第12話:五歳の誕生日と、家族の誓い、そして「チーム・レイ」爆誕?!
シャドウが漆黒の黒豹(でも中身は気まぐれ猫)として、レイの影にその威厳を潜めてから、数週間が過ぎた。ログハウスの日常は相変わらず賑やかで、シャドウ、ミル、ふわふわ、フラム、ルーナ、そしてバルドルと、レイを取り巻く従魔たちの存在は、もはや家族生活の「お騒がせエンターテイナー」と化していた。セイリオスとバルドルの口喧嘩は、完全にログハウスの名物。まるで昼ドラか何かのように繰り広げられ、それにレイや母さん、父さんが笑い声を上げるのが常だった。うん、毎日がお笑いライブ、しかもチケット代無料!
そして、季節はあっという間に巡り、今日はレイが五歳の誕生日を迎える、めでたい日!
朝、レイが目を覚ますと、ベッドサイドには父さんと母さんが、そしてその周りには従魔たちがギューギューに集まっていた。シャドウは影から「…む、誕生日か」とばかりに気配を放ち、ミルはレイの肩で「ぴぴぃ!」と飛び跳ね、ふわふわは足元でモゾモゾ、フラムはレイの頭の上で小さな炎をパチパチ、ルーナはベッドの傍らで優雅に座り、バルドルは開いた窓辺から「おーい、寝坊助!」とでも言いたげに見つめている。まるで、レイの周りだけ、朝から動物たちの誕生日パーティーが勝手に開催されているかのようだった。うん、寝起きドッキリかと思ったよね、レイ。
「レイ、誕生日おめでとう!」
父さんと母さんの声が重なり、レイは照れくさそうに「えへへ」と笑った。従魔たちも、それぞれの個性豊かな方法でレイの誕生日を祝っているようだった。シャドウは喉をゴロゴロと鳴らし、これは猫最大の賛辞だ。ミルはぴょこぴょこと跳ねて「祝・5歳!」と全身で表現し、ふわふわはレイの手に顔を擦り付けて「これからもモフモフさせてね」アピール、フラムは小さな火花を散らして「僕が花火だ!」と主張し、ルーナは青い瞳でレイをじっと見つめて「おめでとう…」と静かに告げ、バルドルは静かに翼を広げて「空の王者からの祝福だ、ありがたく受け取れ」とでも言いたげな、おじいちゃん感満載の祝福を見せた。
「ありがとう、みんな!」
レイは、自分を取り囲む温かくて、ちょっと騒がしい存在たちに、心からの感謝を伝えた。このカオスな状況、嫌いじゃない。
朝食は、母さんが腕によりをかけた特製の豪華なパンケーキだった。山盛りのパンケーキには、ふわふわが力を与えた甘いベリーと、母さんが森で採ってきた珍しい蜂蜜がたっぷりとかけられている。フラムも今回は奇跡的に火加減を間違えることなく、見事な焼き色をパンケーキにつけることができた。レイは思わず「フラム、奇跡だ!」と叫んだ。フラムは得意げに胸を張り、「ガォ!」と「僕、天才!」を合わせたような鳴き声を発した。
▪️五歳の誕生日、家族の誓い、そして頼れる「チーム・レイ」!
