夏のひまわりは純情か、
誤字脱字日本語がおかしいなどあまり気にしないでいただけると嬉しいです。
青春物は初めて書くのでよければ感想をください!
夏の暑い夕方。
蒸し蒸しとした真夏の余韻がまだ残っている。
そんな中私達は帰り道にある駄菓子屋のベンチに座ってアイスを口にしていた。
「なんかさ、うちらって部活して終わるのかな?
高校生活。一度の青春!」
「別にそんな事ないっしょ。
この前だって夏祭り行ったし。」
「それはそうなんだけどさ〜」
「私との夏祭りつまんなかった?」
「そんなことないよ!!」
「アイス溶けかけてるよ」
「あっヤバ」
そう言いながら凛はソーダ味のアイスを口に咥えた。
凛の首筋からは汗がポタポタとこぼれ落ちていた。
「じゃあさ、この前の夏祭りで何が一番心に残って る?」
「私は…」
私が一番心に残っているのは凛の浴衣姿だ。
紺色に大きな向日葵の柄の浴衣は凛の色白い肌と黒くて長い髪によく似合っていた。
けど、こんなこと言えるはずがない。
「私は、やっぱり花火かな。打ち上げ花火なんて
幼稚園ぶりに見たし」
「えー。なんか普通〜。他になんかないの?」
「じゃあ、いちご飴かな。」
「あーいいよね!いちご飴!!」
「でも、私たまにいちご飴が可哀想になる」
「どして?」
「いちご飴って最初は苺でしょ。
最初はそこまで甘くない。自然な味。
けど、その周りの薄い薄いあめがどんどん自分を
侵食していくの。
自分もどんどん甘くなるの。
本当は甘くなかったのに。
それって可哀想じゃない?」
「そうかなぁ〜。私はうれしいかな。
あ、もちろん綾香の考え方もわかるんだけどね。
周りのあめにどんどん侵食されるってことは
あめと苺は仲が良いってことじゃん。
それだけ心を許してるんだからさ!」
やっぱり、凛には敵わないな…。
「さすがのポジティブ思考やね」
「綾香がネガティブ過ぎるだけじゃない?」
「そんなことないし」
「綾香は好きな人いないの?恋愛ぐらいするでしょ」
「…いないよ。」
私は、自分の持っていたカップのバニラアイスが溶けてドロドロになっていることに気づきほぼ液体になったアイスをスプーンですくった。
「じゃあ、そろそろ帰るね。塾あるし」
「うん。じゃあね」
また、言えなかった。
私の気持ち。
凛はもうかなり離れておりその姿は見えない。
いつになったら言えるんだろう?
私はそんな不安をぶつけるようにしてアイスのカップを勢いよくゴミ箱に捨てた。
そして、自転車に乗って帰った。
家に着いた頃には今までの暑さが嘘だったかのように
涼しくなっていた。
私は制服のままベットの上に寝転んでいた。
私は、凛のことが好きだ。
いつから惹かれ出したんだろう。
幼稚園の頃からの幼馴染で、明るくて、
時々涙もろくて、ずっと好きだった。
けど、凛は太陽みたいに明るくて周りを照らしてて
根暗な私とは大違いで。
それを埋めるために甘い皮を被って、
どんどん侵食されて本心がわからなくなって
まるでいちご飴みたいに。
けど、凛が明る過ぎて甘い皮は溶けていって
差は広まるばかりで…。
「好きな人いないの?」
「…好きだよばぁーか」
私の目から涙が溢れ出した。
声まで心まで溢れ出さないように繋ぎ止めるのが精一杯だった。
卒業式の日。
私と凛は別々の進路に進むこととなった。
凛は就職、私は進学。
会う機会も減ってしまう。
私と凛は卒業式を終え一緒に自転車を押して帰っていた。
「綾香、もう卒業だね」
「そうだね。」
「私の就職先、ここら辺だからまた会いにきてよ」
「もちろん行くよ。」
頭上の上で桜の花びらがチラチラと舞っていた。
その曲がり角を曲がったらもう道が別れてしまう。
「じゃあ、またね。」
「待って!!!」
そうだ。私は県外に行く。この思いを伝えられるのは
これで最後かもしれない。
「その…私、凛のことが好きなの!!」
「えっ…」
凛は驚き目を見開いていた。
やっぱり私と凛じゃつり合わない。
「ごめん。やっぱり変だよね。女の子が女の子を好き
になるなんて…。忘れ」
「私も好き…」
「え?」
私の幻聴だろうか?
「私も、綾香のことずっと好きだった!!」
「本当に?」
「ほんとに」
「でも、どうするの?
私達明日から会えなくなっちゃうんだよ。」
「じゃあ、賭けをしようよ」
「賭け?」
「うん。綾香の行く大学って四年で卒業でしょ?
だから、四年後に思いが変わってなかったら
ここに来て。
2人とも来たら付き合おう!」
「うん。…うん。わかった。また、ここで会おう」
私達の青春はこうして終わった。
十年後
私は初恋の人と同じ指輪を薬指につけてゆったりと
過ごしていた。
「何見てるの?」
「結婚式の式場。良いとこないかなって」
「今更結婚式するの!?
私達、入籍して二年は経つけど…」
「だって、凛のウェディングドレス姿見たいもん」
「そんな理由で…」
「資金も貯めたしね。
あ、お色直しの時は黄色のドレスにしてね」
「なんで?綾香の好み?」
「凛がひまわりみたいに私を照らしてくれるから!」
私は、凛のくれた光を大切にしながらずっとずっと
凛を幸せにしてあげたい。
それが私の最初で最後の願いだ。
最後までお読みいただきありがとうございます。