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トイレット・ヘル  作者: 橘 雅
8/9

パーティ集結。童顔と小便と坊主と美人

「うーーん。なんやかんやよく眠れたな。今日は自分で起きれたぞ。」


匂いで寝つきが悪かったりして、寝るのがどうしても遅くなるため、いつもカナに起こされているんだが

いつもより目覚めがよかったため、気持ちよく伸びをする。


「あれ?全く匂わないな?流石に香水の効果は切れてる筈なんだが。呪文唱えてても少しは匂うんだが。」


辺りをキョロキョロと見回してみる。昨日、鼻に詰めていたティッシュが、何かの拍子で抜けたのか、転がっているのと、最低限必要な装備や物、食料が置いてあるだけで、カナの姿がどこにも見当たらない。


「カ、カナちゃん!?どこに行ったんだ?」


この世界にやってきてから、いつも側にいて活動を共にしてきた存在が急に消えたのだ。心配にならない訳がない。誘拐されたのかだの考えてしまう。


「とりあえずガイルの家に行ってみよう」


パジャマを脱いで、戦士っぽい軽装備に着替えるとガイルの家に向かった。


一方そのころカナは


ドリザーグから助けてもらった僧侶フウカをギルドに案内していた。

ギルドに向かい歩いていると、香水の効果が切れたのか、モワーンと小便臭くなりだしたので、クリアを唱える。


カナの匂いに気づいたのか、フウカが笑顔で問いかけてくる。


「私は気にしないから大丈夫ですよ。しかし、すごいですね。少し恥ずかしいかもですけど。アリだと思いますよ。」


「私は気にしますよ!どれだけこの匂いに困らせられたか!まあ、ありがとうございます。あーぶぇっくしゅん。あー風邪引いたかな」


気にしないって言われるのはありがたいが、どうしても迷惑だと思ってしまうため極力この匂いは封じたいのだ。

ここ最近、深夜の草原で呪文を練習していたのだ。夜中の草原は冷えるので風邪を引くのも無理はない。


「そうでしたか、それは無神経でした。すいません。風邪は大丈夫ですか?薬使いますか?」


白いローブを着た美人が心配そうに話しかけてくる。


「いえいえ大丈夫です!多分大したことないですし。身体だけは丈夫なんで!」


力こぶを作りアピールする。全然できてないけどね。


「それより、もうすぐ着きますよ!あそこです。」


「わあ、立派な建物ですね。楽しみです!」


カナが指差した建物は、カナにとっては見慣れていて、フウカには新鮮に見えていた。

2人が談笑しながら歩いているうちにギルドにたどり着いた。


ギルドのドアを開いて中に入る。


「おおー臭い姉ちゃん。今日は早いな。ゲンキは一緒じゃないのか?ん?隣の…うおおおおおおおおおおおおおおおおこりゃあ美人だあああああああああああ」


大柄の男がニコニコと声をかけてくる

カナもこのギルドには慣れてきており、愛着のある臭いいじりも定着しつつある。

カナがギルドに初めて訪れたときの反応とは正反対で、男達はフウカを歓迎する。


「臭い臭いうるさいよーもう。ゲンキくんは多分まだ寝てるかな。この人はフウカさん。今日からギルドに入るからよろしくね。」


「いつも一緒だったのに珍しいな。おお、本当かそりゃあ歓迎するぜ。」


男達からすごい歓声があがる。


「フウカです。僧侶をやらせていただいてます!

