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第20話:賢梟の特別授業:大地の祝福と秘めたる可能性、まさかの「超スピード菜園」?!

 契約の王印についての授業を終えた翌日、レイは朝早くから庭の家庭菜園へと向かった。昨日のセイリオスの言葉を思い出し、「僕の手って、魔法の手なのかな?」と考えながら、自分の手で触れた植物が、より生き生きと輝くような気がした。ふわふわがレイの足元で、楽しそうに「ぴぃぴぃ」と鳴いている。「レイ、お腹空いたの?」とでも言いたげだ。

「レイ、今日の授業は、家庭菜園で行うぞ。土まみれになっても知らんぞ!」

 背後からセイリオスの声が聞こえ、レイは振り返った。セイリオスは、いつの間にかレイの肩に止まっている。まるで、専属の教師兼監視役だ。

「今日は、お主のもう一つの祝福、大地の祝福についてじゃ」

 セイリオスは、レイが手入れしている野菜たちに視線を向けた。レタスが「シャキーン!」と音を立てていそうな気がした。

「大地の祝福は、単に自然魔法への適性があるというだけではない。それは、大地そのものと繋がり、生命を育む絶対的な力じゃ。植物の成長を促し、枯れた土地を蘇らせ、さらには生命の傷すら癒すことができる。まさに『緑の魔法使い』じゃな!」

 セイリオスは、レイの小さな手に触れ、その手のひらから大地へと魔力を流すように促した。レイが言われた通りにすると、家庭菜園の野菜たちが、目に見えて瑞々しく、生命力に満ちていく。まるで、シャキシャキとした音が聞こえてきそうだ。ふわふわは、レイから放たれる魔力を吸収し、さらに大きく、そして輝くようだった。「もっとパワーをちょうだい!」とでも言いたげだ。

「これが、お主が普段から家庭菜園で素晴らしい作物を育てられる理由じゃ。ふわふわがお主の元にやってきたのも、この祝福の力に惹きつけられたからに他ならん。レイは動くパワースポットじゃからな」

 レイは、自分の作った野菜が美味しい理由が、ただ土が良いだけではなかったことを知り、驚いた。「え、僕の力だったの?!」という顔だ。

「この祝福には、まだ無限の可能性が秘められておる。例えば、お主は『もしこんな植物があったらいいな』と想像したことはないか?お主の頭の中には、まさに『夢の植物図鑑』が広がっておるのじゃ!」

 セイリオスの言葉に、レイはハッとした。「そういえば、なんだかとっても甘いフルーツとか、ふわふわの野菜とか、あったらいいなあって思ってたんだ!」アレルギーで食べられなかったものもあるが、今なら自分の手で育てられるかもしれない!「夢が広がる~!」とレイの目は輝いた。

「うん! なんか、とっても甘いフルーツとか、ふわふわの野菜とか、あったらいいなあって思うよ!プリンみたいなのとか、シャキシャキリンゴみたいなのとか!」

 レイは目を輝かせながら、楽しそうに言った。

「うむ、後半はまるでわからんかったが、ならば、試してみるがよい。この大地の祝福があれば、この土地の気候や土壌に合わず育たないものでも、お主の魔力で育つ可能性を秘めておる。まさに『どこでもファーム』じゃ!」

 セイリオスはそう言うと、レイの頭を優しく撫でた。

「まずは、このログハウス周辺の森から、薬草の種を探してくるのじゃ。そして、お主の力で育ててみよ。通常ではありえない速さで成長するだろうし、薬効も高まるはずじゃ。まるで、魔法の肥料を使ったかのように!」

 レイはすぐにミリアに相談し、家庭菜園の一角を借りて、森で見つけた薬草の種を植えることにした。「ここならいいわよ!」とミリアも快諾だ。ふわふわもレイを助けるように、小さな手で土を掘り、種を埋めていく。まるで、小さな農夫さんだ。レイは、セイリオスに言われた通り、種に意識を集中し、大地の祝福の魔力を流し込んだ。

 すると、信じられないことが起こった。種を植えたばかりの土から、瞬く間に緑の芽が顔を出し、ぐんぐんと伸びていくのだ。数時間も経たないうちに、薬草はみるみるうちに成長し、通常なら数週間かかるはずの生育が、まるで早送りの動画のように進んでいく。そして、その葉からは、明らかに通常のものよりも強く、清らかな薬草の香りが立ち上っていた。「これ、本当に薬草?なんかもう食べられそう!」とレイは思った。

「すごい! もうこんなに大きくなった!まるで、僕が育てた植物が、僕に『ありがとう!』って言ってるみたい!」

 レイは驚きと喜びでいっぱいで、ミリアにその様子を見せに行った。ミリアも、その異常な成長速度と、薬草の持つ生命力に目を丸くした。

「これは……! レイ、あなたの大地の祝福、本当に素晴らしいわ! こんなに短時間で、これほど質の高い薬草ができるなんて……!まるで、奇跡の家庭菜園ね!」

 ミリアは感嘆の声を上げ、レイの頭を優しく撫でた。

「今度、父さんにも見せてあげてみて。きっとびっくりするわよ!目を回すかもしれないわね!」

 レイは、自分の持つ力が、こんなにも具体的な形で、身近なところで役立つことに感動した。アレルギーで触れることすらできなかった植物を、この世界では自分の手で育て、さらにその質を高めることができる。これぞ、異世界転生特典!

「ふむ、まずは上出来じゃな。この調子で、いずれはダンジョンにしか生えないような希少な薬草も、お主の力で家庭菜園で育てられるようになるやもしれんぞ。薬草長者も夢ではないのう!」

 セイリオスの言葉に、レイの心は新たな可能性に満ちていった。日本の知識と大地の祝福を組み合わせれば、この異世界で、もっと様々なことができるかもしれない。レイは、未来の家庭菜園の夢を膨らませながら、次なる授業へと期待を寄せた。もはや、レイの家庭菜園は、この世界の農業革命を引き起こすかもしれない?!


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