ボンキュッポンな美人と最強ドラゴン
ここは、ゲンキとカナが借りている宿。
1つ屋根の下男女2人で住んでいるのだ。問題は尽きない。
クンクンクンクン。
「くっせーな。毎晩ではあるんだが、なかなか寝れねぇよ。本人には言えないけど。」
隣で静かに眠っているカナに目をやる。
寝顔も可愛いなぁ。と考えたりニヤニヤしそうになるが、匂いで理性は抑えられる。
「可哀想だし、俺も気にしないとは言ったけど。ちょっと困ったもんだから、なんとかしてあげないといけないな。」
ゲンキは側に置いてある。ティッシュの箱から2枚とり、鼻に詰める。寝苦しくなるが、普通に寝るよりはマシになるらしい。
余っている香水を何個かカナにかけておく。
「あーはやく寝よう。今は考えてもわかんねえよ」
ゲンキは疲れていたのか、すぐ眠りについた。
カナは目が覚めていたらしく
「ごめんね。いつもありがと……」
寝ているゲンキの耳元に囁く。
「さて、少し練習しに行かなきゃ」
ヘドロルドにやられそうになって以来。いろいろ考えたのか。毎晩夜遅くに呪文の練習を欠かさずするようになった。
パジャマを脱いで、いつものローブを着て、キャップを深く被り外へと飛び出した。
「バブル」 「フレイム」「スパーク」
町の近くにある。いつもクエストで訪れる草原だ。
夜中なので近所迷惑も考えたのか、ここでしている。
「前よりかは多少はよくなったかもね。いつも匂いばかりで、呪文うまく使えないからなぁ」
溜め息と文句を垂れつつ、繰り返し唱える。
「ふぅ。今日はこんなものかな。」
疲れたのか、その場に腰を落ち着ける。
「やっぱ初級呪文だけじゃな〜。ユニークスキル使ったほうが……いやダメダメあんなお下品なのダメ」
1人で首を横振り、紛らわす。
そんなこんやなんやかんや休んでいると。
「グゥルルルルルルルルルル」
「う、嘘でしょ…」
カナの足がブルブルに震える。
「グゥアアアアアアアアアア」
ドス、ドス。
得体の知れない大きな黒いドラゴンが咆哮をあげた。
ポケットのギルドパッドが光り、説明を始めた。
ドリザーグ
ドス黒い鱗を纏った。ドラゴン族のモンスター。
目撃情報はあまりなく、青白い炎を纏ったり、吐いたりとした攻撃を得意とする以外詳細は不明だが、最強クラスのモンスターだと言われている。
カナは顔が真っ青になり怖くなってくる。
「こんなの聞いてない。まず深夜はモンスターは現れないって……いやいや、おかしいでしょ?夢だね夢だよね。アハハハハ」
ドリザーグはカナに気づいたのか、もう一度咆哮をあげ、ブレスを吐き出す。
カナは折り畳み式の箒を取り出し、どうにか乗る。
「はやく逃げなきゃ。て言っても箒乗り慣れてないんだよなぁ」
なんとかバランスを取ろうとしていると、青白いブレスがローブをかする。
「わ、焼けちゃう。私、焼いても美味しくないですよドラゴンさん。」
燃えているローブの火を手で払い、箒のバランスをとる。
「箒難しいなぁ。練習しとけばよかった…」
落ち込んでいる暇もなく。ドリザーグはブレスを連発している。
「あー、どうにかしないと。怖いけど、戦わなきゃ。」
「初級呪文 バブル」
特殊能力シャワーで威力をあげ、バブルを唱える。
いつも通りの戦いかただ。
ドリザーグも流石に攻撃が急にきたからか、軽くよろめいた。
しかし、すぐに立ち直り体制を立て直す。
「流石は最強クラスのモンスター。強いよね。でも、効かないことはないみたいだ。撃退ぐらいは……」
そんなこと言ってるのもつかの間。ドリザーグは翼を広げ、青白い炎を纏い、箒に乗っているカナに近づいてくる。
ドリザーグの突進をもろに受けて、背中から地面に叩き落とされる。
「ぐっぐはっ」
しんどい。身体がすごい痛むがなんとか立ち上がろうとする。
もう、夜が明けたみたいだ。
「セルリア!」
近くから声が聞こえると、カナの体力が回復した。
「大丈夫かしら?」
目の前には、長身でスタイルのいい女性が笑顔で立っていた。
白い頭巾を被り、白いローブを纏っている。ポンキュッポンというのだろうか。男が好きそうな体つきに、顔も美人だ。手には魔道書で腰には鞭をつけている
「あ、助けてくれてありがとうございます!」
「たまたま、通りかかっただけですの。でも、ここを通れてよかったです。あなたを助けれたから」
そんな話してるのも御構い無しにドリザーグは空から急降下してくる。
「シールダー!」
美人が何か呪文を唱えると。ドーム状のシールドに包まれる
ドリザーグの突進でシールドにヒビが入るが、なんとか防ぐ。
ドリザーグはブレスを吐こうとするが。日が出たのを気にしたのか、翼を大きな広げ遠くへ飛んで行った。
「やっ、やったの?」
「あのドラゴンは多分夜行性なんだと思います。しかし、すごい狂暴でしたね。」
「そうですか。はぁ、怖かったぁ」
「どうして1人であんなドラゴンと?えーっとなにさんでしたっけ?」
「私はカナです!ここの近くの町のギルドで魔法使いをやっています!えーっと実は……」
事情を説明すると。
「あーそうだったんですね。このようなことがありましたし、これからは注意していかないといけないですね」
「今回、こんなことを経験してよくわかりました。他を考えてみます」
ここ辺りでは深夜に活動するようなモンスターは生息していなかったため。たまたまこのような事態になってしまったようだ。
あー!そうだ!と何か閃いたのか美人が言う
「私は、フウカと言います。見ての通り僧侶をしていて、ギルドを探していたんです。カナさんがよければギルドに案内していただけませんか?カナさんの呪文の練習の力になれるとも思いますし」
「ありがとうございます!わかりました。案内しますね。よろしくお願いしますフウカさん!」
こうして、ドリザーグを撃退することに成功?して、フウカをギルドに案内することになった。