始まり 1
「おい雄大!余所見すんな!!」
ふと顔を上げると目の前に口煩い友人の顔がどアップで迫ってきた。
「やめろ気色悪い」
慌てて手で顔を押し返す。
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今日は都立南陽高校の修学旅行一日目だ。先程東京をバスで出発し農作業体験の為に岐阜県のとある農村に来ている…のだが、もうバスから降りて15分は歩いたと思うのにまだ村につかない。
暑い茹だる。翔太に余所見するなと声を掛けられなければ足を踏み外して澤に落ちていたかもしれない。
煩いけど偶には役に立つじゃねぇか。
と、心の中で色々考えつつ足だけ動かしていた。
ふと、視線を感じたので振り返る。だが背後には誰もいない。
どうやら置いていかれかけていたようだ。
前を歩いてる翔太に
「おいおま、置いてくなよ!!!」
と一言掛け、タックルをかます。
翔太は面白いくらいに不意打ちタックルに受け身を取れず吹っ飛ぶ。
「おいてめぇ!!お前がちんたら歩いてるのが悪いんだろ八つ当たりしてんじゃねぇよ」
翔太に盛大に怒鳴られ、引率の教師が慌てたようにこちらに振り向いて歩いてきたのを見たので
「すいません何でもありません」
と、謝っておいた。
「全く、置いてったくらいで八つ当たりするな心が狭いんだからお前は」
気にしてることをドストレートに言われたので
「うるせぇよお前www」
と黙らせようとしたら
「は??俺ほど静かでイケメンで優しくて性格が」
「直視できない」と本音を言ってやったのに
「高尚すぎるからだろ?」とか抜かしてくるので
「痛い厨二病無理気持ち悪い死ね」
また始まったよ翔太の厨二MODOKI。こいつは性格は良い奴なんだが時々厨二病臭い事を言うから彼女も出来ないんだ。
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そんな他愛ないやり取りをしていたら村の入り口についたようだった。
先生が「これから村に入るけど、村のしきたりでトンネル潜る前に一礼してから入れよ」
とか何やら言ってたのをうけて翔太に
「おい、お前どんなしきたりだと思う?」と問いかけると
「ごめん、体調悪いから今ちょっと会話出来ない」と予想外の返答が帰ってきた。
いつも煩い翔太が静かだととても違和感がある。
あり過ぎて驚き、翔太の顔を見ると確かに真っ青だ。
「おいお前本当に大丈夫か?村ついたら寝かしてもらえよ?」
「おう」
本当に翔太が静かだと張り合いが無さすぎて困る。
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一礼してトンネルに入ると空気が明らかに変わった。トンネルの中ってこんな寒いんだな。冷気が体に絡み付いてきて寒気がする。
トンネルを出た後夕食までお決まりの班での自由行動となった。先生に翔太を休ませられる場所が無いか聞き、宿泊予定の施設に先に入れてもらった。
黴臭い部屋に入り布団を敷く。翔太は布団に入り「少し寝るわ、すまん」
とらしくもない事を言ってくる。
ナンダコイツキモチワルイどうしたんだ。
「おう、元気出せよ。元に戻れよ張り合いが無い」
と励まして宿舎の外に出た。
待たせていた残りの4人、中野さえ、市井 有紀、村中 涼太、浅尾 悠に軽く謝り、自由行動の日程について
「これからどうする?」
と聞くと
「佐藤くんは?」
中野さんがウサミミのようなツインテールを揺らしながら首を傾げた。
「あいつ体調崩して宿舎でおねんねしてるよ」
「そう」
気だるそうに延びをしながら、浅尾君が珍しく口を開いて
「なら適当にどんな感じか見に行かね?」
と思ってた事とほぼほぼ同じ提案をしてきたので
「いいっすねぇ。それ俺乗った!」
と焚き付けると他のメンバー3名も賛成してくれたようでみんなで村の見学…もとい探検に行くことにした。
なんで探検かって??探検の方が遊び心が擽られて面白いじゃないか。
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明日は朝から班ごとで農業体験をするのでお世話になる予定の方の家に行くことにした。沸木さんと言う名前の方らしい。
「都立南陽高校の高校三年生5班の望月雄大です。」とノックをして訪ねると
「あぁ、農業体験の方じゃろ?こないな時期に偉いことやなぁ」
と、沸木さんが出てきた。
「あ、同じく高3の中野さえですよろしくお願いします。」
「浅尾悠です。お世話になります。」
「市井 有紀です。よろしくお願いします。」
「村中 涼太と申します。よろしくお願いします。」
「あ、あと佐藤雄大って子が今は居ないんですが」
「5名か。把握したぞ。明日からよろしくなのじゃ。」
沸木さんに微笑みながら見送られ、家を後にした。
初めまして。かぷりこです。初めての作品なので誤字脱字変な表現が多いと思います。ごめんなさい<(_ _)>
もし何かあればご指摘お願いします!!
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まだまだ一日目ですが頑張って継続的に書いていけるように頑張ります。