これからご指導ご鞭撻よろしくお願いします!」


「固い固い。ここの奴らはいい奴らばかりだからなんでも聞いてくれ。姉ちゃんクエストカウンターに案内してやんな。」


「ほんとにいい奴らばっかりですかね?私が初めて来たときは臭い臭い臭い臭いって」


カナの穏やか表情が変わる。


男は冷や汗をかきながら

「いやあ、あのときは悪かったってほんとに」


これを見てフウカも思わず苦笑いが出る。


「フウカさん。あそこだよ行こう。」


男に一礼してフウカはカナの後に続いてカウンターへ向かった。



ゲンキはガイルの家に到着していた。

ドアを叩きつけるようにノックすると、あちこちに傷ができてるハゲが飛び出してきた。


「ガイルうううううううううううう!大変なんだ!カナちゃんがいなくなっちゃった。」


「おう、ゲンキか。なんじゃ?とりあえず中に入って落ち着けい!」


部屋には身体を鍛える道具や、動物や獣のモンスター写真集がズラリと整頓されている。他にも船乗りの使いそうなものが置いてある。


この前のクエストで連れ帰ったグンガルもすっかり懐いている様子だ。名前はラークと言うらしい。愛情表現で噛み付いたりするのが、なんとも言えないが。


「よーしよしよし。ラークはかわええのお」


だが、この溺愛っぷりである。こいつのケモナーっぷりはどうにもできないらしい。


とりあえず朝起こったことを説明する。


「わしのとこには来ちゃおらんのう。しかし、心配じゃな。ギルドに行ったら何かあるかもしれんし、行ってみようかの」


ガイルの言うことは最もだ。ギルドに行けば何かわかるかも知れない。


「よし、じゃあ行くか。」


「おう、ほいじゃラークお留守番頼むで」


ラークは噛みつこうとするが、なんなく避ける。

これ本当に懐いてんのか?と疑いたくなるな。


ギルドに到着し、ドアを開ける。


「おう、ゲンキ!カナなら来てるぜ!」


大柄の男が挨拶してくる。


「本当か?よかったあ。」


あそこだと言いながらカウンターの近くのテーブルを親指で差す。


カナは見慣れないめちゃくちゃ美人な人と楽しそうに談笑していた。

よかったああああああと、ほっと胸を撫で下ろす。

テーブルに近づくとカナの肩をポンポン叩く。


「よかったああここにいて。カナちゃんとても心配したんだよ。」

少し泣きそうで怒り気味のゲンキ。この程度で情けない。


「ここにおったかカナ。朝からゲンキがうるさくてやれんわい」


「2人とも心配かけてごめんね。ゲンキくんありがとう!実はかくかくしかじかで」


カナは毎日深夜の練習をしてたこと。ドリザーグのこと。フウカのことを話す。


「そんなことが。ドリザーグ……恐ろしいな。練習なら俺も付き合ったのによ。大丈夫だった?てか、ごめん守ってやるって言ったのに…」


「プーププ。確かに守ってくれるって言ってたねwww

練習は確かにそうだね。でも、自分の力でなんとかしてみたかったんだ。今度からはそうするね」


「お、おう」


「でも今回は私の不注意だったから。ゲンキくんは悪くないよ。今度はよろしくね。それにフウカさんが助けてくれたから。」


ゲンキはフウカに頭を下げ、ハゲは軽く会釈する。


「カナちゃんを助けてくださってありがとうございます。俺はゲンキと言います。よろしく!」


「フウカと言ったかの〜。わしはガイルよろしく頼むわい。今回はありがとのう」


「私はやりたくてやっただけなので。役に立ててよかったです。人を手伝ったり、役に立つことが好きなんです。こちらこそよろしくお願いします!」


笑顔が眩しい。素晴らしい美人は優しいし綺麗だし、スタイルがいい。男2人の目はどうしても胸に行く。

カナは自分のと見比べてショックを受けた。

ないことはないんだよ。あるにはあるんだがね。と思いながら、男性陣を睨みつけた。


「えっほん。で、フウカさんはこれからどうするんですか?」


「そうじゃどうするんじゃ?」


「特にこれといって決めてはないんですけど。役に立てる仕事がしたいと思って来ましたので」


「そっかあ。まあ、俺らがやろうとしてることも、めちゃくちゃ大きな人助けって言ったら間違ってはないけど。流石になぁ…」


「え?なんなんですか?教えてください!」


目を輝かせて聞きたがっている。

まるでエサを欲している犬みたいだ。


「あー、実は…」


魔王討伐を目指していることを説明する。


「なるほどなるほど。魔王が侵略をはじめていて、街が荒らされたりと大変なことになるかもしれない。それを食い止めようとしてると。はいはい。」


ブツブツ言いながら頭の整理をするフウカ。


「わかりました。是非私にも手伝わせてください!私は回復魔法などたくさん使えますし、お役に立てると思いますよ!大きな人助けの仲間に入れてください。お願いします。」


「もちろんこっちからお願いしたいぐらいです。ゲンキくんもガイルさんもいいよね?」


2人とも頷く


「じゃあ、これからよろしくお願いしますフウカさん」


カナは手を差し伸べた。


こうしてフウカが仲間に加わり、本格的なパーティになった


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