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トイレット・ヘル  作者: 橘 雅
2/9

小便臭い救世主

光が解き放たれるとなぜか教会の中にいた。


「お嬢ちゃんが今回地獄に導かれたって子かい?てか、お嬢ちゃんくっさいな〜。その体臭はなんだい?体洗ってる?」


鬼の形相をした緑色の大男が、初対面だと言うのにセクハラまがいのことを言っている


「うわぁ!びっくりした〜。多分そうですけど、いきなりなんなんですか?人の体を臭いとか失礼じゃないですか?」


ぷーっと頬をふくらます。


しかし、そんなに臭いのかと匂いを確認してみると、臭かった。何というか小便臭い。


自分の体の匂いを嗅ぎしかめっ面をしていると


「お嬢ちゃんはひょっとして……ああ!トイレで死んだんじゃな。そら臭いわけじゃわ」


ギャッハッハッとモニターを見ながら、大声でバカにしたように笑う。


カナは涙目になって今にも泣きそうだ。


「いい加減にしてください!あなたなんなんですか?

いきなりでてきて体臭いとか、なぜか私の死因も知ってるし、大笑いするし。私、女の子なんですよ。デリカシーなさすぎです……なんも知らないのにいきなり、臭いとか言われた傷つきますよ。」


カナは泣き出しながら訴える。


カナは女の子なのだ。前世はか弱い女子高生。いきなり知らない大男に、臭い臭いとかバカにされて笑われたらたまったもんじゃないだろう。


緑の男はおろおろして、戸惑っている。


「お嬢ちゃん……こりゃ申し訳ない。まさかこんなことになるとは思わなくて。わしは、閻魔大王という者なんじゃが。一応この地獄の王様に当たる者で。じゃから、あんたが地獄に来た理由や死因を知っとったんじゃ…」


カナは地獄に来る前に、リアさんに閻魔大王によろしくと言われたのを思い出した。


カナはパジャマの袖で涙を拭う。

※説明がありませんでしたが。カナは朝トイレで死んでしまったため。パジャマ姿のまま転生しています


「あなたが、閻魔大王だったんですか…イメージしてたのは怖くて厳つくて強そうな方だったんですが。あなたは陰気で最低な人ですね。で、私はなんでこんなに体がくさいんですか?知ってるんですよね?」


「そこまで言わんくても…わしも傷つくよ。匂いの原因はこれじゃの」


閻魔は手に持っていたモニターをカナに見せる。


モニターにはこう書かれていた。


高橋香奈 17歳 ♀ 死因 トイレで頭をぶつける。

特殊能力 ピー スメル、シャワー、ロックヘッド

職業 魔法使い、

スキル スカンク、スメラー


「これは…一体。」


カナは困惑する。なぜか見ていてあまりいい気分にはならないし、訳がわからない単語が多い。


「んまあ、簡単に説明するとじゃな。この地獄という世界に転生した人の能力などは、死んだ場所によってだいたい決まるんじゃ。お嬢ちゃんはトイレで死んでしまった。あんまり言いたくないんじゃが。聞きたいか?」