食事が終わると、父さんが急に真剣な顔をして、レイを正座……はさせなかったけど、それに近い雰囲気で切り出した。
「レイ、お前がフレイ神の祝福を受けたってのは、とんでもない大事件だ! ユングリングのじいちゃんもビックリ仰天してるだろうな。でもな、父さんにとっては、お前がいつまでも可愛い五歳の息子であることに変わりはないんだ。だから、安心してくれ。父さんは、お前がどんなにすごい力を持ったって、これからもお前を守り、困った時はいつでも助けてやるからな!」
父さんの言葉に、母さんも「そうよ、レイ」と、普段の豪快さとは裏腹の優しい眼差しで頷いた。
「レイ、私たちはいつでもあなたの味方よ。どんなことがあっても、私たち家族があなたを守るから、安心して、あなたの望むように生きていいのよ。ただし、いたずらはほどほどにね」
母さんの優しい眼差しに、レイは胸が熱くなった。前世の記憶を持つ自分にとって、この世界の家族の温かさは、何物にも代えがたいものだった。レイは父さんと母さんの手をぎゅっと握り締めた。
「うん! レイも、父さんと母さん、みんなを守る!」
レイのまっすぐな、まるで一本の矢のような言葉に、父さんと母さんは涙ぐみながら優しく抱きしめた。その温かい家族の絆は、ログハウス全体を包み込むようだった。うん、感動的だね。
その日の午後、庭で遊んでいると、バルドルが空から「ドシーン!」とばかりに降りてきて、レイの前に静かに着地した。地面がちょっと揺れた。
「レイ。お前が五歳になったこの良き日に、改めて我々からも誓おう」
バルドルがそう言うと、シャドウが影から「仕方ないな」とでも言いたげに姿を現し、ミルがレイの肩に、ふわふわが足元に、フラムがレイの頭の上へ、ルーナがレイの隣に、それぞれ集まってきた。まるで、みんなで「チーム・レイ」を結成します!とでも言いたげな、決意とドヤ顔が入り混じった表情だった。
シャドウは、レイの瞳を真っ直ぐに見つめ、力強い声で言った。 「レイ。お前が望む限り、私は影となり、お前を守り、お前を導こう。私の命が尽きようとも、お前が生きる限り、私はお前と共に歩む。……ただし、昼寝の時は、私が一番の枕だ。譲る気はない。」
ミルはレイの頬に擦り付きながら、可愛らしい声で「ぴぴぃ!」と鳴いた。 「レイ、ミルはレイと一緒に、いつでもどこでも飛んでいくよ! 遠くまで、高いところまで、どこへでも! もちろん、おやつの時間は絶対に忘れないでね!」
ふわふわは、レイの足元で柔らかな毛を擦り付けながら、優しく「ぴぃ……」と鳴いた。 「レイ、ふわふわはレイの畑を豊かにして、レイを癒してあげる。ずっと、レイのそばで、大地の恵みを届け続けるよ。たまにはモフモフと愛情を注いでくれると嬉しいな。」
フラムは、小さな炎を揺らしながら、少しだけ得意げに「ガォ!」と小さく吠えた。 「レイ、フラムはレイのために、最高の料理を作るよ! 火加減も、もっともっと上手にしてみせる! 今度は焦がさない!……たぶん!」
ルーナは、その青い瞳でレイを見つめ、静かに、しかし深い言葉を紡いだ。 「レイ。私は、貴方と共に、失われた記憶を取り戻す。そして、月の御使いとして、貴方の道を照らそう。貴方と共に、この世界の真実を見つけ出す。……夜中に散歩に付き合ってくれるなら、尚良し。」
バルドルは、大きく翼を広げ、威厳ある声で誓った。 「レイ。我は空の目として、お前が望む限り、この空からお前を見守ろう。そして、セイリオスと共に、お前が進むべき道を指し示そう。お前が求めるならば、この翼でどこへでも連れて行こう。ただし、ジジィの寝言にはつき合わんし、朝飯は俺が一番乗りだからな。」
従魔たちの力強く、そしてちょっとだけ個人的な願望も混じった誓いに、レイは言葉を失った。彼らがただの「従魔」ではなく、かけがえのない「家族」として、自分を支え、共に歩んでくれることを、改めて実感したのだ。レイは瞳を潤ませながら、一人ひとりを、そして全員を、抱きしめるようにぎゅっと目を閉じた。
「ありがとう……みんな。レイも、みんなのこと、ずっと大切にする!」
レイの五歳の誕生日は、家族と従魔たちの温かい誓いに包まれ、彼の異世界での新たな旅立ちを、より一層確かなものにしたのだった。さあ、この賑やかすぎる「チーム・レイ」、次は何を巻き起こすのやら?