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トイレット・ヘル  作者: 橘 雅
3/9

ギルド到着 自分という敵

次回よりバトルに入ります。

教会から飛び出すと見たことのない世界が広がっていた。まるてまファンタジーの中のようだ。


「す、すごい」


周囲を見渡してみる。露店がたくさん並んでいる。

よく見てみると、だいたい人間が店をしているが、小鬼などが店を開いているとこも伺える。


広場には大きな水の噴水とマグマでできた噴水が二つある。


山や川を見ても山は針山だったりマグマが流れているようなとこや、川も川で普通の川と、青紫色の川があったり、所々地獄っぽいところがあって、地獄に来たんだなと納得してしまう。


「ここは本当に平和なところだったのかなぁ…見るからに危なそうなとこいろいろあるけど…ここの人達にとっては普通なのかもね。」


独り言を言いつつとりあえずギルドらしい建て物を探してみる。


町のど真ん中に大きな建て物があるのが見えたので行ってみることにする。


露店などを見ながら歩いて向かっていると。周りの私を見る目がおかしい。鼻をつまんだり、睨んできたりと、全然歓迎ムードじゃない。やはりこの体臭は強烈らしいので早くなんとかしたい。


「弱ったなぁ。こんなの耐えられないよぉ…」


帽子を深く被り、泣きそうになっている顔を隠す。


周りの目をできるだけ気にしないように歩き、なんとかギルドに到着した。


「あー怖かった。匂いどうにかしたいなぁ。これじゃあギルドに入るのも怖いよ。あーママに会いたい。家に帰りたい!」


駄々をこねても無駄なものは無駄なわけで。死んだのだから家に帰れるわけもない、渋々ギルドに入ることになった。


ギルドの扉の上にはなにやら看板が貼ってあり「ライルのギルド」と書かれている。ライルとはどうやらこの町の名前らしい。


「仕方ないよね。とにかく入ろう。私が憧れた異世界での生活が始まるんだ!頑張らなきゃ」


自分に言い聞かせ扉を開ける。


「頼もうー!」


大きな声でアホみたいに言う。別に言う必要なんてないのにね。


ギルドの人達の視線が一気にカナに集まる。反応は様々で、鼻をつまみだす者、目を点にしている者、気にせず酒を飲みまくる者、全く相手にしない者などいろいろいる。くっせぇなんだこれと大きな声ではっきり言うものもいた。


カナはギルドに入って第一歩で崩れ落ちそうになるが、なんとか踏ん張る。


「私の名前はカナ!魔王を倒しこの世界を救うために遠いところからやってきた魔法使いだ!」


カナは好奇心旺盛で強気なとこと、打たれ弱くて泣き虫なとこがあるめんどくさい性格の持ち主なんだが、ここは強気で崩れずに頑張ってかっこつける。


ギルドの人達の反応はガッハッハと大きな声で笑う者

お前みたいな子供がなにほざいてんだ。帰ってママのおっぱい吸ってろ。無反応な者。相変わらず匂いを気にする者などといて。誰も支持する人はいない。


カナはその場に崩れ落ちて泣いてしまう。


「うぅっ…ぐすん…」


流石に女の子を泣かしてしまったので、ギルドの人達も慌て始める。


「おぉ、すまんかったな。もう笑ったりしねえよ。魔王討伐とか立派な目標だぜ頑張れや!」


「俺にゃ、魔王討伐とか無理だとお前はできると思うぜ。堂々と宣言したわけだしな」


「臭いとか言ったけど。慣れればそんなもん気にならねえよ」


ギルドの人達が手の平を返したようにカナに慰めの声をかけはじめる。


カナが慰められてる最中誰かがギルドに帰ってきたらしい。


「戻ったぞぉ!」


カナと同じ歳ぐらいだろうか。長身でいい感じの筋肉質。背中に二つの剣を背負っていて、幼い顔立ちをしている。


「おい。ゲンキどうにかしてくれ。お前と同じ魔王討伐を目指してる子らしいんだが。俺らが冗談半分でからかったら泣いちまってさ…」


「おい、あんまり人をからかうんじゃねえよ。」

呆れたように言いながらカナに近づく


「大丈夫ですか?」


カナはゲンキという名前を聞き閻魔が言っていたことを思い出す。


「大丈夫です。すいませんこんな姿で、あなたがゲンキくんですね。探していました」


そう言った彼女は涙を拭うと笑顔で話しかけてきた


彼女は美人というより可愛いといった印象で、目がクリッとしており。深くキャップを被り、髪を肩まで伸ばしている。身長はあまり高くなく、背中に杖を背負っている。

※ゲンキ目線




「俺を探していたとは?あなたも魔王討伐を目指してるみたいですけど。てか臭いな。すごい匂うよ。」


「実は閻魔さんにあなたを探して協力するように言われてたんです。酷いなぁもう。みんなそればっかりだよ。それについては後で話します」


流石に臭いと言われ慣れてきたのか、泣くことはなく口を膨らませて拗ねる。


「なるほどね。じゃあ仲間ってわけだ。そういやギルド登録はした?」


鼻をつまみながら聞いてくる


「いや、まだですけど。そんなに臭いですか……」


「じゃあ登録したら俺と組まないか?協力しろって言われてるわけだし、目的は同じ魔王討伐だから一緒にいたほうが都合はいいと思うぜ。仲間はいたほうが心強いと思うし、楽しいからさ。それは、ごめんけど臭いなw」


