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ガーディアンズ・ファンタジア~神々の啓示~  作者: 唯(ただ)の草花とくろうさぎ
第一章
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第十五話:新たな生活への第一歩


 ーー翌日。


「それじゃ、本当に良いんだな?」

「うん、大丈夫」


 ロイドの問いに、ユイは頷く。

 ユイの手元には、商品となるもの以外のーー彼女自身の手荷物のみ。


「私がそうするって、決めたから」

「そうか」


 小さく笑みを浮かべるユイに、ロイドもロイドで安心したかのような笑みを浮かべる。


「じゃあ、もう行くよ。旦那様、奥様、守護者(ガーディアン)の皆様。ユイをーー()を、よろしくお願いします」


 ユイに返事をした後、ロイドは見送りに来ていたアクティウスたちにそう告げる。


「ああ、もちろんだ。お前からの大切な預かりものだからな」

「貴方が戻ってくるその時まで、きちんととお守りいたしますから、絶対にまた来るんですよ」


 そんなクリスティールの言葉に、これから『守護者(ガーディアン)』になる人を守るって言う言い方はどうなんだ? とその場に居た面々は思いはしたが、もしロイドに何かあれば、またユイは暴走するだろうし、今回の件でその事はよく分かったので、その事に関して特に口には出さずに、笑みを浮かべるだけに留める。


「じゃあ、ユイ。行ってきます」

「行ってらっしゃい」


 そう言い合い、ユイは少しずつ遠ざかるロイドの背中を見つめる。

 アクティウスたちはその場から離れたが、気を利かせてか、オブリウスがいつもより少しだけ遅く扉を閉めていく。


「よし、それじゃ、僕たちも行きますか」

「あ、すみません……待たせてしまったみたいで」

「別に気にするなって」


 ユイによるロイドの見送りが終わるまで待っていたユーリとルークが笑みを浮かべながら、彼女の手を引き、その背を押す。


「え? え、あの?」

「今日はもう初日扱いだから、守護者(ガーディアン)の先輩たちに挨拶に行く! これ、ここの決まり」

「ちなみに、旦那様たちへの挨拶は明日すること。これも決まりね」

「……先輩たちに挨拶した日の翌日に、旦那様たちに挨拶する」


 二人の言ったことを復唱すれば、それで良いとばかりに、二人が頷く。


「でも、何で旦那様たちへのご挨拶が次の日なんですか? 雇い主であるなら、先に挨拶しておいた方が良い気もするんですが……」

「あー、その点はよく分かんないんだよな。俺が来たときにはもう、そういう決まりだったし」


 ルークの言葉を受け、ユーリにも目を向ければ、「僕の時もそうだったから、ちょっと理由までは分からないかな」と返される。


「決まりなら、仕方ないですね」

「街の人たちには、外に出たときに挨拶をする。まあ、顔見せも兼ねて出歩いても良いが……」

「先輩たちへの挨拶を優先にします」


 そう言うと思った、とばかりにルークは肩を竦める。

 ロイドと完全に離れたことで、てっきり落ち込んだりするかとも思っていたが、どうやらその心配は必要なかったらしい。

 そして、ルークとユーリの案内による、ユイの先輩守護者(ガーディアン)たちに対する挨拶回りは開始されたのである。

 そしてーー……





「さぁて……みんな元気にしてるかなぁ?」


 街を繋ぐ列車の中、いくつかの影が駅に降り立とうとしていた。


「新人も居るって言ってたから、楽しみね」

「どんな子かな」

「可愛い子だといいなぁ」

「お前にしてみれば、女の子はみんな可愛い子だろうが。男だと知って落ち込むのがオチなんだから、今回もあまり期待しないでおけよ」


 先に伝わっていた情報だけを頼りに、面々は話す。


「とりあえず、避けられないようにしないとねぇ」


 その言葉に対して、全員目を逸らし、黙り込む。


「まあ……どんな奴でも後輩には変わりないんだから、守護者(ガーディアン)の先輩として、サポートしてやらないとな」


 そう意気込む面々が足を進めていくのだがーー……彼らの到来により、屋敷に嵐がやってこようとしていた。


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