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第15話:王都のギルドと、冒険者の卵たち、そして「最強のひよこ組」誕生?!

 アルヴィン宰相との、あの「ご利益もりもり」能力講座が迷宮入りした会話の後、レイは王都での滞在を心ゆくまで楽しんでいた。特に、レオンお兄ちゃんとリィナお姉ちゃんがいることで、王都の暮らしはより楽しく、刺激的なものになっていた。まるで毎日がテーマパーク状態だ。

 翌日、父さん(ヴァルド)はレイを連れて、自身がギルド長を務める王都の冒険者ギルドへと向かった。ギルドは巨大な石造りの建物で、中に入ると、壁には「〇〇狩ってきて!」とか「××探して!」とか、依頼の張り紙がズラリ。冒険者たちが情報交換をしたり、酒を酌み交わしたりと、活気に満ち溢れていた。まるで、活気あふれる巨大な居酒屋のようだった。

「ここが、父さんのお仕事場だよ。たまに酔っぱらいを相手にするのも仕事だ」

 父さんがレイの頭を優しく撫でながら言うと、レイは目を輝かせた。ギルドのカウンターには、ベテランの受付嬢たちが「はい、次の方!」と忙しなく対応している。レイの足元にはシャドウが影に潜み、「フン、人間どもは騒がしいな」とばかりに監視。ミルはレイの肩で「ぴぴぃ!」と周囲を観察し、ふわふわはレイの足元で「モフモフ」と待機、フラムはレイの頭の上で小さな炎を揺らしながら「僕も手伝うよ!」と意気込んでいた。ルーナは父さんの影の中に、バルドルはギルドの外の屋根の上で「今日は平和そうだな」とばかりに控えていた。

「ギルド長、お疲れ様です!」

 冒険者たちがヴァルドに次々と声をかけ、レイは父さんがどれほど慕われているかを肌で感じた。というか、人気者すぎてレイが埋もれそうだ。

 父さんはレイをギルド長の執務室へと案内した。そこには、壁一面に地図が広がり、様々な種類の魔物図鑑や資料が所狭しと並べられている。まるで、父さんの秘密の宝物庫のようだった。

「ここは、ギルド長である父さんの、大事な場所だよ。秘密の隠しおやつは無いがな」

 父さんが執務机に座ると、レイは興味津々で部屋の中を見回した。

 その時、執務室の扉が「コンコン」とノックされ、父さんが「入れ」と声をかけると、数人の若者たちが「失礼します!」と元気よく部屋に入ってきた。彼らはレオンとリィナと同じく、学園の制服を身につけている。冒険者の卵たち、いわば「ひよこ組」である。

「ギルド長、お疲れ様です! 本日の実地訓練の報告に来ました!」

 彼らは緊張した面持ちで、父さんに深々と頭を下げた。レオンお兄ちゃんとリィナお姉ちゃんも、学園ではこのように「シュッ!」と報告に来ているのだろう。

 父さんが報告書を受け取り、内容を確認している間、若者たちはレイに気づき、興味深そうに彼を見つめた。その中の一人、赤毛の少年が、レイのお友達に目を留めた。

「うわ、すげえ! あの黒豹ちゃん、真っ黒なのに目が金色だぜ! 超かっこいい!あっちの小さな魔物も、見たことない種類だ!てか、頭の上の炎の塊、あれマジで魔物?!」

 少年は目を輝かせながら、ミルやフラムを指差した。彼の隣にいた、冷静そうな黒髪の少女が「コラ!」とばかりに注意する。

「ロキ、失礼よ。ギルド長の息子さんよ!」

「へへ、すいません、ミナさん! でも、可愛いからつい!っていうか、こんなすごいお友達、ギルド長も飼ってるなんて聞いてないっすよ!」

 ロキと呼ばれた少年は、屈託のない笑顔で謝った。レイは、彼らの飾らない雰囲気に、どこか親近感を覚えた。まるで、昔からの友達のようだった。

「こんにちは」

 レイが挨拶すると、ロキは驚いたように目を丸くした。

「え、もしかして、君がレイくん? レオン先輩やリィナ先輩が、いつも『レイが可愛い、マジ天使』って言ってるって噂の?!」

 ロキの言葉に、レイは少し照れて父さんの服の裾をギュッと掴んだ。父さんは「うちの子は人気者だな」とばかりにニヤニヤしている。

 父さんは報告書を机に置くと、若者たちにレイを紹介した。

「ああ、こいつが俺の末の息子、レイだ。そして、お前たちが探しているような、心を通わせる魔獣たちだ。まあ、ちょっと特殊なケースだがな」

 父さんの言葉に、ロキたちはレイの肩や頭に乗っているお友達に改めて目を向けた。その瞳には、羨望と好奇心が入り混じっていた。

「いえ、ギルド長。今回はまだ魔獣との契約には至りませんでした。相性の合う魔獣が見つからなくて……。なんか、ピンとくるのがいなくて…」

 ミナが申し訳なさそうに言うと、父さんは頷いた。

「そうか。無理に契約する必要はない。お前たちにとって、本当に信頼できる相棒と巡り合うことが大切だ。焦るな、人生は長い」

 父さんの言葉に、レイは自分のお友達をそっと見つめた。彼らが、レイにとってどれほどかけがえのない存在であるか、改めて感じた。うん、もう家族だもんね。

 その時、ロキがレイに興味津々に尋ねた。

「あのさ、レイくん。その可愛い魔獣たち、どうやって契約したの? 俺たちも、なかなかいい魔獣が見つからなくてさ。秘訣とかあったりする?」

 レイは、ロキの質問にどう答えるべきか迷った。自分の祝福について、どう説明すればいいのだろう。アルヴィンじぃじから言われた「これは内緒だぞ!」という言葉が頭をよぎる。

 その様子を見た父さんが、口を開いた。

「レイのお友達は、特殊な縁があって契約できたんだ。無理に真似をする必要はないぞ。お前たちはお前たちの方法で、最高の相棒を見つければいい。例えば、美味しいエサで釣るとか、ひたすら愛でるとか……」

 父さんがそう言うと、ロキは少し残念そうな顔をしたが、すぐに「なるほど!」と笑顔に戻った。

「そっかー! でも、いつかレイくんみたいに、可愛い魔獣たちと契約して、一緒に冒険したいなぁ! 俺たちも頑張るぜ!」

 ロキはそう言って、レイの頭を優しく撫でた。ミナもレイに会釈をして、若者たちは「では、失礼します!」と元気よく執務室を後にした。

 彼らが去った後、レイは父さんを見上げた。

「父さん、レイの祝福のこと、お話してもいいの?」

 父さんはレイの頭を撫でながら、優しく、そしてちょっと真面目な顔で言った。

「レイの祝福は、この世界の誰もが持っているわけではない、とても特別な力だ。だからこそ、今はまだ、誰にでも話せることではない。まるで、秘密の宝物だな。だが、いつかお前がその力を正しく使いこなせるようになった時、きっと世界は、お前の存在を必要とする時が来るだろう。その時、お前が世界を救うヒーローになる……かもしれないな!」

 レイは父さんの言葉に頷いた。自分の持つ力が、どれほど大きな意味を持つのか、少しずつ理解し始めていた。

 王都での滞在は、レイに新たな発見と、これから始まる冒険への期待を抱かせた。そして、ギルドで出会ったロキやミナのような冒険者の卵たちとの交流は、レイの心に、将来への漠然とした目標を植え付けたようだった。うん、最強の「ひよこ組」を目指して、レイの冒険はまだまだ続く!

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