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人生は遊戯のように生きよ  作者: 不知火 数多


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退屈は、人生の毒である

カクヨムでもこの作品は投稿をしています。

命を、財産を、人生を賭けるこのゲームで私は何も感じない。

 相手を観察して、的確に駒を動かす。それには、寸分の狂いもない。

 最初こそ楽しく、面白いと感じていたが、段々と平均プレイ時間は、ゲームをするごとに減っていく。勝利パターンも、もはや決まっている。人生を賭けたゲームをしているのにも関わらず、私にとっては賭けていないこととまさに同義であった。確実に渡れる橋を渡っているようなそんな感覚。

 目の前の男を見る。男は、戦略を必死に練っているようだが、あと少しで相手は手を出し尽くし、負けることになるだろう。その未来が直にくることは想像に難くない。その証拠に相手の額には、脂汗が大量に滲んでいた。焦っている兆候だ。

 男は、駒を一つ進める。私は、淡々とそれに応える。そして、私は、決着の宣言をした。

「オールインパクト」と。

 それが、ゲーム終了の合図だ。

 男は、膝から崩れ落ちる。男は、一攫千金を狙い、このゲームに持ち金をすべて賭けたようだが、今、私に負けたことにより、全財産を失ったことになった。

 男は抗議する。

「こ、こんなの反則だ。そうだ。なんか汚い手を使ったんだ!」

 男は、唾を飛ばしながら、大衆の前で醜態を晒す。

 そして、こちらに向かって殴りかかろうとしたとき、衛兵に取り押さえられ、連行された。

 けれど、男は、構わず、喚き続ける。

「離せ、離せよ。まだ、まだ終わっていない。あ、あいつがイカサマでもしたんだ!」

 衛兵に、そのまま男は、連れていかれた。男が、もし、賭け金を払わなければ、男には、即刻、死刑が言い渡される。このゲームは、国を代表とするもの。

 私にとってこの光景は、何度も何度も見てきた。とてもありふれたものだ。あるものは、泣き叫び、また、あるものは、負けたショックで嘔吐をした。だが、それは、劇を観ている感覚と一緒で、そこには、自分がいない。一歩下がって、敗者を冷めた目で見ている自分がいる。

 私が、このゲームを始めたきっかけは、金に困ったからだった。生まれつき体が弱く、まともな職業に就くことができなかった。

 途方に暮れた私は、稼げる仕事を探すため四苦八苦していると、このゲーム、アカリシティアの存在を知った。

 アリカシティアで、もし連勝することができれば多額の賞金を得ることができる。

 勝つことにより、私の財布はどんどん潤っていくが、その分、私といい勝負になる相手はいなく、心に穴があき、どんどん侵食していると感じた。

 だが、辞めることはできなかった。仮に辞めたとして、稼ぐ手段がそう簡単には見つかるとは思えないからだ。

 そして、チャンピオンになった。チャンピオンになるのは、私にとっては、そう難しいようには、感じなかったが、他のものにとっては、人生を賭ける勝負というのはザラにある。

 だが、通常は、一時間以上がかかるこのゲームで、私の1ゲームあたりの平均プレイ時間は、15分。命を賭けた、ワクワクするようなゲームを体感できることはなかった。

 私は、願っている。私の心を満たしてくれるそんなプレイヤーの存在を。満たしてくれずともいいから、私の戦略に傷をつけられる私の人生を変えてくれるような出会いをいつも求めている。

 この時は、まだ知る由もなかった。その求めていた出会いがすぐそばまで迫っていることを。

 

 

 


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