真夏のキミと花火を見たかった+ 愛山弓月編
あれから僕と愛山さんが付き合ってから
1ヶ月が経ち、2学期が始まった。
相変わらず生徒会の仕事は忙しい。
僕たちの恋はそんな忙しい中でも
順調に進んでいくはずだった…。
1人のとある女性に会うまでは。
「はぁ〜腹いっぱい!やっぱ食堂のスタミナ定食は腹がいっぱいになるなぁ!」
「危川…っていったっけ?」
「え?」
「愛山と同じクラスの黒田真苗です。」
「あっ、どうも初めまして…」
「急で悪いんだけど、あなたに話があるの。」
「本当に急ですね…」
「悪いけど、今日の放課後時間あるかしら?」
「今日の放課後、良いけど…」
「わかったわ。じゃあ体育館裏で待ってるからね。」
一体、黒田さんってなんなんだ…?
…。
「黒田さん…いる?」
「ここにいるわ。」
「あ、いた。どうしたの?呼び出して…」
「あんた、愛山と付き合ってるでしょ。」
「うん…付き合ってるけど…」
「別れてちょうだい。」
「え?」
「本当はね、私の方が危川くんのことが好きなんだから!」
「いや…それは…」
「いいから!明日にでも別れて!」
「そ、それはできないよ…」
「あっ、そう…まぁ良いわ。これから毎日、放課後、体育館裏に来てもらうから。」
「え…なんで?」
「なんでって、愛山と別れるまで話がしたいから!」
「そんなぁ…あ、でも生徒会の仕事があるから…」
「生徒会の仕事を終わらせてからでいいわ。とにかく明日から毎日、放課後体育館裏に来なさい。いいね?」
「わ、わかったよ…」
黒田さん…強引だなぁ…。
…。
「っと、今日の仕事はここまでね。」
「愛山さんお疲れ様!」
「ありがとう危川くん。」
「じゃあ僕は予定があるから、これで。」
「あらそう、最近どうしたの?忙しいみたいだけど。」
「はは、ちょっとね。じゃあね、お疲れ様。」
…。
「最近の危川くん、なんか怪しいわね。生徒会の仕事が終わったらすぐ帰るし…ちょっと後をつけてみようかしら…」
…。
「お待たせ黒田さん!」
「あ、今日も来てくれたのね。」
「そりゃあ毎日来る約束だからね…」
「っで、愛山と別れる決意はできたの?」
「いや…それは…」
「早く別れて!私は早く危川くんの彼氏になりたいんだから!」
「いや…でも…」
「ちょっと!」
「!?」
「愛山さん…?!」
「危川くん!ちょっとこっち来なさい!」
「いや…これにはわけがあって…」
「いいから来なさい!」
「あ…ちょっと!」
チュッ。
「え?」
「…。」
「…。」
「見たわね、黒田。」
「…。」
「私たちはね、キスをするくらいに仲が良いのよね。あなたみたいに放課後の少ない時間で、コソコソ会って話をするだけの仲とは大違いなのよね。」
「…。」
「愛山…さん?」
「悪いけどね、危川くんは私のものだから。間違いなく危川くんのことを好きなのは私よ!だってもう何回キスしたことかしらねぇ。」
(見たことない…こんな愛山さん…)
「さぁ!危川くんに近づかないでさっさと出ていきな!学年で下から数えた方が早い、勉強も出来ない馬鹿女が!!!」
タタタタッ。
黒田さんは目に涙を浮かべながら走り去っていった。
「まったく…。」
「ありがとう…愛山さん…」
「いいのよ。あなたの彼女なんだもん。これくらいして当然よ。」
「ごめんね…決して黒田さんが好きとか、そういうことじゃないから…」
「大丈夫。わかってるわ。でもちょっとショックだった。」
「ごめんね…」
「じゃあひとつ約束して。」
「え?」
「私と結婚して。」
「えっ、けっ、ケッコン…?!」
「そう…私が大学生になったら、実家から出て行くから、そしたら同棲できるわね。」
「わ…わかりましたっ!僕、愛山さんと結婚しますっ!」
「声が大きくてよろしい。」
それから2年後…。
「愛山さん!花火が見れますよ!」
「本当だわ!綺麗ね…。」
「まさか本当に結婚して、愛山さんのアパートの窓から花火を見るなんて…!」
「しかも私と同じ大学に入るなんて。」
「あはははは!」
「あはははは!」
ヒューーーーーッ、パァァァン!
「綺麗ですね愛山さん…って何で泣いてるんですか?!」
「私と、これからもずっと一緒にいてくれるか心配になっちゃって…」
「大丈夫ですよ!ずっと一緒にいますよ!」
「そう…ありがとう…」
チュッ。
空高く打ち上がった花火が2人のアパートを照らし出していた。
-END-




