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四 room≒self
#1
空っぽの部屋に居る
ここには何もない
ここには誰もいない
存在が存在することを拒んでいるのではなく
そもそも存在が出入りするドアがない
何も得ないし失わない
部屋の中は伽藍堂だけど
部屋自体は充たされている
かなしみと形容するしあわせに
#2
距離感も質感も曖昧な部屋に居る
瞼を閉じた色をした壁
或いは都会の夜空の色をした壁
手で触れる寸前に霧散する
眼で触れることすら難しい
夢を纏う現の境界が滲む
存在するための座標が存在しない存在は
存在するのに存在しないことになる
まるで稚拙な言葉遊びみたいに
#1+2
空っぽで曖昧なこの部屋は
つまり箱で
結局は脳で
意識やら自我と呼ばれているそのそれだ