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第35話:広がる食の未来と家族の絆

 ホワクイックの卵から生まれたマヨネーズは、瞬く間に家族の食卓の定番となった。サラダに添えたり、サンドイッチに塗ったり、ポテトサラダやディップソースのベース、あるいは様々な具材と混ぜ合わせて使う調味料として、その用途は大きく広がった。ミリアは「これで野菜が無限に食べられるわ!」と歓喜し、ヴァルドは「マヨネーズのない人生なんて、もはや考えられない!」と断言する始末。食卓を囲む家族の笑顔は、レイの何よりの喜びだった。彼は今日も、「美味しい」の探求に燃えていた。

 レイの探求は、マヨネーズだけに留まらなかった。彼の神霊視は、身の回りにある様々な植物にも、まだ知られざる「美味しい」の可能性が秘められていることを示していた。まるで、世界中の食料が「僕を食べて!」とレイに語りかけているかのようだ。

 特にレイが注目したのは、この世界に存在する「豆の木」や「ココナツの実」、「アーモンドの木」に似た植物だった。これらの実は、食用としてはあまり使われていなかったり、その加工法が知られていなかったりした。しかし、レイの記憶と神霊視は、これらの植物が、まるで異世界にあった「豆乳」「ココナッツミルク」「アーモンドミルク」のような、多様な「ミルク」へと姿を変えることを示していた。「よし、次は液体革命だ!」

「母さん、今度は畑でこの豆の木を育ててみたいんだ!」

 レイが豆の木のような実を指差して言うと、ミリアは「とりあえず聞いたことのない言葉ばかりだけど」と前置きし、不思議そうな顔をした。「この豆?これをどうするの、レイ?また何か魔法でもかけるつもりかしら?」

「うん、これを使えば、ダンジョンのミルクとは違う、もっと色々な『ミルク』が作れるはずなんだよ!僕の神霊視によると、この豆からは『豆乳』、ココナツみたいな実からは『ココナッツミルク』、そしてあの硬い実からは『アーモンドミルク』が作れるのがわかるんだ!どれもこれも、絶品だよ!」

 レイは、それぞれの「ミルク」が持つ可能性を熱心に話した。まるで、未来の食卓をプレゼンするビジネスマンのようだ。

「この『ココナッツミルク』はね、お料理にコクと風味を加えてくれるし、飲み物としてもとっても美味しいんだよ。ココナツの実には、一般的には『泥実』と混同されてあまり使われていないけれど、その本来の力を引き出せば、ココナッツウォーターとしてそのまま飲めたり、実を加工してココナッツオイルやココナッツパウダー、ココナッツシュガーも作れるんだ。さらに、発酵させたらあのプルプルしたナタデココもできるはず!それにね、ココナツの外側の繊維は丈夫だから、ロープやタワシになるし、葉っぱは屋根材にもなるんだよ!もしかしたら、樹液からヤシ酒も作れるかもしれないんだ!まさに、ココナッツは万能の実なんだ!」

 ミリアは、その言葉に驚きを隠せない。彼女の口はあんぐりと開いたままだ。

「そんなにたくさんのものが、たった一つのココナツから作れるだなんて!これじゃあ、ココナツは歩く財産じゃない!」ミリアが感嘆の声を上げた。「レイは本当に、何でも見抜くことができるのね!もうあなた、この国の経済を牛耳れるんじゃないかしら!」

 レイは、大地の祝福の力で、従魔たちと共に新たな畑の整備に取り掛かった。ゴーレムは、ポポの司令で土を耕し、畝を作り、畑の頼れる巨人として活躍する。彼の動きは正確無比で、まるで最新式の農耕機械のようだ。マンちゃんは「きゃっきゃっ」と愛らしい声で植物に寄り添い、その成長を促し、ふわふわは白い小さな体で畑の土を優しく踏み固め、ネクサは透き通るような水色の体で畑全体に命の水を供給した。シャドウは彼らの作業を静かに見守り、ミルは元気いっぱいに畑の周りを飛び回る。そして、ルーナはいつもレイのそばで、静かにその様子を見守っていた。彼らは、レイの「食の魔法」を支える、頼れる最強のチームだった。

 レイの家の図書室からは、セイリオスが「ふむ、レイ坊はまた何か新しいことを企んでいるようだな。知識の探求は尽きぬものよ。だが、あの騒がしい鳥たちは何だ……?」と目を細め、大きな鷲のバルドルは「ジジィ、また居眠りか?レイ坊の活躍に置いていかれるぞ!それに、ホワクイックの卵は美味そうだぞ!」と冗談めかしてツッコミを入れる声が響いていた。彼らはそれぞれの役割を果たしながら、レイの挑戦を温かく見守っていた。遠くから、彼らの会話が聞こえてくる。

 レイの「美味しい」探求の旅は、家族の食卓をさらに豊かにするため、のんびりと続いていく。彼の視線の先には、まだ誰も知らない、けれどきっと「美味しい」に繋がる食材たちが、今日も輝いている。この世界で、レイの「食の魔法」は、これからも家族みんなを笑顔にするため、小さな一歩を踏み出し続けることだろう。そして、いつかこの世界の誰もが、レイが生み出す「奇跡の味」に舌鼓を打つ日が来るかもしれない。

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