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短編

恋の神様

作者: RK

 私は恋の神様と呼ばれている。


 実際はそんな大層なものじゃないのだけれど。


 私がやっていることはお手伝いに過ぎない。


 それを大げさに言われても困るのだ。


 でも悪い気はしない。


 私は私で充実しているのから。


 女の子はずっと彼と一緒にいたいとよく言う。


 本当によく言う。


 でも、私は覚悟がない人を手伝うことはない。


 覚悟がない人は意味ないから。


 それでも覚悟があるという人がいる。


 そんな人を手助けしている。


 今日も一人、私は送り出す。


 彼女が予約した席に座って待っているのが想い人だ。


 約束の時間は12時。


 12時ぴったりに私は送り出した。


 まだ待ち合わせの人が来ていないと断られる。


 いえ、お客様のお望みですから。


 そして願いは叶えられた。


 これでずっと一緒にいられるはずだ。


 私は恋の神様と呼ばれている。


 実際そんな大層なものじゃないのだけれど。


 私はただの料理人なのだから。

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