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頭痛の種は、幸せの花を咲かせる

作者: KTE

前に書いた物を、少し短くして載せました。気になりましたら、意見等を御寄せください。



【願い、叶えてやろう】







一人で俺は考えている。この頭の痛みの原因が全くわからない。幸せを感じれば感じるほど、俺の頭はズキズキする。


「…どうしたの? まだ痛んでる?」


目の前の彼女が心配している。早く否定しなければ…


「大丈夫だよ、ほらっ!この通り!」

「キャッ!?…やめて〜!降ろしてよ〜!!!」


その彼女を、いわゆるお姫様抱っこによって軽々しく持ち上げた。突然の事で、彼女は顔を赤くしながらジタバタしている。まぁ、降りる気の無い暴れ方なのはいつもの事だ…

初めての彼女、そして初めての同棲で自分は幸せだ。いや、そのつもりだ…順調に進む人生に、俺は運命の人と本当に巡り逢えた、そうとしか理解していなかった。


「もう! いっつも人を小バカにして!…本気で心配してる私が、そんなにバカに見えるのね!?…フン!」

「ごめんね。心配している顔が、俺の大好きな人のする顔じゃないと思って…」

「? どういう意味?」

「…お前には、いつでも笑顔でいてほしいんだよなぁ…」

「………無理だよ…だって、好きな人が苦しんでるんだよ?」


彼女は俺より二つも年が上だ。それでも、男と付き合うのが初めてだったらしい。二人が結ばれる日なんかは朝からうわの空で、体を重ねた日から三日間は会社も休んでた。俺は一応後輩だったので、物凄く気まずかったのを覚えてる…


「ねぇ、やっぱり違う病院でも診てもらおうよ?ね?」

「でも、何にも異常は無いって言われたんだしさ…」

「心配なんだよ…あなたが死んじゃったら、生きていけないんだもん…」


俺のシャツの裾を掴みながら、駄々をこねるように言う彼女は愛おしかった…抱きしめたい! と思ったと同時に、彼女から目一杯に手を拡げて抱き着いて来た。

「…あなたの痛みが、少しでも和らぐように…」

「あ、あぁ…最高の麻酔だ…」

「…もう少し、胸があればなぁ…」

「そんな事ないよ! 今のままで、その…好きなサイズっていうか…さ。」

「強がっちゃって。大きいのが好きなの知ってるもん!」

「違うって!」


またこの話だ、正直嫌になる。俺は胸が好きなんじゃなくて、お前の胸だから好きなんだ!…だけど説明するのもめんどくさい。膨れっ面ですねてる彼女に、今度は俺から優しく抱きしめる…


「なぁ…すねるなよ…」

「すねてない!」

「…頬が膨らんでるぞ?」

「オタフク風邪ですから、お気になさらずに!」

「………それなら明日は、会社休みだな。」


俺は彼女の耳に、触れたかどうか微妙なほどに…唇で甘噛みした。彼女は一番、ここが感じるっぽい。


「やぁん!? そんなの卑怯だよ!」

「ハハハ、顔がぎこちないぞ?」

「やったわね!…うりゃ!!!」


彼女は俺の首筋に、これでもかっていう程の力でキスをする。感じるよりも先に、彼女の行為に興奮していた。


「おおぉ!?」

「フッフッフ…望み通り休んでやるわよ。」

「きゅ、急にやる気になりやがったな…」


周りの空気が変わる。それを感じた俺と彼女は、意思の最終確認に入る。それは俺達の、通過儀礼となっていた。


「…愛してる?」

「愛してるさ。」

「…本当に?」

「神に誓おうか?」

「…私に誓ってくれる?」

「お前を愛してる事を、お前に誓う。」


その後で彼女も誓った。それから二人は愛を確認する為に、ベットに倒れ込む…

二人暮しでも、ベットは一つ。その状況から、この二人のラブラブ度がわかってしまうぐらい狭いシングルベットだ。俺は狭いと感じた事は無い。彼女はわからないが、きっと彼女もそうだろう。なぜなら、同棲してからそれはそれは毎日………これ以上は触れないで欲しい。