カナは首を横に振りそうになったが、多分知らないと何も始まらないので、覚悟を決めて聞くことにした。


「お嬢ちゃんの特殊能力は、ピースメル 小便臭くなる能力。シャワーは水の呪文の威力が上がる能力。

ロックヘッドは頭を使った物理攻撃が得意になる能力じゃな。」


カナは死んだ場所が小便をした後のトイレで、流すボタンを押した後に、トイレに頭を打って亡くなったからこのような能力になったらしい。と説明される。


死因が同じでも死に方によっては様々な能力を得ることができるらしい。場所によってももちろん違う。


カナは黙って閻魔の話を頷きながら聞く。


「職業については、魔法使いは、呪文などを唱えて攻撃する一般的な職業なんじゃが。この二つのスキル見たことがないのぅ。お嬢ちゃんだけのユニークスキルかもしれん。

スカンクは臭い匂いの物理攻撃。スメラーは匂いを使った呪文などが覚えられるようじゃな。」


えーなんだそのスキルは。聞いていて思わず吐きそうになる。


「その下品なスキルは私だけのものだとしても絶対使いたくないです。」


閻魔はハハッと苦笑い。


「とりあえずこれが見習い魔法使いの装備一式じゃ」


閻魔は異空間のような場所から魔法使いの装備を呼び出す。


魔法使いの装備は、暗めのローブに、魔法使いっぽい帽子ではなく、男の子が被るような黒色のキャップに、木の杖に伸び縮みする箒を渡された。


「帽子がキャップってなんなんですかこれ。他のは普通の魔法使いっぽいものですけど…」


「ああ、それはわしの趣味じゃ特に理由はないよ。女の子がキャップ被ってるのって可愛いじゃろ。」


ニヤニヤしながら閻魔がいう。


「考えは気持ち悪いし、最低ですけど。まあ、帽子自体はいいと思いますよ……」


「じゃあ、私はこれで失礼しますね。まあ、いろいろとありがとうございました。」


カナは頭を軽く下げると、去ろうとする。


「ちょっと。お嬢ちゃんまだ話は終わってないんじゃが。」


カナは振り向くと、閻魔が申し訳なさそうな顔をしている。


「なんなんですか。私は早く冒険の世界に踏み出したいんですけど。」


「実はお嬢ちゃんは、救世主としてここに呼ばれたんじゃ。」


カナは驚いた。そんなこと聞いてない。ここは平和な場所だと聞いていた。


「私はそんな話は一つも聞いてないですよ!なんなんですか救世主って」


「あぁ、無理もない。ついこないだの出来事じゃからな。まだリアには情報がいってなかったんじゃろう」


「え、じゃあ一体なにが」


カナが不安そうに閻魔の顔を見る


「この地獄はここ最近まで平和なとこだったのは聞いているじゃろ?しかし、ここ最近異世界で倒された魔王が地獄にやってきてな。そやつがこの世界を乗っ取ろうとしとるんじゃ。わしも、最近までエンマ城という城で人々を見守って生活をしておったんじゃが。魔王がやってきて城を追い出されいまはこの様じゃ。じゃが、わしはこの見た目の癖に戦闘能力など皆無。戦うことができん。もう魔王は侵略をはじめようとしとる。頼む、お嬢ちゃんしかいないんじゃ。魔王をとめてくれぇ」


閻魔は頭を下げる。そう土下座である。


「わかりました!私がこの世界を救ってみせます!」

ニッコリ笑顔でカナが軽く答える。


カナは転生するときに最初異世界に行きたいと言っていた。カナはゲームやアニメのような大冒険を求めていたので、断る理由はなかったのだ。


「ありがとうお嬢ちゃん!お嬢ちゃんの匂いなら。魔王も楽勝じゃな」


閻魔が軽くからかう。


カナは言わないでと目で訴えながら。改めて自分の体臭を確認する。やっぱり臭い。仕方がないがこの匂いともどうにか付き合っていくしかないようだ。どうにか抑えたいものではあるが。


閻魔が思いついたような表情を浮かべた


「そういえば、最近ここに転生した男が1人おったんじゃ。お嬢ちゃんと同じ歳ぐらいかのぉ。そやつも魔王を倒すために呼ばれた救世主じゃ。まだこの町にいると思うから、是非合流して協力し合ってもらいたい」


「そうなんですか!ちょっと嬉しいかも。えーっと名前はなんて言うんでしょうか?」


閻魔はモニターをいじりだす。


「んー確かゲンキとか言ったかの〜。」


「わかりました!ゲンキくんですね。探してみます」


「あーそれと。まずはこの町のギルドとやらに行ってみてくれ。魔王を倒すために最近建てられた拠点じゃ。いろんな情報が手に入るじゃろう。」


「わかりました。最初は酷い人かと思いましたけど、いろいろお世話になりました。ありがとうございました。」


カナは丁寧にお辞儀をすると走り出す。


「達者でな〜」

後ろから閻魔の声が聞こえ終わると同時に教会を出た






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