雪姫のように逃げてしまっても、最後に立ち向かうものを勇者と呼ぶのでしょうか。それも違っていて、1度も逃げずに立ち向かうものを英雄として称えるのでしょうか。

 そうであるなら、その逆はいけないことなのでしょうか。いつか白雪姫がいったようにそれは軟弱で正しくないことでしょうか。

 

 この問いにマッチを片手に持った少女と赤いずきんを被った少女は「白雪姫は勇者だ」と答えます。ある笛吹き男は「最後に負けたものは敗者でしかない」と答えます。ある国の王子様は「逃げることは軟弱でも正しくないことでもない」と答えます。

 私は「                               」と答えます。

 最後の最後のお話でした。最初から最後まで読んでくれた方、ほんとうにありがとうございます。もちろん、この話だけを読んだ人も感謝していますよ!!最後の『私は「   」と答えます。』の部分は読んだ方それぞれの考えで締めてほしいと思います。

 

今回の連載作品、自分としては駄作の作品です。最初の予定より長くなってしまって、自分でも書くのが大変でした。心情描写を描きたかったのですが、出来ませんでした。台詞が多くなってもっとしまった・・・。伏線もしっかりとたてたりしたかったのですが・・・上手くいきませんでした。題名を逃避行としながらも、逃げている感じを全く表現できなかった、誤字脱字など反省点が多い作品になってしまいました。

 

 ここからは裏話みたいものですね。この話だけ読んだ方は読む必要がないですね。っていうか私のあとがき自体読む必要はないのですがね。もしこの話を読んで最初から読もうと思った人にもあまり読まない方がいいかも・・・。ネタバレをしてしまうかもしれないので。

 旅についてこなかった赤ずきんですが、最初の頭の構成のなかでは一緒に逃げる予定でした。それもお友達としてクマをつれながら・・・・。どこぞの金太郎だって話ですが・・・・。それが仲間にならずにお別れしてしまいました。またハーメルンの笛吹き男。こいつは白雪姫に子供たちを売るという予定だったのですが・・・・売らずに立ち去ってしまいました。さらには白雪姫は処刑されず、母親と再会し、ハッピーエンドで終わる予定だった・・・・のですが・・・・。なぜだかこんな終わり方になってしまいました。あと今回のお話は、しっかりと似た判例を参考にしながら進め、緊迫した雰囲気を表現するつもりでもありました。ですが、判例をさっと探しても納得いくものが見つからず、時間をかけて判例を探すのも面倒になってしまって諦めてあっさりとしたものになってしまった。ほんと今回の作品は反省点が多い・・・・。

 私なんかがいっても説得力もないし個人的な見解でしかないのですが、やはり作品は生き物だなと思いますね。なかなか思ったとおりにいかない、思ったとおりに生きてくれないんですよねぇ。だから思いどおりに作品を書いている人や、浮かんだシーンに繋げるために話の流れを創れる人を尊敬します。自分も精進しなければ・・・・・。まぁ思いどおりいかないっていうか、最初と違うものになるのも面白いとは思いますけどね。


長いあとがきになってしまいました。あとがきまでも最後まで読んでくださった方、感謝感謝です。それでは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