カナは仲間という言葉にワクワクした。1人で魔王討伐なんて無理だと考えていたし、仲間は欲しいと思っていた。


「もちろんOKですよ!よろしくお願いしますねゲンキくん!最後の一言は余計だけどね」


ニコっと笑っているように見えて、カナの目はちょっと怒っていた。


ギルドのカウンターに行くと。マスクをしたお姉さんが受付をしていた。


カナはこれには流石に溜め息がでて

「なんか、迷惑をかけてごめんなさい。」


カナの小便の匂いのせいで、気づかないうちにいろいろな人に迷惑をかけているみたいだった。


「とんでもないです。えーっとカナさんでしたっけ。こちらこそ申し訳ありません。やっぱりこんなのよくないですよね」

お姉さんはカナに気を使ったのかマスクを外す。


「そんな、気を使わないでください。」


お姉さんの優しさに涙がでそうになる。


「大丈夫ですよ!ではこの書類にサインをお願いします。」

彼女は笑顔で書類を渡してくる。


カナは素早くサインを書く。


「では、これがギルドパッドです」


デジタル式の端末が渡された。


「それにはカナさんのレベルやスキル、職業など様々なデータが記録されていきます。他にも、マップ、モンスターの情報なども載っています。失くさないように使ってくださいね。」


「ありがとうございます!」


登録を終えると、肩をポンポンと叩かれた。


「登録終わったね。じゃあ早速クエストに行きたいんだけど。ちょっとここで待っててくれる?少し用事があるから」


「あ、はいわかりました!」


ゲンキは急いでギルドを飛び出した。



カナが鼻歌まじりに歌いながら待っていると。ゲンキが帰ってきた。


「一応これ。俺からの餞別だ。貰ってくれ」


袋から青い液体の入った瓶を数本取り出す。


「これは…?」

不思議そうに瓶を見る。


「これはクリアという香水だよ。モンスターに状態異常にされたり、匂いをつけられたりしたら使うんだけど。ごめんあんまり言いたくないけど、カナちゃんは臭いからさ。元からの匂いとかだと一定時間経つと効果切れちゃうから何本か持っとくといいよ。加齢臭とかにも効くからおばさんとかにも人気なんだぜ。」


「なんか、気を使ってくれてありがとう。でも、臭い臭い言い過ぎ。」


そう言うとゲンキから受け取った香水を使う。


「どう?匂わない?」


「ある程度は落ちたみたいだけど。やっぱりまだ少し臭いね。カナちゃん尋常じゃないよ。まあ、気にならないぐらいだから大丈夫だと思う。」


カナは流石にショックを隠せないが。まあ、しょうがないかと開き直る


「尋常じゃないか…ごめんねこんなに臭くて。私も臭くなりたくてなったわけじゃないんだよ」


慣れたとはいえ。流石に1日にここまで臭いと言われ、あまりいい目で見られず。味方がいなかった。

メンタルはズタボロだろう。それにただでさえ打たれ弱い。


また泣いてしまった。


「弱いなぁ私。こんなんじゃあ魔王討伐なんて無理だよね」


ゲンキにニコリと笑いかけ走ってギルドを飛び出した


「カナちゃああん!」


確かに自分にも非はあったが。あそこまで追い込まれているとは

「追わなきゃ…」


ゲンキはカナを追いかけた。


カナがギルドの外にでると。町が騒がしくなっていた。


どうしたのかと思い、広場に出てみると。


青緑色のスライム状のモンスターがうじゃうじゃ沸いていた。


「戦わないと。そういや、ギルドパッドに情報が載ってるって。」


ヘドロル マグマが腐って変色したのがモンスターへと変化したもの。単体だと大したことはないが、群れで活動する。


人々の話を盗み聞きする限りでは、マグマの噴水から半年ごとぐらいに沸くらしい、いつもは駆除隊が来たりと対策しているみたいだが、今回は時期が早かったらしく遅れているらしい。


「まず、マグマの噴水なんてつけないでくださいよもう」


カナは文句を垂れつつ、杖を構えた。



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