初クエストへ ピンクの布と微かな手応え
ギルドに着くと2人はお互いの死因について話していた
「ギャッハハハ。トイレで死んだって。なるほどな」
「もうそんなに笑わなくていいじゃない。ゲンキくんだって、トラックに轢かれたくせに。ベタじゃんか。」
カナは怒って席を離れると、香水をつけ直し、クエストボードに近づく
「うーんどれもこれも厳しそうなのが多いなぁ」
大型モンスターの討伐系の依頼が多い。この時期は大型モンスターがよく繁殖していて、小型のモンスターなどは隠れてしまうために依頼が少ないのだ。
魔王軍の侵略も関係してるのだとか。なんとか。
一番ランクの低いものでも、先程カナがやられそうになった。ヘドロルの強化版ヘドロルドや、ゴリラ型のモンスター、弱いとはいえドラゴン系のクエストもある。
「これは、トラウマになってるからしばらく無理だなぁ。」
ヘドロルドの依頼書に目を通しながらぼやく。
はぁ。と溜め息をつき諦めているとクエストボードの端に貼ってあるチラシに気づく。
《バイト募集中》
「これだあああ!」
カナは叫んで、座って飲み物を飲んでいるゲンキの元に向かう。
カナの声に吹き出しそうになる
「びっくりして、飲み物出そうになるだろ。で、なんだ?」
「あーごめんね。これ見て見て」
笑顔でチラシを見せてくる
「あー何々バイト?いいんじゃないか。俺も金ないし。大型モンスターばっかりだと流石にまだ怖いだろうし。やってみっか。」
て、ことで楽しい楽しいバイト生活のはじまりはじまり。
仕事内容は露店の手伝い、広場の見回り、掃除。町に迷い込んだモンスターの駆除。まあ、何でも屋ってやつだね。
バイトをはじめて一月が過ぎようとしていた。
ギルドでいつものように飲み食いする2人
「さーて。バイトをはじめて部屋を借りて、装備も整ってきたしそろそろ活動開始といこうぜ。」
「そうだけど、まだ怖いんだよね。バイトは安定してるしまだ続けない?なにかと楽しいしさ。」
「はあ!何言ってんだよ。そんなことだとカナちゃんずっと弱いままだよ。俺らの目標は魔王討伐はやく行くよ」
カナの腕を無理やり引っ張り、クエストボードの前に連れて行く。
「ちょっとおお。女の子はデリケートなんだから。無理やり引っ張ったりしたらだめだよ」
「んなもん関係ないよ。やる気ださないお前がわるい」
ちぇっと舌打ちを軽くしてカナは黙り込んだ。
クエストボードの前に着く。
一月前とあまり変わっていなかったが、小型モンスターや採取クエストなども少しだけ増えている。
まだ大型の繁殖期のため。小型とはいえ凶悪なモンスターが多い。
「まあ、仕方ないな。これにしよう」
ゲンキはクエストボードに貼ってある依頼書を取り、クエストカウンターに向かう。
「で、何を受けるの〜」
拗ねた顔の人が聞いてくる
「ああ。グンガル3匹の討伐だよ」
「ヘドロルドじゃないなら。なんでもいいよ。行こ」
クエストカウンターで報告を済ませ、現場に向かう。
町を出てすぐの草原に奴らはいた。
グンガル 狼型モンスター。群れで活動する。素早い動きで翻弄し、攻撃する。
「グゥオオオオオオオ」
グンガル達はカナに気づき雄叫びをあげる。
カナは杖を構え、距離をとる。ゲンキも二つの剣を抜き構える。
カナはいつもと同じように、シャワーで威力をあげバブルを放つ。
しかし、難なくグンガル達はそれをかわす。
グンガル達は素早く移動し、カナの周りを囲む。
「きゃー、どうしよ。バブル、フレイム、スパーク」
様々な属性の初級魔法をとりあえず放つ。混乱しながら唱えたため。狙いが定まらず当たるはずがなく、かわされる。
グンガル達は距離を詰めカナに襲いかかる
「カナちゃん!」
ゲンキは助けに向かおうとするが、思わず顔を隠す。
「ちょっちょっとやめてよ。クリーニングに出したばかりなのにぃ。離して」
グンガル達はカナのローブに噛みつき引っ張る。
「ピ、ピンク……」
グンガル達はローブを引っ張っているから、チラチラとピンクの布でできたものが見えてしまい、近づくことを躊躇う。
「ゲ、ゲンキくん?ちょっと何見てるんですかぁ!助けてください」
仕方なくカナを助けに行こうとすると、グンガル達が急に痙攣し崩れ落ちる。
不思議に思い近づいてみると
「えっ?あ、カナちゃん臭い。香水の効き目きれてるよ」
カナの常時発動されている特殊能力ピー スメル。香水の効き目がきれたことにより、匂いが急に強くなったのだ。グンガル達はカナのローブに噛みついていたのだ。たまったものじゃないだろう。
「自分が嫌だと思っていた匂いに助けられたみたい。なんかものすごく変な感じだよ。」
怪訝な顔をしながらも、カナはこれからもこの匂いと付き合っていけそうだと、微かに手応え感じた。
「カナちゃん止めさしとかないと。後、なんかよかったね。」
「あ、うん。嬉しいようで悲しいような。よかったのかなぁ」
カナはバブルを唱えた。
グンガル達の痙攣は止まり動かなくなる。
「香水つけときなよ。俺は気にしないけどさ。」
「はいはい。どうも、むっつりスケベさん。お気遣いありがとう。後、今回は報酬全額私のだからね。」
ニコリとカナが怖い笑顔を見せる
「えぇ!なんでだよ。確かに何もできなかったけどさむっつりスケベとかやめてくれよ」
カナも正直自分の体臭で相手が勝手に自滅しただけで、何もできてはいない。
「ほんと、強くならなきゃいけないなぁ」
改めてそう実感した。
「え、なに?」
「私のパンツ見物代は高いんですよ。男の人に見られたことなかったんだから。」
「だって、しょーがないだろ。見えてしまったんだから。まあ、ほんとごめん。」
顔を真っ赤にして困っている
「もう、冗談だよ。冗談。今回はよかったけど、前に言った通りこれからは守ってね。期待してるから」
こうして、初クエストが終わった