唇を重ね合う。正しい表現じゃないかもしれない。それぐらい彼女の口に没頭している。いよいよという時、彼女が疑問に思ったらしい。


「頭痛する?」


…そういえば感じない。エッチしたいから、仮病してたわけじゃない。それは彼女もよくわかってる。どうせ頭痛がなくてもしていたからだ。


「…やっぱり原因があるんだよ。」

「う〜ん…そうかもな。」

「思いだしてみて。最初の痛みは、一週間ぐらい前なんでしょ?」


実際には、先週の水曜の昼後だ。確か誰かの話を聞いてからだったと思うが…なんだったっけな…


『………は…あよ…』

『…その……ふ…』


「!!!!!」

「! だ、大丈夫!?」


い、痛い…また頭が痛んで来た…だがこれでわかった。ある言葉の後で、必ず痛むらしい。


「…何て言葉…なの?」

「………【結婚】…」

「結婚!?」


そうだ、結婚だ。あの時の先輩達もさっきのテレビでも、結婚の話を聞いた後で痛みだした。暗示にでもかかったのかもしれない…


「………」

「これで原因がわかったんだ。あとは、なぜ結婚に反応して頭が痛くなるかだな。」

「………」


…彼女の様子がおかしい。さっきから黙っているなんて彼女らしくない。まさか理由を知ってるのか? 俺は何気なく聞いた。


「………」

「? どうしたの?」

「…ご…めん…ね…」

「!!!!!」

「…私が…私が悪いの…」

「…さっぱりわからないよ!? ちゃんと説明してくれ!」






彼女が話したことは、俺には信じられなかった。しかし内容が内容だったので、俺の本能はしっかり受け止めている…




「…あのね、実はね…私、あなたが寝た後にお願いごとをしたの…」

「何を? ま、まさか…俺に呪いを…」

「ち、違うよ! 神様にね…


【この人と結婚出来ますように】


…って、毎日お願いしてて…」

「…神様?………はぁ?」

「だからね、毎日毎日…神に祈ってたの。あなたと教会で式を挙げてね、二人の子供を授かって…」


たわいもない女の子の夢。彼女のお願いごととは、そんなものだった。好きな人とこれからも一緒にいたい。その程度の夢を毎晩毎晩、俺の枕元で呟いていたのだろう。


「じゃあ、俺の頭痛の元って…」

「多分、私が寝てる時に言い過ぎて…ストレスが溜まってたんだと思う…」

「ストレス、か…」

「…ご、ごめんなさい…私が変な事したせいで、あなたが苦しんでたなんて…」

「………」


今にも泣きそうだった…彼女は本気で思ってたから、きっと俺の脳に侵食してきたのだろう。彼女の偽りの無い、素直な願いが…


【結婚をしてあげろ!】


きっと神様は、俺に語りかけてたんだ。それでも気付かない俺に対して、ちょっと戒めを食らわしたのだ。それにきっと、この頭痛は…俺の夢でもあったのかも知れない。


「…結婚しよう。」

「ダメ、ダメだよ…私の身勝手なお願いで、簡単に結婚を決めて欲しくない…」

「身勝手でも、その願いは神様に届いたんだよ。だから俺に試練を与えて、乗り越えさせたんだ。」

「…乗り越えたの?」

「だってさっきから、結婚結婚言ってるのに…頭が痛くない。」

「…本当?…私の為に、無理してるんじゃ…」

「…はぁ…全く、うたぐり深いなぁ。愛してるって誓ったろ? 信じろよ。」

「………じゃあ、信じる。でも…」

「まだ何か願うの?」

「ちゃんとプロポーズして欲しいの。ベットの上じゃなくて、もっとロマンチックに…」


確かにそうだ。女の子の夢が、エッチの途中でされるようなプロポーズであるわけがない。少しだけ考えてみる………


「明日の朝、指輪を買ってくるから…夜は一緒に出掛けよう。」

「…はい。」


彼女を優しく抱きしめる。出掛けるって意味を、ちゃんと理解してくれたみたいだ。

それにしても…頭痛もなくなり、彼女と結婚する事になるとは…俺はこんな幸せでいいのだろうか?


【…やっぱりよくないのぅ…】


…え?…頭に声が………ま、気のせいだな。

俺は彼女を見つめ、先程の続きを求めてみた。


「…愛してるなら…いつでもいいんだよ?…」

「じゃあ今度は、会社で迫っていい?」

「…うふふ、バカ!」


彼女が笑ってくれた。俺はもう、欲望を抑えられない。抱きしめる力を、いつもより強くした…


「!!!っい!!!」

「! またぁ!?」


こ、この痛みはなんだ…耐えられない…かも…

俺は、そのまま気絶したらしい。


【…彼女を傷つけたら、いつでも殺してあげる】


気絶してる間に、変な男にそう言われた。会った事ないのに、昔からの知り合いみたいな人だ。

…よ〜くわかった。奴が原因だったんだな…


「………ん…」

「よ、よかった〜! 急に倒れたから、救急車を呼ぼうと思ったんだよ!?」

「…夢を見てた。」

「大丈夫?…やっぱり呼ぶ?」

「もういいんだ、話はつけてきた。多分…頭痛もアレで終わりだ。」

「? 何でわかるの?」










奴は、お前に惚れてたらしい。



かなり短くしたので、強引に進めました。初めて載せる作品は、やっぱり気になるもので… 奴とは最後に約束をするんですが、そこはあえて省きました。奴の年齢をあやふやにするため、語尾もわかりにくくしました。…ここまで読んで感想があれば、ぜひお願いします。批評も待ってますが、傷つきやすいので柔らかく頼みますね…

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