『静寂と予測のあわいに——あるバチルスの独白』

第3章 行動（アクション）という予測補正

だが、受け身ばかりではいられない。

予測を修正するだけでなく、現実そのものを書き換えることもできる。

たとえば、鞭毛を回す。

それだけで、ぼくは水中をほんの少しだけ移動できる。

この動きがもたらす新しい感覚——それもまた、予測の一部。

ぼくは、自らの動作をも予測する。

だから、**行動することも「内的世界の整合性を保つための演算」**にすぎない。

それが、たまたま物理的に移動するという形を取っているだけ。ただそれだけ。